150人からのチン凸、夜のお風呂でバイト、おとんの遺言と借金、月7万円の年金を宗教に突っ込むバアちゃん…炎上後、苦しみながらも配信を再開した元プロゲーマー・たぬかなが目指す“炎上110番”とは

集英社オンライン / 2023年4月1日 15時1分

日本人女性として2人目のプロゲーマーとなったものの、2022年の炎上騒動で所属するプロゲーマーチームから契約を解除された元プロゲーマー・たぬかな。今年1月に再開した「Twitch」での配信から、炎上上等の歯に衣着せぬ発言で話題となっている。活動再開を決意させた亡き父の言葉、下ネタも多い現在の配信の状況、自身を誹謗中傷する人間をどう見ているのかについて語った。（全3回の3回目）

#1 「人権ない」発言による炎上騒動で唯一泣いた友達の言葉
 #2 5000万円でAVオファー、鬼のように届くパパ活の誘い、会社員時代には激務で失禁

父の遺言で配信を再開

――炎上後しばらくは部屋から出なかったそうですね。

かなり引きこもってましたね。半年くらい動いてなかったです。

そのあと2022年7月から8月くらいまでは“夜のお風呂”で働いてました。営業後の銭湯での掃除のバイトです。その後は東京・四谷のガールズバーで働いてました。徳島の友達で上京してる子が夜職をやっていて「やってみたい」って言ったら「じゃあ一緒に行こうよ」って行ってくれて。

ただ8月くらいにおとんが危篤になって。もともと大腸癌だったのが手術をして一時よくなったけど、今度はすい臓に転移してしまって。おとんが亡くなったのが11月だったんですけど、 9月くらいから徳島に帰って、亡くなるまで介護をしてました。

――亡くなったお父さんは大事な存在でしたか。

借金を残したりクソな父親ではあったんですけど、でも優しくて可愛い人で。私のことを大事に思ってくれてたのはずっとわかっていたので。亡くなる前にも「お前負けんなよ」って言ってくれて。

――お父さんの言葉が配信を再開する後押しになったんですね。

大きかったですね。もともと配信を再開するつもりはあったんですけど、なんだか踏ん切りがつかない。きっかけを見つけられず、いつかしよう、いつかしようって。怖かったんでしょうね。でもおとんの言葉で「やる！」って思いました。

ただおとんは借金を残していて、その借金が300万円まで膨らんでいるって発覚したんです。おかんはおとんが死んでから鬱になって働けない。「収入源がないから、実家に仕送りをお願いしたい」って言われてて。借金を払わないと、おかんとバアちゃんが住んでいる徳島の家も取られてしまうんで。

――さらにお婆さんは宗教にハマっていると配信では発言されてましたね。

年金が月7万円くらいしかないのに、それを宗教に突っ込んじゃうから、ほんまに家やばいらしくて...。

チン凸採点で稼いだ15万円はすべて寄付

――じゃあ、今の配信はたぬかなさんの家族の今後もかかっているんですね。私も配信を見ていますけど、雰囲気がスナックみたいですよね。視聴者に毒舌を言ったり、視聴者とたぬかなさんが一緒に遊んでいる感じです。

もう本当に何もNGがなくて。少々言い過ぎたところで、どうもならない。エンタメとして悪口芸人みたいな感じでやっていくという自分の立ち位置が決まってきた感じです。

下ネタもウケるんで言ってます。下ネタ配信って男性配信者がやった方がウケるんですよ。女性配信者の下ネタって男の人が聞くと普通はキツいらしいんですが、私は関西弁なのもあって、聞ける雰囲気が出てるとは言われます。

ミルダム時代から「男の人はよくアソコの大きさについて聞いてくるけど、デカさとかどうでもいい。ただし、硬くしろ、マジで。硬くしろ」とか言ってましたからね（笑）。

――コメントで来た性の悩み相談にのったり、すごくいいですよね。逆にチン凸（男性器の画像を他人に送りつける行為）の話には驚きました。

DMにチン凸してきて「採点してください」って言われることが多いと配信で言ったら「それ無料でやってんの。じゃあお金取ったら」と言われて、1000円もらって採点することにしたら、バンバン送られるようになって。チン凸採点の投げ銭だけで15万円くらいいったんじゃないですかね。一人1000円なので、約150人。そのお金は寄付しました。

男って愚かだなと思います（苦笑）。私に罵倒されたいという人もいるし、“戦闘体勢”の他人のアレを見ることって男性はないじゃないですか。だから、比べたがるんですかね。あとは「僕のちんちんおかしいですか？」とか送ってくる人もいます。

――あとオフパコ（ネット上で知り合った相手とオフラインで会って性交渉すること）のDMも多いとか。

「オフパコ3万でしてください」というDMは昔も今もガンガン来てますね。配信の時に冗談で「ホ別3」（ホテル代別で3万円）でと言ってたら「僕は4出せます」と来て「何、イキってんねん、もっと出せや」とか思ってます（笑）。

送ってきたやつのアカウントを見たら普通のサラリーマンで普段は「今日は営業の帰りにこのラーメン屋に行きました」みたいなツイートしてて。なんで本アカで送ってきとんねんお前、せめて別のアカウントとか作ってこいよと（笑）

実際ネタで言ってるのに本気にしとるやつがこんなに多いと思わなくて。ほんまに「アソコに血がいってる時、男はIQ低くなる」と思います。

余裕がない人ほど怒っている

――それは名言ですね（笑）。配信の内容では「専業主婦と結婚するメリットはない」という発言がWEBメディアに取り上げられてプチ炎上しました。

基本的に女があんまり好きじゃないんです。いわゆる「まーん笑」（女性を揶揄するネットスラング）ですね。勉強も仕事もあんまりせずプラプラしてて、けど女ってだけで一定の生活ができてるみたいな。弱者男性って、そういう女のこと嫌いだと思うんですけど、私も嫌いなんですよ。

私は仕事もちゃんとして勉強して、資格とかもいっぱい取って頑張ってたんですけど、でもそんな努力をしてない女の子が専業主婦になって幸せにやってると妬ましいじゃないですか。だから、嫉妬なんですよ。

――たぬかなさんは自身の発言に怒る人はどういう人だって考えていますか。

私にガチギレしている人は、本当に余裕がないんだろうなって思ってます。配信を見てもネタやなとか、面白いなという人が90%なんですけど、余裕がない人はちょっとのことで刺さっちゃう。つらい人生なんでしょうね。

実際、とある嫌なDMを送ってきた人のアカウントを見に行ったら、ツイートしている内容が病気のことなんですよね。なので、今は気にしてないです。配信を見る人が増えたら、その分ヤバいやつも増えるでしょうし、逆にこういうヤバいやつが出てくるということは、普通の人もいっぱい見てんのやろうなって思ってます。

――切り抜き動画やYahoo!ニュースだけでなくTwichの配信を見ると、たぬかなさんの印象は変わりますよね。お話は上手だし、会話の中でたとえば「大脳皮質」の話が出たり、男女の違いを科学的に説明したりと、勉強されている方なんだなと感じます。

雑学は好きで調べますし、本も好きなんですよ。そういうところで得た情報を、配信とかで自分なりにアウトプットするのが得意なのかもしれないです。

さくらももこさんのエッセイとか、峰なゆかさんの書いてる本とかも全部買ってます。さくらさんは「ちびまる子ちゃん」を書いてる時は柔らかいイメージですけど、エッセイだとちょっと尖ってるじゃないですか。おじいちゃんのことをボロクソに言うてる話とかめっちゃ好きです。

うちのジイちゃんもマジで性格悪いやつだったんですよ。亡くなった時に、生命保険かけとったんですけど、亡くなる1か月前ぐらいに「なんでわいが死んだ後、お前らに金残さなあかんねん」って保険解約して、全部自分のために使ってましたからね。

影響力を持つことで、炎上した人を救うコンテンツになりたい

――eスポーツに出場していた時代の最高月収は100万円だったそうですが、この調子で配信を続ければその収入を超えるんじゃないですか。

うまくいけば超えるかもしれないですね。プロゲーマーの時も、私は年収は4桁ぐらいもらってました。配信がうまくいって、最終的にプロゲーマーを辞めてよかったって思えるようになったらいいかなと、今は思ってます。

――配信以外で、今後やりたいことはありますか。

影響力を持つことで、炎上した人を救うコンテンツになりたいんです。私自身、炎上した後に捏造された情報とかコラ画像が出回ったりしました。すごい弁明したかったけど、それができないというのがしんどかったんです。

なので、炎上した人からもちゃんと話を聞いて、実はこういう経緯があったと弁明させてあげたい。ネットで炎上したことで、自殺まで追い込まれるような子もいるけど、そうなる前に連絡しようと思える場所。それがあると違うと思うんですよね。“炎上110番”じゃないけど、親身になるのが炎上した経験のある私だと説得力も違うと思う。

そりゃあ一部の人にとって、成功した人、綺麗な人、かっこいい人を引きずり落とすのはめっちゃ楽しいコンテンツなんでしょうけど、でも1個くらい望みがあってもいいじゃないですか。炎上した人を復活させてあげたり、弁明させてあげたりする手伝いをする。それをいいねって言ってくれる人もいると思ってます。