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〈祝・ご入園!〉「ママ~行かないでー」泣きじゃくる園児…幼稚園、保育園で起こる春のあるある事件簿。あまりの忙しさに帰宅直後に気絶する保育士が続出…それでも起こる派遣切り

集英社オンライン / 2023年4月4日 7時1分

入園の時期である4月は親も子どもも保育士も、環境が変わって大変なことばかり。保育士経験者の筆者が、この時期に起こる幼稚園、保育園のあるあるを紹介。これも春の風物詩……?

別れ際の園児の大泣きは春の風物詩

桜の花が咲きほこる4月。新学期が訪れ、保育園や幼稚園に入園した子どもたちにとって初めての集団生活がやってくる。そして、4月の朝の日常風景といえば、保育園通園の際の“登園しぶり”による別れ際の大泣きである。

※画像はイメージです

筆者は保育士経験があるが、4月は月曜から土曜まで毎朝毎朝、玄関先で泣きまくる子どもの相手をしたことをよく覚えている。「ママがいい!」「保育園イヤ!」と大声で言われ、仕事に向かおうとする母親に「行かないで~」と泣きじゃくる姿は、少しばかりメンタルに響くものだ。



「お母さん、行ってください。あとはこちらで責任をもってお預かりします」と迎えのバスでプロの顔をしてお子さんを引き受け、親御さんにその場を離れることを促す保育士。

しかし、「行っていいものか……」と迷うお母さんもいる。その迷いを子どもが察するものだから、いっそう大きな泣き声を誘ってしまう。こういうときは心を鬼にして子どもを送り出してほしい。

大泣きする子どもも、他の子どもたちが保育士と楽しく遊んでいる様子を見れば、ケロっと泣き止んで遊びの世界に入っていく。家庭以外の世界を知る子どもの姿を想像して、寂しく思う母親もいるだろう。しかし、それこそが保育園に預けるということなのだ。

春の保育士は重労働すぎて帰宅後気絶する人も

保育士は、親離れが難しい子どもさんと、子離れが難しい保護者、両方の機嫌を取らなければならない。しかし、春先は多忙でそれもなかなか叶わない。

新しいクラス配置で子どもと保護者の名前が一致しなかったり、クラス替えで苦手な先生と組むこともある。環境の変化で落ち着かずケンカや噛みつきをしてしまう子もいれば、自分が作ったものを見せようとする子、排せつ処理が必要な子の対応に迫られることもある。保育士だって新しい環境に慣れなければいけないのだ。

新学期の苦労を40代の男性保育士はこう語る。

「『お部屋に入るよ!』と呼びかけると、昨年度までの保育室に入ろうとする子がたくさんいます。
一方で、自分より小さい子がたくさん入園するから、もう甘えられないと思うのか、しょんぼりしたり、保育士が声をかけても、よそよそしくなる子どももいます」

※画像はイメージです

子どもたちなりに“お兄ちゃん”、“お姉ちゃん”になろうとしているのだろう。そんなある意味でたくましくも感じる姿が見られるのもこの時期の特徴だ。とはいえ、それを見て保育士の疲労がすべて癒されるわけではない。この時期の保育士は、帰宅後に“バタンキュー”となってしまう。

「明かりをつけたまま、その安心感で着替えもせずに玄関先で寝てしまいました。なんだか布団よりかたい床の方が寝やすかった(苦笑)。翌朝、あわてて支度をして、ギリギリで出勤に間に合いました。仕事もなんの支障もなく一日こなせましたよ」

と語る保育士の姿から、この仕事はタフでなければ務まらないと痛感させられる。

一方、親御さんは子どもを保育園に預けると急に自分の時間が取れることになり、大変な時期を乗り越えたことを自覚する。近所のスーパーへの買い物だって30分もかからずにすむものが子どもを連れて行くと1時間以上かかる。毎朝の“登園しぶり”は親もしんどいが、ようやく自分のペースで仕事にも復帰できるのだ。

急な異動やクビ宣言も春に多い

怒涛の4月が終わるとゴールデンウィークがやってくる。保育園になじめなかった子どもは、連休を迎えて「もうあそこに行かなくていいんだ!」と思ってしまう。そんな子どもを休み明けに保育園に連れて行けば、4月末にようやくおさまった“登園しぶり”が復活。再び毎朝泣くようになってしまうのだ。

入園児が本格的に落ち着くのは5月半ば以降。ただその頃には梅雨が始まり、感染症が増えてくるのもまた悩みの種だ。

さて、この時期の公立保育園では保育士の配置転換もある。公務員の常勤保育士が他の園に行くこともあれば、非正規労働をする若い保育士が派遣切りにあうこともこの時期にはよくある。

産休や病休になった常勤保育士の代わりだと、1年未満で所属園が変わったり、月末に突然、「今月で勤務は終了」と告げられることさえある。園児や保護者に最後の挨拶をすることもできず、急にロッカーの荷物をすべて引き上げなければならなくなった保育士の気持ちは穏やかではない。

※画像はイメージです

4月から別の園に勤務することになった公立の派遣保育士(30代・女性)は「こういうことが毎年のようにあるので、これはもう保育士の春のあるあるです」とぼやく。

彼女は今春から別の園に移って、午前7時から午後1時まで働き通しの早番専門となるようだ。6時間休憩なしで、お昼ご飯を食べるのは退勤後だという。保育士は子どもの命を預かる大事な仕事だ。使い捨てのコマのように扱う現状が、改善される日はいつか来るのだろうか。

取材・文/大川えみる
集英社オンライン編集部ニュース班

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