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森保JAPANの選手たちも愛用! 「五本指ソックス」が日本サッカーの未来を握る2つの理由

集英社オンライン / 2023年3月28日 12時26分

いよいよ新体制が始動した森保JAPAN。スパイクに隠されているためテレビ中継では映らず、一般的にはあまり知られていないが、日本代表選手たちのパフォーマンスを足元から支えているのが五本指ソックスだ。この製品が日本サッカーにもたらすものとは?

アスリートが五本指ソックスを着用すべき4つのメリット

夏には足が蒸れるのを防ぎ、冬には冷え性の改善に効く――。そんな触れ込みとともに、日本の消費者にもあっという間に広がった五本指ソックス。だが、この製品が現在、日本サッカー界での地位を向上させているのをご存知だろうか。

テレビ中継などからは決してわからないのだが、昨年のカタールW杯で日本中を歓喜の渦に巻き込んだ日本代表選手の多くが五本指ソックスを愛用している。後述するが、このソックスは、今後の日本サッカーの発展を考えたときに、大いなる可能性を秘めているのだ。



例えば、昨年10月のこと。田中碧の靴下がドイツメディアで報じられて話題となった。彼が長年愛用している五本指ソックスについてフォーカスされた報道だった。繰り返すが、先のW杯のスペイン戦で決勝ゴールを決めてヒーローになった田中だけではなく、多くの日本代表選手が五本指ソックスを愛用している。

そもそも、サッカー選手のようなアスリートが五本指ソックスを着用することで、どのようなメリットが得られるのか。

靴下専門店「靴下屋」を運営し、日本代表選手をはじめ、多くのプロサッカー選手が愛用するフットボールソックスを製造しているタビオ株式会社のタビオスポーツ担当者によると、協力を仰ぐ医療機関やさまざまな実験から、以下の4つの利点が挙げられるという。

1.足の安定性

サッカーは足を使う競技である以上、足の安定性がすべてのプレーの起点となるのは説明するまでもないだろう。

2.瞬発力

瞬発力はどのような球技においても選手に求められる能力なのは容易に想像がつく。具体的には、普通のソックスを履いた時と比べて、五本指ソックスを着用すると、瞬間的に発揮できる足のバネの力を示す数値が上がるという。

3.足指の握力

身体的な機能が向上する効果以外にも、足の握力が増すことで関節をねんざするリスクを減らせるというデータがある。

4.敏捷性

先の実験で確認された4つの項目のうち、上昇率が最大となる130.4%も有意になるというデータが出たのが、この項目だった。サッカーの世界では、敏捷性を意味する英語の「アジリティ」という言葉が頻繁に使われる。それくらい重視されている能力であり、日本人サッカー選手の優れている能力として国内外で評価されることも多い。

たしかに、アフリカにルーツを持つ選手などはしばしばフィジカル能力の高さが話題になるし、日本代表選手の多くは短距離走のスピードで彼らにかなわない。しかし、小回りの利いた俊敏な動きは日本人選手のほうが優れていると感じられる場面は多い。

例えば、カタールW杯でも、世界中のメディアから日本の敏捷性は称賛された。スペイン戦の堂安律による同点ゴールは、日本の選手たちが素早くプレスをかけ続けたのをきっかけに生まれたのだが、あれは日本の「アジリティ」が世界レベルにあることを証明した場面だった。

ユニフォームやスパイク以上に可能性が眠っている

累計出荷数128 万足(2022 年12 月時点)を誇るタビオフットボールシリーズ。今回の日本代表活動中にも選手からの熱い要望を受け、数十足を提供したという

ここからは五本指ソックスが新時代の日本サッカーのレベルを引き上げる可能性を秘めている2つの理由について考察していきたい。

第1の理由は、これまでソックスがあまり重視されてこなかったがゆえの伸びしろだ。

ユニフォームは以前よりも軽くなったり、吸水性や速乾性などが向上したりしている。スパイクも軽量化が計られ、耐久性や機能性が上がっている。

日本代表ユニフォームの新しいモデルが発売されるたびにバージョンアップした機能がニュースになるし、主要スポーツメーカーから年に数回は新モデルが発売されるスパイクについても、そのたびに進化したポイントが広告などで話題になっている。

ところが、ソックスの機能向上については、これまで軽視されることが多かった(その背景には、指が収まる先端の部分がスパイクに隠れているという事情もあるだろう)。今後、ソックスの恩恵を受ける要素を増やせれば、選手たちのパフォーマンスを向上させたり、ポテンシャルをより大きく引き出せるようになったりする可能性が眠っている。

カタールW杯ベスト16進出チームのなかでは最高位となる9位に相当する、とFIFA(国際サッカー連盟)に認定された日本代表だが、本場のヨーロッパと比べればまだまだレベルに差があるのが現実だ。その差を埋めるために、サッカーの戦術や選手のフィジカル能力をいかにして上げていくべきかについては、よく議論されている。

ただ、戦術レベルやフィジカル能力の向上だけではなく、選手が着用するギアの質の向上にも可能性が眠っていることを忘れてはいけない。水泳の世界などではギアの進化がパフォーマンス向上につながることが明らかになっているが、サッカーの世界でも同様のことがもっと考えられてもいいのではないだろうか。

足指の機能向上で「世界が変わる」

第2の理由は、日本人サッカー選手の持つ特性との相性の良さだ。

この理由については少し専門的な話になるので、順を追って説明していこう。
まず、サッカー界でよく指摘されるこんな真実を紹介しよう。

リフティングは上手いのに、サッカーが下手な選手はいる。しかし、トラップは上手いのに、サッカーが下手な選手はほとんど存在しない。トラップが上手い選手は、ほとんどのケースでサッカーも上手いのだ。

トラップというのは、味方からのパスを止めるプレーのこと。ボールを止めたあとにドリブル、シュート、パスなど次のプレーをすることになる。ただ、味方から来るパスの質や種類を、パスを受ける選手は決められない。バウンドが荒かったり、スピードが速かったりもする。コントロールするのが難しいパスが来ることも少なくない。そうしたボールをトラップする際に求められるのが「技術力」だ。

そして、その支えとなるのが足の指だという。素人目にはわからないが、ボールを正確にコントロールするには、スパイクの内部でしっかり足の指を曲げる動きが有効だと多くの識者が指摘している。

例えば、かつて日本代表でも活躍し、現在は本場ヨーロッパサッカーの解説者としても人気を博している川勝良一氏は、日本サッカー発展のために発信している自身のYouTubeチャンネルやTwitterで、足の指を使いこなす意義を再三にわたって指摘している。

今年2月には『サッカーうまい選手は足指が開く クリエイティブが目覚めるトレーニング』という書籍まで出版した。この書籍では、サッカー選手が足の指を上手に使えるようになれば、「世界が変わる」と指摘されている。

地味でありながらも日本らしさの象徴

では、なぜ、技術力が重要なのか。それこそが、長年にわたって日本サッカーが武器にすべき力だとされているからだ。

前述のとおり、アフリカにルーツを持つ選手に対しては、ジャンプ力やスプリント力などの身体能力で日本人選手は遅れをとっている。同様に、日本人よりもはるかに平均身長や平均体重で勝るヨーロッパの選手には、身体をぶつけたときのフィジカル能力ではかなわない。

だが、技術力は適切なトレーニングを積むことで誰でも磨くことができる。

日本では伝統的に技術力を磨くことをよしとする文化がある。例えば、池井戸潤の小説『下町ロケット』、現在放送中のNHK連続テレビ小説『舞い上がれ』も技術力がテーマのひとつになっている。
また、スポーツの世界でも、技術力が大きなウェイトを占めると言われる野球は先日のWBCもそうだが、すでに何度も世界一の座に輝いてきた。そういった背景からも、技術力を武器に世界へ出て行くというのは最適な戦略と言えるはずだ。

タビオスポーツは横浜 FCと2023シーズンにおけるオフィシャルパートナー契約を締結。メイドインジャパンにこだわった、その品質・機能は折り紙付きだ

カタールW杯ではドイツとスペインという優勝経験国を倒したことで世界中を興奮させた日本代表。ただし、多くの選手たちが指摘しているように、この大会では守備に重きを置いた戦いで結果を残した。2010年の南アフリカW杯でも証明されたように、日本代表が見せる守備の質は世界でもそれなりのレベルにある。

日本サッカーがここから先のステージへ進むためには、守備以外のレベルを上げていく必要がある。具体的には、一つひとつのパフォーマンスのアベレージと、技術力を活かした攻撃のレベルを向上すべきだ。それらを改善しようとするとき、選手たちが身につけるギアの質の向上は大きな力になる。

だからこそ、日本代表でも着用する選手が増えている五本指ソックスは今後の日本サッカーの地位向上の鍵を握っているのだ。地味であるが、日本らしさの象徴とも言える五本指ソックスの進化の行方から、目を離してはいけない。


取材・文/ミムラユウスケ

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