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「月9」木村拓哉 VS 「日曜劇場」福山雅治、元“抱かれたい男”対決の軍配はどちらに? そこから透けて見える日本芸能界が抱える最大の問題点とは

集英社オンライン / 2023年4月7日 17時1分

4月期ドラマで注目を集めているのがキムタク VS 福山対決。四半世紀以上前からイケメン人気俳優として君臨する両者の激突とあって、長年のドラマファンは盛り上がっている。しかしこの対決の裏側を考察すると、さまざまな問題が浮き彫りになってくるのだ。

二大人気俳優がそれぞれ“警察もの”ドラマに主演

50歳の木村拓哉と54歳の福山雅治。

言わずと知れた、90年代から数多くのドラマで主役を張ってきた二大人気俳優が、4月からそろって主演作がスタートするということで、大きな注目を集めている。

木村拓哉ことキムタクが主演するのは、フジテレビの看板枠「月9」(月曜21時枠)の『風間公親-教場0-』。

キムタクが月9主演するのは2014年の『HERO』第2期以来の9年ぶりで、通算11回目。これは月9主演回数歴代1位の記録だ。



有吉弘行から「月9バカ」というあだ名を命名されたのは伊達ではない。月9の歴代視聴率トップ3はなんと1位『HERO』第1期(平均視聴率34.3%/2001年)、2位『ラブ ジェネレーション』(同30.8%/1997年)、3位『ロングバケーション』(同29.5%/1996年)と、すべてキムタク主演作品なのである。

一方、福山雅治が主演するのは、TBSの看板枠「日曜劇場」(日曜21時枠)の『ラストマン-全盲の捜査官-』。

福山の連ドラ主演は同じく日曜劇場で2019年に放送された『集団左遷!!』以来の4年ぶり。

2013年に『半沢直樹』というモンスタードラマを生み出して以降、民放テレビ局のドラマ枠のなかで群を抜いたブランド力を誇る日曜劇場から、コンスタントに主演オファーが舞い込むのはさすがの貫禄。『ガリレオ』シリーズ(フジテレビ系/2007年、2013年)や『龍馬伝』(NHK/2010年)といった大ヒット作の実績があってこそだろう。

くしくも『風間公親-教場0-』も『ラストマン-全盲の捜査官-』も警察ものということもあり、キムタク VS 福山の対決ムードがいやがうえにも高まっているが、実はそこにはさまざまな問題が透けて見えるのである。

今後も大看板を背負って立てるかの正念場

キムタクと福山、二人にとって今回が、これからも局が推す大看板ドラマを背負って立てるかの正念場なのではないだろうか。

昨今はテレビ全体で視聴率低下に歯止めがかからない状態。一方で昨年10月期の『silent』(フジテレビ系)や、今年1月期の『ブラッシュアップライフ』(日本テレビ系)など、低視聴率ながらTVerなどの見逃し配信再生回数で人気を博し、ヒット作となったドラマも出てきている。つまり、もはや視聴率至上主義は終焉しているのだ。

しかし、90年代の高視聴率ドラマが次々と誕生していた時代を引っ張ってきた二人の主演作は、どうしても視聴率そのものの数字に注目が集まってしまう。

キムタクの連ドラ主演の前作は、昨年4月期の『未来への10カウント』(テレビ朝日系)。こちらの第3話と第4話が世帯平均視聴率9%台で、キムタクドラマ史上、初めて視聴率一桁台に陥落してしまい、ついにキムタク時代の終焉かと騒がれていた。

今のご時世で考えれば充分立派な数字なのだが、視聴率30%台を当たり前のように取っていた彼の全盛期と比較すると、確かに人気に陰りが見えているのは否めない。

福山も前作の『集団左遷!!』は、日曜劇場作品ながら世帯平均視聴率7、8%台を記録してしまう回があった。

また福山の場合、そのもうひとつ前の月9主演作『ラヴソング』(フジテレビ系/2016年)でも、視聴率6%台を記録してしまっていたため、往時の勢いがなくなってきているという雰囲気が漂ってしまっていたのだ。

ちなみに最新映画の興行収入を見てみると、キムタクの『レジェンド&バタフライ』(今年1月公開)も福山の『沈黙のパレード』(昨年9月公開)も、20億円台となっている。

両作とも一般的に考えると大ヒットと言える記録なのだが、『レジェンド&バタフライ』は総制作費が20億円以上と言われているため、興行収入の合格ラインが40億円以上と目されていた。

『沈黙のパレード』の総製作費はもっとリーズナブルだろうが、こちらは『ガリレオ』シリーズの続編のため、うがった見方をすると新たなヒット作を生み出せずにいるジレンマのようなものを感じるのだ。

キムタクの地力は健在、福山はドラマ枠が強み

さて、では今回は実際にどちらのドラマに軍配が上がりそうかと言えば、筆者の目からはキムタク優勢に見えている。

先述したようにキムタクは前作で一桁視聴率を記録してしまっているが、逆に言えば近年も1、2年に1本は必ず連ドラ主演しているにもかかわらず、二桁視聴率を死守してきたという、とてつもない実績があるわけだ。他の主演俳優たちが早々に視聴率一桁の辛酸を舐めていたなか、昨年まで二桁視聴率で飛び続けていた地力は健在だろう。

しかも今回の『風間公親-教場0-』は、2020年と2021年の正月にスペシャルドラマで放送された『教場』シリーズの前日譚なのだが、シリーズ1作目は15%台、2作目は13%台という高視聴率を獲得した作品なのである。

とはいえ懸念点もある。月9のブランド力が低下していることだ。

月9作品で全話平均の視聴率が二桁を超えたのは、昨年1月期の『ミステリと言う勿れ』までさかのぼることになり、それ以降は4作品連続で一桁台に陥落している。

フジテレビとしてはこの悪い流れから立て直すため、視聴率男であるキムタクに頼ったのだろうが、果たして……。

逆に福山側のアドバンテージは日曜劇場のブランド力。

日曜劇場枠で一昨年に放送された4作品は、全話の世帯平均視聴率が13~15%と軒並みヒットしており、昨年も4作品中3作品が全話平均で二桁を記録しているからだ。

だが昨年10月期の『アトムの童』、今年1月期の『Get Ready!』が2作連続で全話平均9%台となっており、ブランド力が急落していると見る向きもあり、そこまで大きなストロングポイントにはならないかもしれない。

そのうえ、日曜劇場は7月期に放送される『VIVANT(ヴィヴァン)』の情報をすでに解禁済。『半沢直樹』主演の堺雅人が主役を務め、『下町ロケット』主演の阿部寛と『陸王』主演の役所広司が脇を固めるという、“日曜劇場版アベンジャーズ”といった顔ぶれの超豪華仕立てとなっている。

多くの日曜劇場ファンの期待はもう『VIVANT』へ注がれているため、『ラストマン-全盲の捜査官-』が前座のような空気感さえ漂ってしまっているのだ。

――キムタクと福山の役者としての求心力、今回の作品の求心力、ドラマ枠の求心力などの要素を総合的に踏まえると、筆者はキムタクが俄然有利だと考えている。

二人を引きずりおろせない日本の芸能界…

そんなキムタクと福山の新ドラマだが、もう少し大局的な見地から考えると、もっと大きな問題点があることに気付かされないだろうか。

キムタクや福山が連ドラ主演を務めるようになったのは90年代中盤。

そしてキムタクが雑誌「an・an」の「好きな男」総合ランキング(「抱かれたい男」などの総合)で初めて1位を獲得したのは1994年で、それから2008年までV15を達成している。福山も同ランキングで1999年から2位が定位置となり、2008年までキープし続けていた。

要するに、彼らは四半世紀前にはもうすでにイケメントップ俳優の座に君臨しており、今になってようやくその地位が揺らいでいるというだけなのだ。

キムタクと福山がそれほどまでに偉大な存在なのだとも言えるが、視点を変えると彼らを引きずり下ろすほどのカリスマ性を持った下の世代の俳優がここ20年、日本の芸能界に現れなかったということも意味している。

たとえば、佐藤健や菅田将暉あたりなら、彼らに代わって時代を牽引していく大スターになれるかもしれないが、今のところ二人とも社会現象となるようなメガヒット作を送り出してはおらず、現在はもう30代。

佐藤も菅田も高い演技力を誇る素晴らしい役者であることは誰もが認めるところ。しかし、当時のキムタクや福山が放っていたオーラはもっとすさまじく、スターとしての“華”が段違いだったように記憶している。

平成という時代を牽引してきたキムタクと福山は、どれだけリスペクトをしても、どれだけ賛辞を贈っても足りないレベルの大スターであることは間違いない。だが偉大すぎるゆえに、全盛期の彼らレベルで時代を象徴するような新世代のカリスマがなかなか現れないのが現実なのである。

これこそが日本の芸能界が抱える、大きく根深い問題なのではないだろうか。

文/堺屋大地

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