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「お巡りさん、ノーヘルでいいんですか?」自転車ヘルメット着用努力義務化直前にリサーチしたら着用率はわずか1割! 条例違反運転する警官も

集英社オンライン / 2023年4月1日 8時1分

道路交通法の改正により4月1日から自転車に乗る際にヘルメット着用が努力義務化される。自転車による重大事故が後を絶たず、自身の命を守るためにもヘルメットの着用は重要だ。警視庁では3月22日から交番勤務の警察官らが着用をはじめ、率先して呼びかけを行っていたが、実際、警察官自身はヘルメットをかぶっているのか。

出勤する警察官もヘルメット未着用

まずは3月27日午前7時に撮影した写真を見てもらいたい。ノーヘルで颯爽と自転車で走っていくスーツ姿の男性が出てきたのは、中央区にある警察官の家族寮だ。

朝7時、警察寮からでてきたスーツ姿の警察官とみられるノーヘルの男性

4月1日からのヘルメット着用の努力義務化に先立って、警視庁は3月22日から都民の模範となるよう、すべての交番勤務の警察官が業務で自転車に乗る際にはヘルメットの着用を行うと発表したばかり。


業務外とはいえ、警察官たるものヘルメットを着用してしかるべきかと思っていたが、この時点では警察官の中でも足並みは揃ってない様子だ。全国紙記者が語る。

「これまで自転車のヘルメット着用は13歳未満への努力義務でしたが、4月1日からすべての自転車利用者が努力義務の対象になります。警視庁は自転車のヘルメット着用をこれまで散々呼びかけ、多くのメディアがとりあげています。
その駆け込み需要で、自転車店では軒並みヘルメットが品薄状態。在庫の状況が落ち着いてから購入しようと思っている人も多いと聞いています」

警視庁のホームページでは平成30年から令和4年までの東京都内における自転車乗用中死者の損傷部位の割合について、約7割が頭部であることや、ヘルメット着用時に比べて着用していないと致死率は約2.3倍になることを公表している。いかに頭部を守ることが重要かを周知させたいという意図があるのだろう。

「子どもに我慢させているのだから大人も守らないと…」

3月28日、小雨の降る中、渋谷区にある警視庁の独身寮に帰ってきたカッパ姿の20代とみられる男性は「安全第一」と書かれた工事用のヘルメットを着用していた。真新しくいかにも急ごしらえで購入して間に合わせたようだ。

全国各地で警察官が 「4月1日から自転車乗車時のヘルメットの努力義務化になります。ご協力よろしくお願いします」 とチラシを配り、ヘルメット着用の呼びかけを行っている手前、どんなヘルメットでも率先してかぶるべきと考えたのかもしれない。

警察のこういった呼びかけを街行く人はどう受けとめているのか。自転車通勤をしているという20代の男性会社員は語る。

「事故を起こした時にヘルメット着用の有無で保険の適用に差が出るなんて噂もあるし、かぶろうとは考えています。
ただ、ヘルメットをかぶったら髪型がくずれるし、ヘルメットを持って会社に行ってもロッカーがなく、自転車のカゴに入れたままだと盗まれそう。しかたがないのでダイヤルロックを買って自転車につけとこうとか考えています」

また、別の30代主婦は子どもの手前、かぶらざるをえないという。

「保育園の送り迎えで自転車に乗る子供にヘルメットをかぶせようにも、いつも嫌がって。危ないからと言い聞かせて子供に我慢させているのに、大人である自分がかぶらないわけにはいかないなと思っています。ただ、荷物も手間も増えて大変ですね」

ルール違反の警察官も「幹部にも怒られたことがないので…」

警察官の草の根活動の効果だろうか、このようにヘルメット着用に理解を示す人がいる一方で、「めんどくさい」「髪型がくずれるのが嫌」といった不満があるのも現実だ。これは警察官とて同じようで、ヘルメット着用が完全に浸透しているとは言い難い。

3月29日、品川区の寮にはいるノーヘル男性

3月29日、中央区にある警察官の家族寮から出てきた40代とおぼしき男性は、サンダル履きにダウンという軽装で自転車を押しながらエントランスから出てきた。

1歳未満の小さな子供を子守バンドで抱えて、横には5、6歳の女の子を2人連れていた。信号で1人の女の子に手を振って見送ると、もう1人の女の子を自転車の後ろに座らせた。そして自分も自転車にまたがると、小さな子供を前向きに抱っこしたまま、ヘルメットをかぶらずに発進させたのだ。

忙しい朝に、育児に積極的な父親とも映る光景だが、東京都の条例では、

「16歳以上の運転者は、幼児用座席を設けた自転車に小学校就学の始期に達するまでの者を1人に限り乗車させることができます。運転者はさらに幼児1人を子守バンド等で背負って運転できます」

となっている。つまり、子守バンドで使って前向きに抱っこして自転車に乗車することは違反であり、これはヘルメット着用以前の話だ。

子守バンドを使っても前向きの抱っこは立派な交通違反だ

3日間にわたって警視庁の独身寮や家族寮を張り込んでみた結果、プライベートでヘルメットを着用していた警察官は約1割にすぎなかった。警察官の家族にいたってはそのほとんどがヘルメットを着用していなかった。
また、子守バンドをつけて前向きに抱っこしてのヘルメット未着用運転は、前出の男性を含め2名確認した。

ある寮に住む40代警察官は声を詰まらせた。

「痛いところ突かれました。張り込まれた寮には警察幹部も多く住んでいますが、今まで怒られたことないんです。彼らは車で送迎があるから自転車は運転していませんが、まあ、努力義務ですからね……(苦笑)」

警視庁に現状に対する見解や業務外のヘルメットの着用についてどのような決まりになっているのか書面で質問状を送付したところ、「警察職員に対しては自転車を利用する際にはヘルメットの着用に努めるよう通達を発出しております。引き続きヘルメット着用促進について指導を行ってまいります」、「子供を抱っこした状態で自転車に乗ることはできません」との回答があった。

ついに始まったヘルメット着用の努力義務化だが、今後どう浸透していくか注目されている。

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取材・文・撮影/集英社オンライン編集部ニュース班

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