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〈久本雅美×喰始〉“女性芸人の職人化”がとまらない。「ヨネダ2000の“うんこ擬人化”は『仮装大賞やん』と思ったけど、顔といい、飛び方といい、素晴らしかった」

集英社オンライン / 2023年3月25日 11時1分

一昨年まで『女芸人No.1決定戦 THE W 』(日本テレビ)の審査員を務めていた久本雅美さん。『欽ちゃんの爆笑仮装コンテスト 全日本仮装大賞』(日本テレビ)など伝説的バラエティ番組を手がけてきた演出家の喰始さん。芸能界で長きにわたって活躍してきたふたりに、女性芸人の今と昔を語ってもらった。

久本雅美は芸人ではなく女優!?

――1950年代から70年代にかけて活躍していた女性芸人は、朝ドラ「わろてんか」(NHK)の登場人物のモデルにもなったミスワカナさんをはじめ、ミヤコ蝶々さん、京唄子さん、かしまし娘さんがいらっしゃいます。



僕は小学生のとき、ミヤコ蝶々さんやかしまし娘さんをテレビでリアルタイムに見ていました。かしまし娘さんは別だけど、当時の女性芸人は基本的に「女性を捨てている芸」をやっていましたよね。女性はおしとやかでなければいけないという時代に、下品なことを言ったり、男をたたいたり、怒鳴ったりして笑いをとっていました。夫婦漫才でも、鳳啓助・京唄子や人生幸朗・生恵幸子も女性のほうが強いでしょ。

――80年代に入ると、ビートたけしさんや明石家さんまさんといった『オレたちひょうきん族』(フジテレビ)で活躍したメンバーがお笑い界の中心になります。女性芸人では山田邦子さんが目立っていました。

久本 邦子さんだけが圧倒的にすごくて、あらゆる番組が高視聴率でした。そのころはまだ一介の劇団員ですから、「すごいな~」という感じで見ていましたね。

山田邦子さんは例外だけど、この時代もまだ「女性だけで笑いをとるなんて無理だ」という風潮がありました。だから久本たちは女性だけのネタを作りたくて、女囚漫才というのをやったの。

久本 最初はWAHAHAの全劇団員が「女性だけのネタで20分持たせることができるのか? 失敗したらどうするんだ」って心配していましたよ。でも、バカウケして。楽屋に帰って来て、みんなで泣きました。

その年の雑誌『ぴあ』で「今年いちばん笑ったのはWAHAHA本舗の女囚漫才でした」って書いてくれてる人がいて、めちゃくちゃうれしかったですね。女囚漫才をきっかけに『今夜は最高!』(日本テレビ)に呼ばれて、テレビのレギュラーを初めていただきました。

――80年代後半から『夢で逢えたら』(フジテレビ)で清水ミチコさんや野沢直子さん、『今夜は最高!』で久本さんや柴田理恵さんが活躍するようになり、女性芸人の活躍の場が増え始めた印象です。

関西は漫才の文化があるので、女性だけでお笑いを目指している人がいたんだけど、東京は女性でお笑いをやりたいという人自体が少なかったですよね。

久本 みっちゃん(清水ミチコ)はものまねだし、直ちゃん(野沢直子)はタレント性で笑わしていた感じでしたから。芸人ではないかもしれませんね。

――バラエティタレントというイメージですかね。

久本 そうですね。私も芸人ってよく言われるけど、劇団員ですからね。

久本は女優だもんね。

久本 女優って言ったらどつかれますよ(笑)。

個性がダブらず、ハイレベルで審査できない

――90年代以降はバラエティ番組で女性芸人が活躍することが当たり前になりました。女性芸人のイメージをガラッと変えたのは渡辺直美さんだ思うのですが、いかがですか?

久本 渡辺直美ちゃんはファッションリーダーでもあり、インスタグラムの女王でもあり、まさに新しい時代ですよね。自分のブランドを作ったり、アメリカ行ったり、すごいことやと思います。

――久本さんは『笑っていいとも!』(フジテレビ)で、渡辺直美さんがデビュー当初にやっていた「いいとも少女隊」の頃から共演してますよね。

久本 そうやねん。その頃はまだ才能を発揮しきれていなかったけど、いつの間にか上のほうに行って。アメリカに行こうというチャレンジ精神が素晴らしいですよ。私があと20歳若かったら、ついて行ってるな(笑)。

――久本さんは『THE W』の審査員もされていましたが、最近の女性芸人のネタをどう見られていますか?

久本 審査できないです。それぞれ個性があって面白いから。みんな違うネタやねん。だから好みになってしまうし。ヨネダ2000にしたって、天才ピアニストにしたって、Aマッソにしたって、自分たちが面白がっていることをちゃんと持っていて、それを表現できる頭の良さを感じます。個性もダブっていないのがすごいし、レベルが高いわ。

――WAHAHAに近いネタをやっているコンビはいますか?

久本 オダウエダなんて、本当にWAHAHAがやっていることに近いですよ。独特の世界観で小道具を使って。決して表現力はそんなに上手じゃないじゃないですか。「○○してる~」とか「○○や~」とか言うてるけど。それがまた独特の面白さがあってね。

「自分らの面白がっているネタをやっていきたいねん」
という女性芸人が急増

――昨年の『THE W』決勝では、ヨネダ2000がうんこを擬人化したネタをやりましたが、『欽ちゃん&香取慎吾の全日本仮装大賞』(日本テレビ)みたいな要素もありましたよね。

久本 私も「仮装大賞やん」と思ったけど、それをネタとして考えて4分にするというのはなかなかの知恵がないとできないです。お尻からバーンと落ちてきたときの顔といい、飛び方といい、素晴らしかった。

――『仮装大賞』は喰さんが作ったんですよね?

そうです。昔、仮装大賞のリハーサルで子供たちが手にストッキングをはめてネッシーをやったんだけど、口をパクパクさせるだけだったから、現場のディレクターさんたちは「それだけじゃダメだ」ってボツにしたの。そこで僕が「ちょっとこのネタは任せてほしい。もう1回作り直してチャレンジさせるから、それでOKかどうか判断してください」ってお願いして。

――優しいですね。

「ネッシーがシンクロナイズドスイミングをする」というアイデアを加えたの。ディレクターのOKも出て、本番でやったら優勝したんですよ。

久本 軽い自慢ですけどね(笑)。喰さんが言いたかったのは、同じネタでもアイデアひとつで変わるということですよね。

そういうこと。最近は本当にみんな面白いことを考えるようになって、レベルが上がって来ていますよね。

久本 最近の女性芸人はテレビに出たいというのはもちろんあると思うけど、劇場やライブでどれだけお客さんを呼べるかを考えていますよね。

――最近はライブを配信することもできるので、ネタだけでご飯が食べられるようになった芸人さんも増えてきました。

久本 そうそう。「テレビに出て有名なお笑いタレントになりたいねん」というだけじゃなくて、「自分らの面白がっているネタをやっていきたいねん」という職人的な考えの女性芸人が増えてきましたね。そういう意味ではこれからもどんどんネタのレベルも上がっていくんでしょうね。

――当然、WAHAHAのネタのレベルも上がっていきますよね。

久本 6月には4年ぶりの全体公演がありますから。ネタのレベルももちろん上がっていますけど、劇団員の年齢も上がっていますよ(笑)。

取材・文/インタビューマン山下 撮影/山上徳幸

WAHAHA本舗PRESENTS
WAHAHA本舗全体公演「シン・ワハハ」


[公演日時]
2023年6月22日(木)~25(日)
6月22日(木) 18:00~
6月23日(金) 14:00~
6月24日(土) 13:00~ / 18:00~
6月25日(日) 14:00~

[会場]
なかのZERO 大ホール

[チケット]
2023年3月25日(土)午前10時より
一般発売開始 ・各プレイガイド

http://wahahahompo.co.jp/2022newwahaha/

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