タバコへの風当たりが強まっている昨今、「喫煙OK」に関する取材にNGを出す店は少なくない。
そんななか話をしてくれたのが、東京・五反田の老舗「カフェ ビアンコ」店主の平山あきひさん。1988年の創業当初から現在まで全席喫煙可。タバコへのこだわりがあるのだろうか。
「吸えるんですか?」タバコOKの喫茶店に毎日問い合わせ、一服がてら1日に複数回来店も…店主たちに聞く“全席喫煙可”を続ける理由【改正健康増進法から3年】
集英社オンライン / 2023年3月27日 12時1分
飲食店など屋内での原則禁煙を義務化した改正健康増進法が2020年4月に施行されてから3年を迎える。愛煙家の“憩いの場”であった喫茶店やカフェでも多くの店舗が全席禁煙、あるいは分煙を選んだ。しかし、こうした時代の流れのなか、「全席喫煙OK」を続ける店もある。“吸える店”の考えはいかに?
喫茶店は「これまで通り、いつも通り」が大事
「この店を始めたのは私の母親なんです。3年ほど前に天寿を全うしましたが、かなりのヘビースモーカーでした。でも、店を受け継いだ私も他のスタッフもタバコを吸わないんですよ。
個人的に喫煙にこだわったというわけではありません。それより、お客さんにはこれまで通り、いつも通りくつろいでほしい、という気持ちが強かった。喫茶店って、変わらないのが大切だと思うんです。
禁煙の法律が施行されることになった段階で、複雑な法律を理解するため、仕入れ先のコーヒー店の方や同業の喫茶店経営者らに話を聞いて、喫煙の許可を得た次第です」(平山さん)
店では、自家製の辛口カレーライスや鶏のから揚げといったランチメニューも先代と同じレシピで変わらない味を提供し続けている。喫煙についても同じくこれまで通り、というわけだ。
「吸えますか?」毎日3件の問い合わせ
喫煙できる店が減少した今、「タバコ吸えます」といった目立つ張り紙をしている飲食店も見かける。
そのほうが商売繁盛しそうだが、「ビアンコ」では入口の小さな掲示にとどめ、喫煙可を前面に打ち出しているわけではない。
「変わらない店であり続けたいという思いで喫煙の許可を取ったので、あえてそれをうたってはいなんです。
ここ数年の変化といえば、『タバコは吸えるんですか?』『紙タバコもOK?』と電話がかかってくること。毎日3件くらいは問い合わせがあります」
いまや都会では希少な喫煙スペース。一服がてら一日に数回、店を訪れる常連客もいるという。食事メニューの評判もあってランチタイムには満席になることも。
喫煙OKは店の回転率に影響出そうだが。
「創業時から食事処ではなく、くつろげる喫茶店としてやってきたので、ランチタイムでも時間制限などは設けていないんです。
待っているお客さんに『いつ席が空くかわからないんです』とスタッフが伝えるようにしていて。
すると、『一服できたから行くよ』とお客さんが席を譲ってくれたり、同じ会社の人を見かけたら誘い合って相席にしてくれたり、常連さんに助けていただきながらやってます」
そう話す平山さんが淹れてくれたコーヒーには一口チョコレートが添えられていた。このチョコのサービスもずっと変わらないのだとか。
非喫煙者も惹きつける喫茶文化
上野駅から歩いて3分。「喫茶 古城」の看板を目印にビルの階段を下っていくと、そこは別世界。特注のシャンデリアにステンドグラス、テーブルや椅子は中世ヨーロッパを思わせる。
「創業者が舶来品に強い憧れを抱いていたんですよ」と説明するのは店主の松井祥訓さん。
「昔の話ですが、この界隈は長屋も多く、みんな狭い部屋で暮らしていたから、ここを応接間代わりに使ってもらって、コーヒーとともにタバコを楽しんでゆっくりしてもらいたい。そんな先代から継いだ喫茶文化を大切にしながら店を続けています」
全席喫煙の店内は、そこかしこから煙が立ちのぼっているかと思えば、意外とそうでもない。
「喫煙者はお客さんの6割くらいなんです。法律施行の前後でもその割合はそんなに変わらない。
タバコの煙がどうしてもダメだって入口で引き返されるのはほとんどが高齢の方ですね。若い人はあらかじめネットで情報を仕入れてくるのか、文句を言われたことはないです」
改正健康増進法施行のタイミングで、分煙化も検討はしたのだという。
「考えたんですが、長年大切にしてきたインテリアが調和して喫茶空間が成り立っているので。
どこかを壊したり、新たにテイストの異なる合板や喫煙ルームをつくったならば、ヨーロッパ調の雰囲気が崩れてしまう。
導線の問題も大きいです。喫煙ルームを設置したら、配膳のために動き回るスタッフに加え、タバコを吸うために店内を移動するお客さんもいて、落ち着いてコーヒーを飲む場所でなくなってしまいます」
完全禁煙に振り切る道もあったのではないだろうか。
「全席禁煙にしてしまうと喫煙者は来られなくなってしまうでしょう。でも、従来通り全席喫煙なら、タバコを吸わなくても気にしない人ならくつろげる。
法律施行後、ほどなくしてコロナ禍になったから、全席喫煙の継続でお客さんの数にどれくらい影響しているのかはわかりませんが、今年に入ってから来客数は増えています。
コーヒー、ミルクセーキ、メロンソーダなどを飲みながら、店内の写真を撮ったり、おしゃべりしたり。タバコを吸う人も吸わない人も喫茶文化を楽しんでいただいているのかなと思います」
望まない受動喫煙は減らされるべきだが、タバコが喫茶文化の一部であることもまた確かなようだ。
取材・文/小林 悟
撮影/岡庭璃子
外部リンク
- 〈AV新法違反でも注目〉初公判“ハメハメジャッキー”こと映像制作会社役員が、熟女の無修正わいせつ画像をFC2に公開した呆れた理由「モザイクをいれると2日かかる」
- 〈トー横・少年少女一斉補導〉「親が株で失敗すると風呂に沈められ…」施設を抜け、生きる気力を失った16歳と13歳カップルの夢は「17歳までに…」トー横キッズ“しんどい子どもたち”の現実
- 〈歴史的スクープ!!〉服部半蔵は本当は服部平蔵となる予定だった!? 『どうする家康』人気キャラの知られざる命名エピソード…家康に気をつかって「平」が「半」に!
- 「夫の入院中、私はワンオペ育児でヘトヘト」と書いたら大炎上。人気ママブロガー(元SDN 48)光上せあら夫妻に本音を直撃! 「あの時は本気で離婚したいぐらい夫が嫌いになった」
- 「給食費を学校の先生に立て替えてもらった」「トイレが遠くて夜は“おまる”で用足し」人気ママブロガー・元SDN48・光上せあらが経験した極貧と差別
この記事に関連するニュース
-
絶えない未成年の喫煙・飲酒 高3女子の0・6%が喫煙、3%が飲酒 宮田笙子が五輪辞退
産経ニュース / 2024年7月19日 15時24分
-
仕事中に2本、帰宅後に2本の煙草を吸っています。20年続けたら、どれだけの金額になるでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年7月12日 11時0分
-
「マジで危ない」コムドット・メンバーの“ながら運転”に賛否、違反となる可能性
週刊女性PRIME / 2024年7月10日 19時0分
-
職場でのタバコ休憩は「不公平」問題 Xで議論に...タバコ吸わない人のホンネは
J-CASTニュース / 2024年7月8日 10時0分
-
バカほど「タバコは絶対ダメ」と言いたがる…和田秀樹「本質を見抜ける人、そうでない人の決定的な差」【2023編集部セレクション】
プレジデントオンライン / 2024年7月4日 8時15分
ランキング
-
1京急百貨店内のうなぎ料理店の丑の日向け弁当で130人食中毒、90代の女性死亡
読売新聞 / 2024年7月29日 21時23分
-
2『佐渡島の金山』世界遺産効果で「宿泊予約が一気に増えた」金山にちなんだユニークメニューも! 新潟県
BSN新潟放送 / 2024年7月29日 20時14分
-
3大雨被害が次々と明らかに…住宅や農業・漁業など 広範囲にわたって甚大な被害 各地を取材
ABS秋田放送 / 2024年7月29日 19時1分
-
4北海道内で7店舗運営の会社が経営破綻…どうなる「業務スーパー」18日からストも決行
STVニュース北海道 / 2024年7月29日 16時10分
-
5遺体は行方不明の巡査部長 山形大雨、殉職2人目
共同通信 / 2024年7月29日 22時28分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください