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敏腕トレーダーが占う、2023年「米国発・世界的株高」からの2024年「金融大暴落」“悪夢のシナリオ”

集英社オンライン / 2023年4月17日 7時1分

為替トレーダーとして30年以上、世界経済を見続けている岩永憲治氏は「史上最大規模の金融危機が2024年末前後に起こる」と予測する。2024年の秋の米大統領選前には世界株高でユーフォリア(多幸感)状態となり、そこからジェットコースターのように転落するという「悪夢のシナリオ」とは?

新たな日銀総裁・植田氏に期待される政策とは?

2023年2月10日(金曜日)、日銀の新総裁として植田和男氏(東京大学名誉教授、マクロ経済学者で元日銀審議委員)が黒田日銀総裁の後任として起用されることが発表された。



その直後から一時的には、為替市場も株式市場も波乱含みの様相を呈していたが、個人的な見立てではあるが、為替市場、特にドル/円のマーケット、そして円金利市場、さらには株式市場のいずれに与える影響いずれも、当面は限定的に過ぎないと見ている。

元米財務長官でマクロ経済学者のラリー・サマーズ氏は、「日本のベン・バーナンキだと考えてもいいだろう」と評している。さらに植田氏が、バーナンキ元FRB議長と、ほぼ同じ時期に米マサチューセッツ工科大学(MIT)で学び、同氏の論文の指導者も同じであったことも指摘。

「植田氏はバーナンキ氏と金融経済における同じような分野を専門とし、穏やかで学者らしい学問的な話し方をするが、決断力もある」とリップ・サービスさながらだった。

ただ続けて、「日本では極めて複雑な問題が待ち受けている。イールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)政策をいつまでも維持することはできないと思う。植田氏の能力が試されることになる」と語った。この文言でサマーズが言いたいところはここだ。イールドカーブコントロールをいつまでも続けることはできないぞ!ということが、含意である。

一方、植田氏のマーケットに対するリップ・サービスとして、2023年2月10日時点でのメディアのインタビューに対して、「現状では金融緩和の継続が必要だ」と当時の黒田総裁の異次元緩和路線をサポートしている。

そして植田氏に関して参考にできるエピソードとしては、次のようなものがある。日銀は1999年に先進国で初めてゼロ金利政策を導入したのだが、グローバルマクロ的な経済の認識を見誤った結果、拙速にも2000年にゼロ金利政策を解除してしまい、日本経済の景気回復をさせられず、この政策は失敗に終わる結果となった。

この当時の金融政策決定のメンバーは、総裁と副総裁を含めて9名であり、ゼロ金利解除に賛成票7名に対して解除に反対した2名だけだった。そのうちの一人が植田審議委員であった。

ほかにもポイントとなるのは、大蔵省(財務省)官僚畑出身の黒田氏や、企業買収のプライベート・エクイティ・ファンド畑出身のパウエルFRB議長とは違って、グローバルマクロ経済を専門にしている学者畑出身という点である。

例えば金融危機の際にも、グローバルな視点で日本の立ち位置や状況を判断し、論理的かつ迅速な対応ができると期待されていることであろう。

2023年末は、米国発の世界株高ユーフォリア状態

私が声を大にして言いたいのは、2024年末までに米国発の史上最大、かつ最後のバブルが起き、その後崩壊するなら、世界中の人々が相当なお金を失ってしまうということである。そして、もうそれはかなり高い確率で決まっている、とさえ私は思っている。

なぜ米国では、国民経済の健全な発展に貢献するはずのFRBがそんなことを許すのかと聞かれても、私が用意する答えは一つしかない。そうしたい誰かの意思が強く働くからだ。

むろんその前段階には米国発の世界株高で市場がユーフォリア(多幸感)状態が昂進し、2023年末は世界中がハッピークリスマスを迎えるのだろう。そうした感覚を我々日本人も1989年末に経験させられた。日経平均株価は12月29日の大納会に3万8915円まで上がり、財界人や大手証券会社は翌1990年には5万円まで上昇することを予想していたし、10万円になると宣した強者もいた。

今回はそれが米国発で世界中の市場で起こるのだ。それゆえに読者諸氏が、そのバブル崩壊に巻き込まれないよう、本書で強く訴えているわけである。

私がいくら史上最大のバブル崩壊後に「危険だから買いはやめろ」と叫んでも、相場が下がればみんな買うのだろうが、せめて本書を読まれた方だけには、そうした難を逃れてほしいと思っている。

ウクライナであのような悲惨な戦争が起こっているなか、これだけ市中にお金が回っている。バブルにならない理由はむしろない。しかし、バブルは所詮バブルなのだ。米国がロシアーウクライナ戦争に絡むことにしたのも、お金を回すためだろう。戦費を稼ぎ、バブルを起こしてマネーを確保する必要があった。

ウクライナが各国に武器支援を求め、それに呼応して多くの国が支援を実施する。各国の在庫が一掃されれば、新たに補充がなされる。軍事費が年々引き上げられている現状では、軍需産業へ長期的にも利益がもたらされることになる。

「死の商人」という言葉はもはや使い古された言葉なのかもしれないが、世界の主要武器輸出国のうちで最大のシェアを占めているのは米国で、それは4割にものぼる。

最初にクラッシュするのが中国ではない理由

戦争もあり、皆が疑心暗鬼のなかで、じわじわと賭場は拡大していく。最後に世界中がバブル相場に参加したところで、世界株高ユーフォリア状態が出来上がる。

おそらく株取引の出来高が史上最大規模、史上最高値になったとき、メディアが「これだけ出来高があっても、株価は下がらない」と大騒ぎしたときが崩壊への〝転換点〞だろう。

そしてその後、最初にクラッシュするのは米国の株式市場で、中国発とはならないはずだ。というのも、中国株は国内経済が疲弊しているがゆえに向こう2年間で米株以上の大幅な上昇が見込めないからだ。米国がつくったバブルを米国で潰す形となる。

米国経済がクラッシュするのはもう目に見えている。ただし、暴落するのは2022年、2023年ではない。基本的には2024年の第3四半期、大統領選挙に向けてのタイミングまでの上昇とそれ以降の下落を考えている。現職大統領が再任するためには、是が非でも選挙が終わるまでは株価を高値で維持しておく必要があるのだ。

NYダウの経緯(月足)

上図のチャート分析(図表1-1)で見ると、2016年のNYダウが六陽連(月足で6カ月連続の高値引け)を示現したところが、上昇相場にはずみがつく合図と なっている。

歴史的なサイクルから考えると、バブル生成の期間はおよそ10年。2009年の安値6500ドルからはすでに10年以上が経過し、価格も5倍を超えてきている。現時点でバブルのピークを迎えていてもおかしくないはずだ。それなのに、なぜ2024年まで株価が急進する可能性があるのか。後章でさらに解説していくことにする。

なお、2024年は、史上最大最後のバブルの頂点となり、最高値を打つのは極めて短時間、つまりあっという間に最高値から落ちてくるようロックオンされているのではないか。そのあたりの価格の動きも含めて、読者諸氏にお伝えしたい。

その100年に一度のバブルの崩壊が始まる2024年まで、残された時間はあと約1年、いよいよである。そしてこれから、その前段階のバブルの最後の吹き上げのステージが現在形成されつつある。

文/岩永憲治 写真/shutterstock

金融暴落! グレートリセットに備えよ

岩永 憲治

2023年3月24日発売

1,870円(税込)

四六判/288ページ

ISBN:

978-4-08-786139-6


もうすぐリーマン・ショック級の金融危機が起きる!?元敏腕トレーダーが近未来の経済危機を予測し、潮目の見方を指南!

リーマン・ショックから15年。コロナ禍やウクライナ戦争で世界の情勢も変わり、それまでのグローバル経済は立ち行かなくなった。最大の問題は世界的なインフレが止まらないこと!世界中にお金があふれ、生産地と消費地の間のいたるところでボトルネックが発生した結果だ。2022年からアメリカは金融を正常化しようとして急速な金利の引き上げを行っているが、その体制下で新たな金融危機が起こる可能性が飛躍的に高まっている。(2023年3月半ばにも、アメリカではIT系の投資に積極的だった3つの銀行が破綻し、米国財務省の即断の政策により金融危機が未然に防がれた。)
そんな予断を許さない情勢のなか【次なる史上最大の金融危機が2024年末前後に起こるであろう】と予測する。既に経済不況に突入したという意見もあるが、リーマン・ショック後の為替変動をいち早く予想した著者は、もう一度バブルの最後の吹き上げが起こり、2024年の大統領選の終わるころには米国経済においては株価が上がって景気も良くなったというユーフォリア状態に陥るという。そして誰もが予測もしなかった状況で反転し、最終的には1929年の大恐慌やリーマン・ショックを超える危機が来ると言う。
その兆候はいつ、どんな形で現れるのか?過去のバブルとその崩壊の歴史を紐解きつつ、トレーダー時代に培った「潮目の読み方」を披露する。自衛隊での訓練経験を持ち、外資系金融機関で様々なキャリアを経た著者は、独自の情報収集力に優れ、危機管理意識も卓越している。そんな著者が日本人の誰もがこれからの困難な時代に自分の金融資産を守り生き抜くために是非とも読んでほしいと、渾身の思いで書いたデビュー作である。

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