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“永田町視聴率50%超え”と言われる月曜ドラマ「罠の戦争」。秘書が議員のスキャンダルを週刊誌にリーク、権力により捜査ストップ…ドラマ顔負けのリアル政界に潜むドロドロ劇

集英社オンライン / 2023年3月20日 18時46分

今、永田町で毎週火曜日の挨拶代わりになっているのが、「昨日の『罠の戦争』、見た?」だ。愛する家族を傷つけられた議員秘書が知略を尽くして鮮やかな“罠”を仕掛け、悪しき政治家を失脚させる痛快なリベンジ・エンターテインメント。そのリアルな描写から永田町では「他人事とは思えない…」との声も。永田町で日々はりめぐらされる本物の「罠」とは……。(以下、一部、ドラマの最新話までのネタバレを含みます)

主人公・鷲津亨の仕事「議員秘書」って?

「秘書の“秘”は、秘密の“秘”」。草彅剛が演じる主人公・鷲津亨は初回、新人秘書の蛯沢眞人にそう教える。

その言葉通り、「秘書によっては、国会議員のプライベートからカネの流れまで、すべて知っています」と現役の自民党国会議員秘書は打ち明ける。



普段、テレビなどに出ることはほとんどない秘書だが、その情報網はあなどれない。

「議員は落選で永田町を離れることもあるけど、秘書は議員が落選しても、他の議員の秘書になってずっと永田町にいます。永田町で数十年過ごしている秘書の情報網は、中堅議員の比ではありません」(政党職員)

「罠の戦争」ポスター(読者提供)

そのため、「議員でも秘書に頭が上がらない」「議員事務所の実権は事実上、秘書が握っている」というケースも珍しくない。

一方で、議員のパワハラや厳しすぎる言動に辟易としている秘書もいる。

「秘書に対して理不尽な言動を繰り返してきた代表的な例は、逮捕された河井克行・元法相でしょう。河井氏は秘書らから恨みを買って、週刊誌に自身の選挙違反の情報を流されたと言われています」(自民党の国会議員)

時には秘書があえて国会議員を罠にはめ、弱みを握ることも。

「インターネットが発達していなかった平成初期までは、秘書が議員に違法のアダルトビデオを見せたり、法律に引っかかる風俗店に連れて行ったりして、後から『違法ですよ。バレちゃってもいいんですか』とゆさぶるケースもありました。秘書は議員の秘密を多く握るからこそ、敵に回すと怖いんです」(前出の秘書)

しかも、本物の秘書は、ドラマよりももっと巧妙に週刊誌を利用するとも。

「秘書からのタレコミがドラマのように直接、週刊誌記者に来ることはまれ。秘書も、自分が情報源だとばれることのないように、他の人を介して、うまく週刊誌にタレこむのです」(週刊誌記者)

だからこそ、少なくない議員が秘書に家族を雇うのだという。

「自民党では、二階俊博元幹事長の息子や森山裕選挙対策委員長の娘が、野党でも、立憲民主党の枝野幸男前代表の妹など、家族が議員事務所で長年にわたって秘書を務めている例は数え切れません。岸田文雄首相の長男や、岸信夫・前衆院議員の長男も、後継者としての出馬を見据え、事務所の秘書を務めてきました」(全国紙政治部記者)

首相も気を遣う幹事長、党本部に従わない県連

ドラマでは、竜崎始首相よりも鶴巻憲一幹事長の方が権力を握り、首相にとって“目の上のたんこぶ”となっている様子も描かれている。

「長く幹事長の座に居座り、首相からも苦々しく思われている姿に、二階派の会長でもある二階元幹事長を連想した視聴者も多かったのではないでしょうか。大派閥のトップや実力者は、いつでも首相を降ろしにかかれる力を持っています。岸田首相は、麻生派の麻生太郎氏を副総裁、茂木派の茂木敏充氏を幹事長として処遇し、二階氏と食事をしたこともありました。首相といえども、党内の大物たちには気を遣うのです」(自民党の国会議員)

『自民党幹事長 二階俊博伝』(エムディエヌコーポレーション)

また、鷲津が出馬しようとしたとき、党本部が公認を出すと言っているのに、地元の有力者が反発する場面もあった。

「国会議員にとって、地元の議員や有力者の声はなかなか無視できません。この人たちの協力なくしては、選挙も勝てないからです。国会議員より政治家歴が長く、強い力を持っている県議もいます。

たとえば、ドラマの猫田正和首相秘書官と苗字が同じ、岐阜県の猫田孝県議は13期目の82歳で、岐阜県内で絶大な権力をもつ『ドン』として知られています。2021年の知事選では、国会議員の大半が現職を支持したのに対し、猫田氏は元官僚の新人を応援しました。

麻生氏とも仲の良い猫田氏は、県議の身でありながら県内の国会議員のことなんて、なんとも思っていません。4月の県議選も、県政史上最多の14期目をめざして出馬する予定で、県内の国会議員は『まだ出るんだよ……』とぼやいています」(地元紙記者)

ドラマ顔負けの「権力による捜査ストップ」も?

第9話で、失脚した鶴巻憲一・前幹事長が、首相補佐官に就任した鷲津に「どう?恨まれる側になった気分は」と声をかけるシーンがあったが、その言葉通り、権力を持たざる者が持つ者を恨み、足を引っ張るのが永田町の常だ。

「岸田首相と、菅義偉前首相や二階元幹事長ら自民党の非主流派の関係がいい例でしょう。首相は、国民に評判の悪い二階氏を念頭に、幹事長など党役員の任期を『1期1年、連続3期まで』とすることを公約に掲げて総裁選に立候補し、菅氏の再出馬を阻みました。

そのため、今でも首相と菅氏の間には距離があり、菅氏は『首相は国民の先頭に立って進む人。派閥の会合に出席するのはいかがかと思う』などと、おおっぴらに首相への苦言を呈しています。二階氏の周辺も『二階先生は、岸田首相から刺されたことを忘れていない。そのうち必ずやり返す』と息巻いています」(全国紙政治部記者)

岸田文雄首相(本人Facebookより)

そんな中、官邸関係者は「以前、ある大型事件で、検察の捜査の手が非主流派の大物議員に伸びそうになったとき、官邸が検察と話をつけて、捜査を止めたと言われています。これによりこの大物議員は官邸に大きな『借り』ができたため、今後、首相を引きずりおろすことはできないとささやかれています」と、ドラマさながらの「権力による捜査ストップ」を打ち明ける。

ドラマ「罠の戦争」も、永田町のリアル「罠の戦争」も、どちらも目が離せない。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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