魔法が使えない主人公マッシュが、鍛え上げた肉体だけを武器に神覚者(最も優秀な生徒に贈られる称号)を目指して戦う姿を描いたアブノーマル魔法ファンタジー『マッシュル-MASHLE-』(以下、マッシュル)。
コミカルかつ独創的な世界観が人気を集め、全世界発行部数が400万部を突破している本作のアニメが、4月7日(金)24:00より、TOKYO MXほかで放送開始となる。
「考えに直結して体を動かすので気持ちいい」アニメ『マッシュル-MASHLE-』で声優・小林千晃が挑む“葛藤のないヒーロー”
集英社オンライン / 2023年3月25日 15時1分
「週刊少年ジャンプ」にて連載中の『マッシュル-MASHLE-』がアニメ化され、2023年4月7日より放送される。主人公マッシュ役を演じる小林千晃に、役作りへのこだわりと作品の見どころを聞いた。
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©甲本 一/集英社・マッシュル製作委員会
本作で、主人公マッシュ役を演じるのは『憂国のモリアーティ』『クールドジ男子』などで次々とメインキャストを射止めている話題の声優・小林千晃(こばやし ちあき)。
アニメーションならではの魅力や役作りの裏側について話を聞いた。
念願のマッシュ役はサプライズで知りました
――TVアニメ『マッシュル-MASHLE-』への出演が決まったときの率直な気持ちを教えてください。
嬉しさよりも戸惑いが先でしたね。そもそも僕は、この作品に合格したいという想いが強くて。その気持ちをマネージャーにも伝えていました。それもあって、マネージャーからサプライズで知らされたんです。
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――どんなサプライズだったのですか?
普段は、マネージャーからLINEかメールで役の詳細と「合格したよ」という言葉が送られてくるんですね。でも、今回は「明日の資料2つ添付しておいたからね」とだけ。しかも開いてみたら、資料の片方は真っ白なページでした。
次の日、マネージャーに会ったときにその旨を伝えたら「エラーじゃないからちゃんと見て」って言われて。下の方までスクロールしてみたら“マッシュ決まりました。おめでとう”って書いてあったんですよ。本当に驚きました。
――素敵! 小林さん自身は、オーディションの手応えを感じていたのでしょうか?
演じやすさは感じていました。僕もマッシュと同じく、そんなに普段からハキハキとしゃべるタイプではないので。そういう意味でも肩肘張らずにできたのかなと。
――他作品でも「クール系キャラ」の印象がある小林さん。今回演じるマッシュも感情を表に出さないキャラクターですが、役作りで意識したことがあれば教えてください。
僕の中では、マッシュはクールなキャラクターというよりも淡々とした子というイメージが強いです。それでいて本心は素直で優しい子。おじいちゃんにちょっと指摘されると、素直に凹むキャラクターですからね。
だからこそ、塩対応なキャラには見せたくなくて、温度感のあるキャラクターに仕上げたいなと心がけています。観ている方に「マッシュっていい子なんだな」と思ってもらえたら嬉しいです。
――コミカルなシーンとアクションシーンでの演じ分けは意識されていましたか?
マッシュ自身に二面性があるわけではないので、特に演じ分けはしていないです。強いていうなら、あえて抜く、引き算の演技を意識しました。きっと周りのキャラが足し算の演技をしてくれるので。
それと、マッシュがとんちんかんなことを言うのは、単純に脳筋だからだと思うんです(笑)。だから意気込んでボケてしまうと、セリフが際立ってしまって、マッシュの空気感が出ないのではと考えました。
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敵を慮(おもんばか)らない
“マッシュ”という新しいヒーロー像
――監督からはどのようなディレクションがありましたか。
戦闘シーンやキャラクターのシリアスな心理をかっこよく見せたいという想いがあったようで。
僕としては、戦闘シーンの決め台詞をあえて淡々と言った方がマッシュらしいかなというプランで言ったのですが、PV撮りした時に「キリッとした感じで」と指示をいただきました。
それから第1話のアフレコを含めて、決め台詞やマッシュの顔がアップになるシーンでは、強いこだわりを感じました。
セリフにディレクションが入ることはほぼなかったのですが「ふんっ!」ってマッシュが何かを投げるシーンだけは、6回ぐらいリテイクしましたから。
――たしかにギャグを挟みつつも、ヒーローとしてキメるべきところはかっこよくキマっている印象を受けました。
マッシュって葛藤したり、悩んだりすることがないんです。考えに直結して体が動くので、瞬発力があって誰よりも早く仲間を助けられる。
「敵にも敵なりの生活や美学がある」って悪役を慮る主人公も多い中、マッシュには戸惑いが一切ないんですよ。そのシンプルさが気持ちよくて、わかりやすい。
だからこそ、作品自体のテンポの良さも際立ちますし、新しいヒーロー像だと思いながら演じています。
――個性的なキャラクターがたくさん登場しますが、マッシュ×他キャラで小林さんのお気に入りの組み合わせは?
おじいちゃんとの組み合わせですかね。僕、第1話のアフレコまでおじいちゃん役が誰かを存じ上げていなかったんです。
でも一緒に掛け合わせていただいた方が大好きな方で。その方から直接ツッコミをしてもらえるなんて、と嬉しく感じました。
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共演者から得た学びを活かして
――共演された方の印象や現場でのエピソードを教えてください。
川島(零士)くんは真面目で、彼が演じているフィンとキャラが似ていました。
フィンはツッコミ役になることが多いので、お笑いの本を読んでツッコミの勉強をしてきたらしいです。それに僕ら5人の中では、いじられポジションなところもありつつ、細かいボケにも丁寧にツッコんでくれています。
周囲を見渡す視野が広くて頑張り屋さんなところに、フィンらしさを感じました。
(石川)界人さんは、とにかく現場の空気を作ってくれる方だなと。界人さんだけスケジュールの関係で、なかなかアフレコ現場ではご一緒できずにいたんですけど、逆にそれをご自身でネタにされていたのが印象的でした。
「今週も界人さんいないね」みたいな会話をしていると、深々と頭を下げて入ってくるんです(笑)。本人的にはギャグなんでしょうけど、そういうやりとりのおかげで自然と現場が盛り上がったので助けられました。
――上田さん、江口さんはいかがでしょう?
上田(麗奈)さんは紅一点ということもあり、僕らの話に「ふふふ」と穏やかに笑っていらっしゃいます。でも、演技のときには一番大胆に演じる方だな、と。上田さんの演技で、レモンがより魅力的に仕上がっていると感じます。
江口(拓也)さんは年齢、キャリア、何をとっても、やっぱり頭ひとつ抜けてます。僕らのことを見守ってくれるというか、親のような優しい感じで包み込んでくれてました。
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――4人の方が演じられるキャラクターも、マッシュとはまた違うキャラの濃さがありますよね。
そうですね。だからこそ、マッシュらしくやることで際立つ個性もあると学びました。
マッシュって、ツッコミに対してリアクションをしたりとか、真っ向から同じ熱量で掛け合ったりしないんです。そこが、役者的にはやりにくい部分ではあるのですが、あえて裏切ることで成立する笑いを追求しました。
――なるほど。
正直、マッシュのキャラ性を守るだけなら、僕が演じる意味がないなと思っています。淡々と読むだけだったら、棒読みで成立してしまう。
だから、毎話どこまでマッシュの表情を引き出せられるのか、チャレンジを重ねていて。
やりすぎた時には、監督や音響監督に「そのくらいまで行くとマッシュらしくない」とブレーキをかけてもらえるので、表現の幅をギリギリまで実験的に攻めたりもしています。
「翌日、普段の声が出にくくなるので…」
声質を保つ秘訣は?
――今回の作品の舞台は魔法学校です。小林さんは、もし魔法が使えるとしたら、何をしますか。
声が枯れない魔法がほしいです。僕、お酒を飲んだ翌日、普段の声が出にくくなるんですよ。
だから、朝早くから仕事がある前日は、夜遅くまで飲まないように注意しているので、そんな魔法があればいいのになと思います(笑)。
――そうなんですね(笑)。声のコンディションを保つために、他に気をつけていることはありますか?
当たり前のことではありますが、睡眠はしっかりと取るようにしています。
諸説あるみたいですが、声って起きてから5時間後がベストな状態と言われていて。でも、それって朝10時の現場だったら5時起きってことじゃないですか?
だから過去に、自分で試したことがあるんです。本当に5時間前に起きるのがいいのか。それともしっかり寝て、起きてから2時間くらいの方がコンディションがいいのか。
そしたら、僕の場合は後者だったんですよね。睡眠時間が短いと喉が5時間経っても本調子にならなかった。それ以来、睡眠はしっかりと取るようにしています。
――最後に『マッシュル』のおすすめポイントを教えてください。
漫画とは異なるダイナミックな表現や、アニメだからできるさまざまな演出が盛り込まれています。
世界中で人気の作品なのですでに注目度は高いと思いますが、そこにアニメーション会社さんや制作の皆さん、そして僕ら役者陣の熱量が乗っていくと思うので、自信を持っておすすめしたいです。
原作ファンはもちろん、アニメからでも楽しんでいただけると思います。
それから、ダイナミックなキャラの動きや声の芝居など、新しい発見もたくさんあると思います。会話の掛け合いや役者さんの個性、この作品ならではのテンポ感をぜひ楽しんでいただけたら嬉しいです!
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取材・文/すなくじら
撮影/梁瀬玉実
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