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キスで感染するの? 一緒に入浴したらうつるの? 誰もが感染する可能性がある「梅毒」について知っておきたいこと

集英社オンライン / 2023年3月31日 17時1分

梅毒が昨年あたりから急増している報道され、東京都では無料の検査場を設けて不安な人に検査を呼びかけている。キスでも感染するのか? 感染した場合の症状は? 潜伏期間などについて新宿レディースクリニック院長の崎山ゆかり先生に解説いただいた。

2021年の夏から患者数は増加している

梅毒はトレポネーマという病原菌が、性的な接触(他人の粘膜や皮膚と直接接触すること)などによってうつる感染症です。
梅毒は昔の病気というイメージがあるかもしれませんが、実はここ最近患者数は増えています。

メディアなどでも昨年から梅毒患者の急増が報道されていますが、当クリニックでは2017年から統計を取り始めていて、2019年、2020年はいったん減少したものの、2021年の夏頃から再び患者数は増えてきている傾向です。


出典:新宿レディースクリニック

統計を取り始める前の2016年以前は、梅毒で検査や診察を訪れる人は年間で数える程度でしたが、今は「梅毒の検査」を希望される方は珍しくありません。
当クリニックでも“梅毒が流行っていると聞いて心配になったので検査したい”“パートナーに言われて検査に来た”という人がここ最近は増えてきています。
圧倒的に20代前半の女性が多く、次いで20代後半の女性となっています。

梅毒は3~6週間の潜伏期間を経て、さまざまな症状が出ます。
初期の症状としては、感染がおきた部位(主に陰部、口唇部、口腔内、肛門等)にしこりができたり、足の付け根の部分のリンパ節が腫れたりすることがあります。
この時期は他の人に感染させやすい傾向です。痛みやかゆみがある人がいる一方で、痛みがないという人もいて、とくに治療をしなくても症状は自然に軽快します。

しかし体内から病原体がなくなったわけではないので、治療しないまま3カ月以上経過すると、手のひら、足の裏、体全体にうっすらと小さなバラの花のような赤い発疹(バラ疹)が出ることがあります。この全身の発疹はアレルギー、風しん、麻しん等に間違えられることも。
発疹は治療をしなくても数週間以内に消える場合がありますが、抗菌薬で治療しない限り、梅毒が治るわけではありません。
この時期に適切な治療を開始しなかったことで、数年後、臓器の障害に繋がり、場合によっては死亡に至ることもあります。

また、妊娠している人が梅毒に罹っている場合、赤ちゃんに感染し、脳や神経などに異常をきたす先天梅毒の症状が見られるとされています。

梅毒は性生活に奔放な人がなるものではなく
身近な性感染症に

梅毒の感染経路は性的な接触が主であるため「性生活に奔放な人がなるもの」というイメージがあるかもしれませんが、ここ最近の増え方を見ていると、いまや身近な性感染症となっています。

女性の場合、パートナーから感染した、または不特定多数のパートナーがいる、特定のパートナーに不特定多数の性交渉の相手がいることで、梅毒に感染することがあります。

主にセックスなどの性的接触により、口や性器などの粘膜や皮膚から感染するため、相手の口内や口の周りにできものがある場合、キスでも感染します。

梅毒が流行していることで、日常生活の中で知らない間に感染していないか心配になる人は多いですが、タオルなど家族で別々のものを使っていて、梅毒に感染した人が使用したものと一緒に洗濯しても感染はしないので、普段の生活においてそこまで神経質にならなくても大丈夫です。
また入浴においてはお湯で感染することはなく、梅毒の人と一緒に入浴しても感染のリスクは低いです。
ただし、明らかに梅毒の病変が陰部にあって、お風呂の椅子を洗わずに共有した場合は、性行為と同じくらいの接触となるので、感染する恐れはあります。

梅毒の一番の予防は、特定の相手でしか性行為をしないことです。
ですが、コロナ前の日常に少しずつ戻りつつあり、今後さらに人の交流が活発になっていきますし、交流の仕方もさまざまですので、なかなかそういうことにはならないでしょう。

なので、コンドームを適切に使用することが梅毒の予防としては有効です。
ただし、完璧ではないことや、オーラルセックスでも感染するので、「コンドームをしていればうつらない」ではないということを心に留めておいてください。

心配な場合は検査を。治療は完治するまで続ける

検査は通常、医師の診察と血液検査により梅毒にかかっているか判断されます。

何らかの症状がある場合は、すぐに検査し陽性と判定されて治療を始めれば、梅毒は完治します。

ただ、感染して1カ月未満の時期は、血液検査をしても結果が正確に出ないことがあります。
病原体が血液内に侵入し、それに反応して抗体というものができて初めて、正確な検査結果が出るので、感染直後や、病変(できもの)ができた直後には陽性とならないことがあります。

一度、検査で陰性だった人でも心配な人は1カ月後、再検査しましょう。
費用が心配な場合は、自治体や保健所の無料検査場があるので、利用してください。

治療には抗菌剤を用います。早期に治療すれば完治します。検査を先延ばしにしたり、治療をせず放置したりせず、早めに医師に相談しましょう。

また、梅毒は症状が出ても数週間で軽快するため、完治したと勘違いする人が多く、そのまま生活してしまい、知らない間に他の人に感染させている場合があります。
きちんと治療しない限り、梅毒の病原体は体の中に残り、また症状として現れます。
早期の薬物治療で完治が可能な病気なので、とにかく完治するまでしっかり治療を受けましょう。

妊娠している人は、妊婦健診を受けてください。初期の妊婦健診には梅毒の検査が含まれています。
もちろん健診後に、感染する場合があるので、気になる場合は主治医に相談しましょう。

梅毒は、珍しい性感染症ではなくなっているので、自分は大丈夫と思わず、少しでも心配なことがあれば、検査を受けること、そして必ず完治するまで治療を続けるようにしてください。

取材・文/百田なつき

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