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【漫画あり】「君に届け展 “すき”のちから」が9月より開催決定! 漫画家・椎名軽穂が振り返る『君に届け』へ込めた想い「爽子はこれまで描いたことがないスーパーヒロインでした」

集英社オンライン / 2023年4月13日 11時1分

3月30日よりNetflixにて実写ドラマが配信開始されるなど、今なお多くのファンを魅了し続ける名作少女漫画『君に届け』。このたび、同作の展覧会「君に届け展 “すき”のちから」(以下、「君に届け展」)の開催が発表された。そこで作者である椎名軽穂氏に、『君に届け』と昨年完結した『君に届け 番外編〜運命の人〜』へ込めた想い、展覧会について話を聞いてみた。(トップ画像:©︎椎名軽穂/集英社)

最初に思い描いていたことが全部やれた

——『君に届け』の番外編『運命の人』が昨年7月に完結しました。本編開始から16年目での番外編完結となりましたが、あらためて『君に届け』を振り返って、いかがですか?

プライベートでも一番忙しい時期…人の生き死にに直面する流れの中で、描いていたこともあって…本当にありがたいなという気持ちです。



最初に思い描いていたことが全部やれたのもありがたかったですし、それも長く連載させていただける場があったからできたことですし。あと爽子という主人公に対してのありがたさも生まれました。爽子のおかげで描けたのかな、と。

——爽子のおかげ、ですか。

爽子が作品を作っていってくれたと思います。描き始めたときはそこまでキャラクターを掴めていなかったんですが、描いていくごとに「こういう部分があるんだ」とわかってきて。

「人付き合いがあまり上手にできない子」と思って描き始めたんですけど、実は自分では描いたことのないぐらい完璧な「スーパーヒロイン」だったんです。割となんでもできるんですよね。運動神経も悪いわけじゃないし、頭もいいし。よくできる子過ぎて愛嬌がないように見えるかもしれない、と心配になったくらいです(笑)。

実は「スーパーヒロイン」だった爽子

——言われてみると、たしかにスーパーヒロインですね。

結果的に、ということですよね。自分でも最初からそう捉えていたら、描こうと思わなかったかもしれないです。

くるみの深いところにあるものが表に出て来た

——番外編では爽子の恋のライバル「くるみちゃん」が主人公でした。連載を振り返ってみていかがですか?

思ったより長くかかっちゃったな、と(笑)。もともと1回の読み切りのつもりだったんです。

——なぜ長くかかったのだと思われますか?

くるみの相手が『君に届け』の前に描いていた漫画のキャラクター(『CRAZY FOR YOU』の栄治)なので、すでにバックグラウンドがあったことも原因の1つだと思いますし、くるみの深いところにあるものが描いているうちに表に出て来た、というのもありますね。「これを解決しなくては」と思っていたら、全3巻になってしまいました。

——栄治に関しては過去の恋が描かれたりしましたが、くるみの場合はどういうものが「出て来た」のでしょう。

くるみは、風早への思いはそこそこ消化できていたと思うんですが、自分が爽子にしてしまったこと、自分の嫌な部分みたいなものは抱え続けていたんだろうなと。

——くるみは、風早を爽子に取られたくなくて、悪い噂を流したり、爽子に近づいてけん制したりと意地悪な行動をとった過去がありました。

本編を描いているときにも感じていたことではあったんですが、番外編で同じ大学に入って、爽子と長い時間一緒にいるようになったことで、「この人にああいうことをした」という後悔はより強くなるというか。一緒にいることで、ほどかれていった部分もあったと思うんですけれど。

——そういう2人が友情を育んでいって、「だいすき」と口に出したのがとてもよかったです。友だち同士でなかなか言えない言葉のように思います。

照れますよね。意外にそこがくるみと爽子のゴールになったんだなと思いました。2人ともあまり笑わない主人公だったので、最後には笑えるようになって良かったなと。

お互いに「だいすき」だと伝えあう2人

——完結巻のおまけ漫画で「くるみのような子を主人公に描けたことも楽しかったです」と書かれていたのですが、どういう子だと思っていらしたのですか。

簡単に言うと「ヒール」みたいなことなんですが…今までは、主人公に悪いことをする子を持ってきたりはしなかったんですよね。

短編をたくさん描いてきたこともあって、好かれる主人公とか、読者も気持ちがわかるような主人公を目指して描いていた気がするんです。

くるみは、読者に嫌われるんじゃないかと思って、描くのが怖いタイプでした。

——たしかに、恋に横やりを入れる嫌な子で終わるようなパターンもありますが、くるみからは正直さや純粋さを強く感じました。

主人公っぽい主人公にしようと思って描くのではなくて、くるみだから出てくる言動を描かないと意味がないと思っていたので、「あんな感じ」になりました。

——本人も気づいてないかわいいところがたくさん出てきて、爽子に指摘されていましたね。

欠点が嫌われるかというと、また違ったりしますよね。誰かの意地悪なところを好きだなと思うこともありますから。

爽子に思ってもみなかったかわいさを指摘されるくるみ

私の漫画を読んでくれていた時期があった、というだけでうれしい

——2023年9月20日から「君に届け展」が開催されますね。

コンセプトも素敵で、すごくこだわって作っていただいているので楽しみです。よかったら読者の方も一緒に楽しんでもらえるとうれしいなと思います。

——(担当編集)まだ詳細は秘密ですが、会場でのお楽しみもあるかもしれません。

…まだ取り組んでいる最中です(笑)。

——椎名先生も漫画家さんの展覧会に行ったりすることはありますか?

あ! このカップ見えますか?(※リモート取材のため、モニター越しにマグカップを見せる)くらもちふさこ先生といくえみ綾先生の二人展に行ったときに買ったものなんですが、めちゃくちゃ感動して帰ってきました。

——どんなふうにご覧になりましたか?

どの時代の絵も素敵で。「ああ、この時のこの画面の浮遊感がすごく好きだったな」とか「この空白が素敵だよな」と感じましたし、中高生時代に読んでいたものも多いので、当時の感覚がよみがえるというか、そのときの自分と一緒に見ているような感じがしました。

——『君に届け』の読者の方たちも、今回の展覧会で同じように思うのではないでしょうか。

そう思ってくださったら、本当にありがたいです。ありがたいですし…おかしな話ですけど、その方の気持ちがわかる、というか。なんかこう、感覚を共有できる気がします。

——以前も読者のことを「どこかの時代で一瞬でも一緒の時を過ごせた人」「同志のような存在」だとおっしゃっていましたね。今、椎名先生にとって読者の方たちはどんな存在ですか?

今も同じように思っています。何かしら共通の感覚とか、似通った思い出を持っていたりするから、きっと私の漫画を読んでくださるのだと思うんです。

こちら側からのものだけではなくて、読んでくださる方が持っているものと合わさらないと「好きな漫画」にはならないですよね。お互い持ち寄るものなのかな、と思います。

——一方的なものではないと思えるのは読者にとってもうれしいことですね。これまで受け取ったお手紙など、読者の反応で印象的なものはありますか?

ちょうど最近、思い出していたものがあって。『君に届け』の連載が始まった頃、小学生の女の子からいただいたお手紙に「もし周りに貞子みたいな子がいたら、声をかけてみようと思います」と書いてあったんですよ。

「『君に届け』を読んでそういう気持ちになってくれたんだ」といううれしさもあるし、私も自分の小学生時代のことを思い出す感じもあって。そんなに周りの人と喋るわけではない子に話しかけてみたら、たくさん喋ってくれて「なんかすごくうれしい」と思った記憶があるんですよ。前に出るタイプじゃなくても実は明るい子だったりするし、喋ってみないとどういう子なのかってわからないですよね。そういうことを、思い出させてくれました。

——椎名先生も読者の手紙に自分の経験を重ねたりされるのですね。今またその女の子が『君に届け』を読み返したら、違うことを感じるかもしれませんし、本当に双方向なのですね。

なんというか…もし最後まで読んでくださらなかったとしても、それはそれでいいと思っていて。その人に、私の漫画を読んでくれていた時期があった、というだけでうれしいなと思います。

「君に届け展 “すき”のちから」作者コメント

『君に届け』第0話を読む

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文・インタビュー/門倉紫麻

<展覧会情報>

展覧会キービジュアル

【展覧会名】君に届け展 “すき”のちから
【会期】 2023年9月20日(水)~10月2日(月)
【会場】 松屋銀座8階イベントスクエア
【開館時間】 午前10時-午後8時
※最終日は午後5時閉場 ※入場は閉場の30分前まで
※一部営業時間が変更になる日がございます。
【お問い合わせ】
松屋銀座 03-3567-1211(大代表)

チケット情報は2023年6月中旬発表予定!

【展覧会概要】
主人公・黒沼爽子とクラスメイトの風早翔太とを中心に、友情・恋愛・進路などを通して登場人物たちが成長していく姿を丁寧に描いた珠玉の青春ストーリー、『君に届け』。
本展では、爽子をはじめとした個性あふれるキャラクターたちの様々な “すき”のかたちを、多数の繊細で美しいカラーイラストや、まっすぐな言葉が心に響く名シーンの直筆原画、貴重な創作資料の数々を含め、総数250点以上の展示でご紹介します。
少女漫画の枠を超え、男女問わず幅広い層に人気を博した本作の、今なおみずみずしさにあふれる魅力を会場にてお楽しみください。

主催:君に届け展製作委員会
原作:椎名軽穂『君に届け』
企画協力:別冊マーガレット編集部
協賛:ローソンチケット

公式サイト:https://kimitodo-ten.com
公式Twitter:@kimitodo_ten

2023年秋に大阪会場開催決定!

※本展覧会に関する情報は予告なく変更される場合があります。最新の情報は展覧会公式サイトをご覧ください。

『君に届け』(集英社)

椎名 軽穂

2006年5月25日発売

484円(税込)

新書判/208ページ

ISBN:

4-08-846061-8

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陰気な見た目のせいで怖がられたり謝られたりしちゃう爽子。爽子に分けへだてなく接してくれる風早に憧れている。風早の言葉をきっかけに変わっていけるみたい…。夏休み前、爽子は肝試しでお化け役をやることに!?

『君に届け 番外編〜運命の人〜』(集英社)

椎名 軽穂

2019年9月25日発売

484円(税込)

新書判/208ページ

ISBN:

978-4-08-844248-8

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高校を卒業した爽子たち。くるみの前に“運命の人”が──!?
高校卒業後、同じ大学に進学したくるみと爽子。気乗りしない合コンに爽子を誘って参加したくるみですがそこでおかしな男に絡まれてしまいます。そんなピンチを救ってくれたのは「えーじお兄ちゃん」。どうやら爽子のイトコらしいのですが…。

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