1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ファッション

「1985年に生まれた“ジョーダン1”がスニーカーの最高傑作です」スニーカー芸人の先駆け、マテンロウ・アントニーが語るナイキの凄さ

集英社オンライン / 2023年4月7日 10時1分

公開中の映画『AIR』で描かれている80年代のナイキ・ジョーダン1誕生秘話。スニーカー芸人のアントニー曰く、そのジョーダン1を超えるスニーカーは未だ存在しないと言う。所有するレアスニーカーについて話を聞いた。

ここ10年以上ずっと、世界規模で続いているスニーカーブーム。ナイキの時価総額は10年前から約5倍に成長し、レアスニーカーは定価の10倍以上の金額で取引されるなど、まさにバブルと言える状況が続いている。

そのブームの謎を紐解く上で、スニーカー芸人の先駆けアントニー(マテンロウ)ほど最適な人物はいないだろう。

定価の25倍で取引される自慢の一足

――アントニーさんが所有する中で、最も取引価格が高いスニーカーはどれですか?



価格の変動もけっこうあるんで、ざっくりになっちゃうんですけど、多分このナイキのエアジョーダン1の“シカゴ”かなと。

「Nike Air Jordan 1 Retro High OG GS ‘Chicago’ (2015)」

いま国内でスニーカー取引に一番使われているのが「スニーカーダンク」というアプリで、そこで大体の取引価格がわかるんですけど…。

僕のサイズの30センチだと、ちょっと前までは15万円くらいだったのが、今は50万円くらいになっていますね。

――購入は正規販売ですか?

本当にありがたい話で、昔からスニーカーとかファッションでわからないことを教えてもらう、師匠的なアパレル業界の人がいて、その人から誕生日プレゼントでいただいたんです。

その人は定価で買っていて、それが2万円くらいですからね。

――そのスニーカーが発売された2015年当時は、今ほどブームは過熱していなかった?

今ほどではなかったかもしれないですね。でも2018年には『アメトーーク』の「スニーカー芸人」の第1回目があって。今33歳なんですけど、25歳くらいの頃からずっと巷ではスニーカーブームが続いているような感じがします。

最近は普通に買えないのが当たり前になっていて、スニーカーにそこまで興味がない人でも、ナイキの抽選に申し込んでたりします。

――SNKRSというNIKEが公式に運営する、抽選用のアプリもあります。

抽選なんかは、かつてはスニーカー好きの人しかやっていなかった文化ですよね。そう思うとずっとブームが続いてるといえますね。

1985年に生まれた最高傑作

――このスニーカーは普段から履いていますか?

普通に履きまくっています。ちょっと賛否両論ある話なんですけど、甲子園球場で阪神タイガースの始球式を去年やらせていただいた時にも履きました。

「神聖なマウンドにバッシュを履いてくるんじゃねえ」と、阪神ファンの方にはけっこう叩かれて(笑)。でも、やっぱり5万人の観衆の前でカッコつけたいなと思って、一番お気に入りのスニーカーを選びました。

――お気に入りポイントはどこですか?

スニーカーブームがここ数年でさらに過熱していますけど、このジョーダン1が作られたのは1985年。

不思議なもので、その時代に作られたスニーカーがもう既に「最高傑作」というか。これを超えるスニーカーは未だに誕生していないんじゃないか、というくらいのディテール。

僕の好きな白・黒・赤の配色で、マイケル・ジョーダンのいちばん王道のやつ、というのが僕の中のイメージです。スニーカーを集め始めた時に、いつかは手に入れたいと思った1足ですね。

マイケル・ジョーダンが在籍したNBAのシカゴ・ブルズのチームカラーである“シカゴ”。ジョーダンブランド30周年を記念して、2015年にオリジナル仕様で復刻された一足

黒・赤のブレッド(『SLAM DUNK』の桜木花道が履いているモデル)も有名なんですけど、白が入っているシカゴの方がファッションに落とし込みやすくて、個人的には好きです。

――ナイキのもう一つの代表格であるエアフォース1とはどっちが古いのでしょうか?

エアフォース1は82年なんで、ジョーダン1の少し前ですけど、スニーカーって実は7~80年代にある程度は完成したのかもしれないですね。

もちろん素材とかはアップデートされ続けているんですけど、基本的な形はずっと変わらないままです。

――ちなみに、ハイテクスニーカーと呼ばれるホカオネオネ(フランス生まれのアメリカのシューズブランド)などは履きますか?

履きますね。30歳を過ぎてから先輩や周りの人に教えてもらって、ホカとかニューバランスの素晴らしさに気づきました。

ジョーダン1はめちゃくちゃカッコいいんですけど、やっぱり履き心地はそこまでアップデートされていなくて、今のホカとかオン(スイス生まれのシューズブランド)の履き心地には敵わないです。

かなり歩く外ロケでは、ジョーダンは履かないです(笑)。

ロサンゼルスでゲットしたレアな一足

――では次に、購入した中で一番高額だったスニーカーは?

ジョーダン1とラッパーのトラヴィス・スコットのコラボのコレですね。

「Nike Air Jordan 1 High OG TS SP Travis Scott」

やっぱりトップオブトップのラッパーしかナイキとはコラボできないですし、トラヴィス・スコットはいまアメリカで1番のファッションアイコンにもなっているラッパーで、コラボすると知って「うわ、コレは欲しいな」と。

何がすごいって、ナイキのスウォッシュ(ロゴ)が反転しているんですよ。今までのナイキって、いくらコラボとはいえ、こんなことは絶対に許さなかったはず。

でも今のトラヴィスがやりたいって言うんだったら、ナイキも「じゃあやりましょう」となる、そのトラヴィスの凄さ。あとはこのシブいカラーリングが単純にカッコいいなと。

現在の平均取引価格は30万円前後

――入手方法は?

日本での抽選販売は普通に外れて、その後にいろんなサイトを見ていても、僕のサイズの30センチが20万円くらいで、なかなか手が出ずにいて。

「GQ Japan」のYouTubeチャンネルで、『SNEAKER HOLICS』という番組のMCをやらせてもらっているんですけど、そのロケ企画で、スニーカーを買いに行くためだけにロサンゼルスに行ったんですよ。

その時にロスのショップでコレを見つけて、16万円で買いました。一足のスニーカーに払った金額では一番高いですね。

――もし出会ったら買おうと決めていたのですか?

「ロケで買った」といま言ったんですけど、実は撮影とは別に、最終日のオフに買ったんです。撮影中には7~8足を40万円くらいで買ったのですが、コレは値段的に勇気が出なくて。

ただ、どうしても気になっていて、一日中悩んで。結局忘れられずに、帰りのフライトが夕方だったのでお昼過ぎに一人でショップに駆け込んで、16万円で買いましたね。

後にそれを知ったスタッフさんからは、「いやいや、カメラが回っている時に買ってくださいよ」とツッコまれました(笑)。

【LA編】アントニーが自腹でスニーカーショッピング!爆買いの結末は? |近藤浩人、BB | SNEAKER HOLICS |S2,#3| GQ JAPAN

――この靴も普段履きしますか?

履いて飲みに行くこともあって、バーでお酒をこぼされたこともあります。

昔はめっちゃ綺麗に履きたい人で、踏まれるなんて絶対に嫌だし、家に帰ってきたら全部拭く、みたいにやっていたんです。でもある時から、スニーカーってもともと汚れる物だし、その味もカッコいいなと感じ始めて。

ましてや、こういうレアで価値の高いスニーカーを「あんなに雑に履いてる」のがかっこいいんじゃないか、という心境に変わりました。内心はヒヤヒヤしているんですけど(笑)。

所有するスニーカーは全部で350足!

「Nike Air Jordan 4 Retro "Lightning" 2021」

――合計で何足くらいお持ちなんですか?

全部で350足くらいですね。スニーカーのお仕事を色々しているので、よくいただいたりもするんです。

誕生日プレゼントでも「スニーカーが一番嬉しいでしょ?」みたいな感じでいただくんですけど、もうキャパオーバーしているんで、内心はスニーカー以外でお願いしたいです(笑)。

家とは別にガレージも借りていますし、自分のYouTubeチャンネルのスタッフさんの事務所にも20足くらい置いていて。家にあるのは300足くらいですね。

家のリビングが11畳なんですけど、スニーカーのせいで僕が使えるスペースは3畳くらい。

――保管方法にこだわりはありますか?

こだわりというほどではないですが、今はアクリルのクリアケースの中に入れています。ただ、そのケースも200足分くらいしかないんで、溢れたものは箱の中に入れて積んでいるんです。

――スニーカー好きの間では、箱を捨てる派と捨てない派に分かれるそうですね。

5年くらい前に、箱を全部捨てたんですよ。それまでは箱も取っていたんですが、「売るつもりもないし、箱いらないな」と思って。

でも今思えば、「あの時の俺は何をやっていたんだ」と後悔していて…というのも、コラボ物とかレアなスニーカーは箱にもこだわっていて、箱を含めての価値みたいなところがあるんです。

現状売るつもりはないけど、本当にお金が無くなった時や、困り果てた時、売ろうとしても、箱がないと売れないじゃないですか。

あと、もしこの先結婚する時に、奥さんは嫌でしょ。旦那がスニーカーを350足も持っていたら(笑)。だから箱を捨てず、売れる可能性を残しておくべきだった…。

――スニーカーを100足に減らしてくれ、という人と結婚できますか?

いや、でもキツいですね。スニーカーと奥さんを天秤に掛けて、どっちが好きか、ということですね(笑)。


取材・文/佐藤麻水
撮影/浅井裕也

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください