1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

ノリが合わない飲み会への参加、作業の手が止まっている部下への言い方……科学が証明しているパフォーマンスがあがる脳の切り替え方とは?

集英社オンライン / 2023年4月5日 17時1分

ノリが合わない飲み会への参加でテンションが下がる、疲れて仕事のパフォーマンスが下がってしまう時にどう解決すればいいのか?『誰でもできるのにほとんどの人がやっていない 科学の力で元気になる38のコツ』(アスコム)より一部抜粋・再構成してお届けする。

テンションが下がりそうなときは

「なりきり」作用を駆使して、
「なんか、この状況を
逆に楽しんじゃってる」
気持ちになってみる
――― 池谷裕二教授ら脳科学者の研究


ノリがまったく合わない飲み会、必ず帰りが遅くなるとわかっている接待(確実に家族に怒られてしまう)、ゴールの見えない渋滞、電車の遅延事故などなど……人生には、不慮に起きる「これ、明らかに時間のムダだな!」「最悪だな!」という出来事があります。



そんなとき、どうすればいいのでしょうか。

論語に「知之者不如好之者、好之者不如樂之者(これを知る者はこれを好む者に如かず。これを好む者はこれを楽しむ者に如かず)」という一節があります。これは、勉強をして「知っている(知識がある)」という人も、それが好きだという人には敵わない。それが好きだという人も、それを楽しんでいる人には敵わない、という意味です。

まさにこの言葉の通りで、どんな状況も「楽しい!」と感じている人(あるいは、楽しもうとしている人)は人生の勝利者だと思います。

では、置かれている状況が決して好ましくないものだったとして、それでも目の前のことを楽しむためにはどうすればいいのでしょうか。

脳科学者で東京大学大学院薬学系研究科の池谷裕二教授によると、脳のやる気スイッチを入れるには「なりきる」という方法もあるそうです。つまり、「楽しんでいる自分になりきる」ということです。自分は楽しんでいるのだと脳をだますのです。

接待で偉い人の長話に付き合わされているときは、「こんなに話がつまらないのに、これだけ出世できるなんて、逆にこの人に興味がわいてきた。いったいどんな人生を送ってきたのか質問しよう」、飲み会がノリの合わない人ばかりだったら、「こんな中でもスッと自然に溶けこめる、私は松山ケンイチのようなカメレオン役者」、渋滞がひどすぎたら、「おいおい、いくらなんでもひどすぎ! 笑っちゃうよ! 私、もう歌っちゃおうかな!」といったように、「逆に楽しい!」という気持ちになってみてください。

そうすると、行動も受け身から、ポジティブな能動的なものに変わっていきます。

反対に、「できない!」「無理!」「最悪!」と思ってしまうと、どうしても積極的な行動がついていきません。

「やる気スイッチ」を入れる最大のポイントは、「やり始める」ことですから、その意味でこのなりきりは、「やり始める」ための導入とも言えるでしょう。どんなことも、積極的に取り組んでいくことで楽しさは増していき、受けるストレスは最小限に抑えることができます。

「最悪!」の代わりに、「逆に、楽しい!」を口癖にしてみましょう。この効果をより効果的に発動させるために、自分の中の切り替えフレーズをつくっておくのも良いでしょう。私が教わったのは、次のようなフレーズです。

「ピンチ・ピンチ・チャンス・チャンス・ランランラン!」(歌に乗せながら)
「大変だ! だからおもしろい」

いかがでしょうか?
こんなフレーズを、つくってみてください。

疲れが出てきたときは

仲間同士の
「愛ある注意」で
途切れた集中力がよみがえる
――― イェール大学ジューらの研究



忙しくて、ろくに休憩も取れないまま働き続けていると、どうしたって注意力は低下してしまうものです。忙しいときほどパフォーマンスを上げたいところなのに、失敗やミスが出てきて、余計にイライラ。そんな経験はないでしょうか。

こうした悪循環を防ぐにはどうすればいいでしょうか?

長期的、かつ理想的な解決策は、自分の能力を向上させること。つまり、一つの仕事にかかっていた時間を、8割くらいに短縮し、短縮できた時間に休憩を入れたり、個人的なインプットができるようにすること――でしょう。

ただ、「今すぐ!」、可及的すみやかにパフォーマンスを上げたいという場合もあります。そんなとき、すぐに効果を発揮するメソッドが、「同僚たちとチームを組む」ことです。これは、自分の仕事を他の人にもやってもらう、という意味ではありません。仕事は、任せられたものを各々でやります。

では、何がチームなのかと言えば、時折、仲間のコンディションをチェックし合い、疲れていそうな人がいたらそれを指摘する、というルールを決めてチームを組むのです。

イェール大学のジューらは、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を使い、被験者の脳の活動状態の撮影を行いました。

この実験では、参加者に「顔」や「風景」などを重ねた複数の要素からなる画像を見せ、注意が散漫になる瞬間を調査しました。そして、明らかに「注意が散漫になっている」という状況のとき、被験者たちに「注意力が落ちていますよ」と教えたのです。すると、彼らに再び集中力が戻り、脳が良いコンディションに戻る、という結果になりました。

つまり、単に「注意力が落ちてますよ」と根拠を持って説明するだけで、脳は「そうだったのか!」と刺激を受けてシャキッとしてくれるのです。ですから、隣のデスクから聞こえるキーパンチの音数が減っていたら、そのことを指摘するようなチームを個人的に組むだけで仕事の効率がアップするというわけです。ただ、指摘するときに気をつけていただきたいのは、その言い方です。

仲間にかける言葉には、常に愛情とまごころを込める

伝え方に関しては、ブラウンとレヴィンソンという学者たちが提唱している「ポライトネス」という理論が参考になります。この理論では伝え方には2種類、ポジティブ・フェイスとネガティブ・フェイスがあるとされます。

ここでいうポライトネスは、一般的な訳語である「丁寧さ」というよりは、相手と人間関係を円滑に保つための「配慮のある」話し方のようなニュアンスです。

ポジティブ・フェイスとは、他人から理解されたい、好かれたい、賞賛されたいという欲求です。これを脅かさないために、褒めたり、相手の承認欲求を満たすような表現を使うということです。

一方、ネガティブ・フェイスとは、他者に邪魔されず、自由でいたいという欲求を指します。これを脅かさないために、相手の自由を奪ったり、非難したりしないようにするということです。

たとえば、ちょっと手が止まってしまった状況であれば、「疲れたよね。ずいぶん長いこと集中していたもんね。あと少しだね! がんばろうか!」のように、相手のポジティブ・フェイスを満たす言い方にしてみるのはいかがでしょうか。

一方、「もうちょっとがんばりなよ」や「ほらほら、手が止まっているよ」などという直接的な言い方は、相手の自由を奪う表現……つまり、「ネガティブ・フェイス」を脅かす伝え方になり、相手もイラっとするでしょう。

仕事では、時にはハッパをかけたり、叱咤激励も必要です。そんなときでも仲間にかける言葉には、常に愛情とまごころを込めたいものです。

『誰でもできるのにほとんどの人がやっていない 科学の力で元気になる38のコツ』
(アスコム)

堀田秀吾

2022/12/1

1,540円(税込)

240ページ

ISBN:

4776212492

「やる気が出ない」「仕事がしんどい」「集中力がない」
そんな、なんとなく「元気が出ない」状態は、科学の力で解消できます!
本書では、ハーバード、NASA、東大など世界の最先端研究で明らかになった、「科学の力で元気になる方法」を厳選して38個ご紹介します。
・変なダンスを踊ると、落ち込んでいても元気が出る
(サンフランシスコ州立大学ペパーとリンの研究)
・背筋をピン! と伸ばして堂々と歩くとストレスホルモンが減少する
(コロンビア大学カーニーらの研究)
・20~30分のマイクロスリープで能力が睡眠前よりも34%向上する
(NASA (米航空宇宙局)ローズカインドらの研究)
・仲間同士の「愛ある注意」で途切れた集中力がよみがえる
(イェール大学ジューらの研究)
・身近な人が喜んでくれそうなことを1週間に5回行うと幸福度が高まる
(カリフォルニア大学リウボミルスキーらの研究)
などなど、ストレスを減らしてパフォーマンスを上げる、とっておきの方法です。
誰でも、どんな環境でもすぐに実践できることばかりなので、ぜひ「人生を元気に楽しむヒント」を見つけてください。
※本書は、2017年2月に株式会社文響社より刊行された『科学的に元気になる方法集めました』を改題し、加筆・修正したものです。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください