父のリストラをきっかけに母から「あんたが働いて」と言われてアイドルへ。最上もが、バイセクシャルへの思いも語る
集英社オンライン / 2023年4月21日 11時1分
2021年に第1子を出産し、シングルマザーとして育児と仕事を両立しているタレントの最上もが(元でんぱ組.inc)。初のフォトエッセイ『も学 34年もがいて辿り着いた最上の人生』(KADOKAWA)を刊行した。本記事ではデビューのきっかけなどを一部抜粋・再構成してお届けする。
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アイドルとしてデビューしたきっかけは父のリストラ
将来の夢はありませんでした。〝生まれたから生きてる〟という感覚で日々をやり過ごし、全てが惰性でした。
人間関係のトラウマがかなり強く、「一生ネトゲだけやって生きていたい」と本気で思っていました。
そこからアイドルとしてデビューすることになったきっかけは、父のリストラです。そのとき母は専業主婦で、妹が受験を控えていて、兄は大学生でしたが事情があり休学中。
リストラと兄のことで両親は毎日のように喧嘩をし、家の雰囲気は最悪、夜な夜な母の啜り泣きが聞こえていました。
「あんたが働いて」。私は母からそう言われて、家庭の事情で働かざるを得ない状況になり、仕事を探していたときにアイドルグループのプロデューサーである〝もふくちゃん〟と知り合い、スカウトされ、デビューすることになったんです。
多分、声をかけてくれたのが〝もふくちゃん〟じゃなければ私はアイドルをやっていなかったと思います。
押しに弱かったから勢いに困惑して乗ってしまった船、という感じでしたが、歌もダンスも人前に出るのも物凄く不得意だったため、何度後悔したか数えきれませんし、毎日緊張と不安で胃が痛くなり、仕事に行く前から帰りたいと思ってました。
活動を続けて数年後に「社会不適合者がアイドルを経て人間らしく成長している。リハビリアイドルだね!」と唐突に言われたときは笑っちゃいましたが、その頃には自分でもびっくりするくらいメンバーのこともファンのことも大切になっていたんです。
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好き、と出会えることは奇跡
あのときこうしてたらもっと良い人生だったのかも、と思うことがあったとして、それが自分にとっての〝正解〟か〝不正解〟かっていうのは、巻き戻せるわけじゃないからわからないんです。
そういうとき、友人でも恋人でも漫画のキャラでも芸能人でもなんでも、〝この人と出会えてよかった〟そう思える人が一人でもいれば、自分の人生は間違ってなかった、と思うようにしています。
人じゃなくても、作品だったり、物だったり、なんでもいいんです。私にとって、出会えてよかったファンの人はたくさんいます。もちろん娘だってそう。
だから、自分の中で後悔してることがあったり、これは間違えたってことがあったりしても今までの選択は私にとっての正解なんです。
戻りたい過去に縋っても、あの頃には決して戻れなくてそこに囚われて進めなくなるのはもう嫌なんです。
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性別も自分の好みも誰を好きになるかも
自分の生き方は自分で決めていい
昔から、恋愛対象として女性も男性も気になっていたけれど、それを疑問に思ったことは一度もなかったんですよね。
アイドル時代、SNSにバイセクシャルだと投稿したときも、私自身はカミングアウトをしたという意識は全くなく、最上もがを勝手なイメージで話している人たちに「いや、違いますよ」って言いたかっただけなんです。
当時は「レズ」「ゲイ」「バイセクシャル」の3パターンしかあまり言葉がなく、今ではもっと細かく分類されていますが、私の場合は性別を意識して誰かを好きになる、というより好きになった人がその人だった、っていうただそれだけでした。
娘に対しても、今は〝娘〟という表現をしていますが、〝生物学的には女である〟ということだけで、娘が自覚する性別はなんでもいいです。
もっと大きくなって自分の性について考えるときが来たら、そのとき自分で決めやすいようにと、名前をつけるときも〝性〟に囚われにくい名前にしました。
何が子供にとって良いことなのか、良い親なのかということではなく、私自身の性に対する考え方がこうだったからです。
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今が一番良いと思って生きたい
他人から見れば「あの頃が一番可愛かった」みたいなことはよく言われますが、10代の頃と比べたら圧倒的に34歳の自分の方が綺麗になったと感じます。
あの頃からメイクを研究していたら当時は違ったのかもしれないけれど、やっぱりセンスとか技術とかって学んで経験を重ねないと取得できないですし、美容に関しても知らなかったことがたくさんだったので、綺麗になるためには〝自分をよく知る〟ことがとても大事だなと思いました。
それと同時に、「努力すれば誰でもある程度は綺麗になれる」と自分で実感したんです。
20代後半からはサボればサボる分、衰えるということをかなり実感しました。外見だけじゃなく体力面もそうです。
自分が10代の頃は30代の人のことを「おばさん(おじさん)だなあ」と思っていて、老けることへの恐怖はかなりありました。けれど、職業柄なのか、時代なのか、年齢を感じさせない人は沢山いますよね。
産後の体型についてもどうやって戻したのかよく聞かれました。産後2ヶ月で撮影を予定していたのですが、脂肪吸引などは一切せず妊娠中からできる範囲で筋トレや運動で体形管理をしていました。
産後のぽっこりお腹を戻すのは本当に苦労しましたし、今思えばお金をかけて楽すればよかったなって思う面もあります。
そうしなかったのは自分自身でどうにかできなければこの仕事も続けられないとなぜか思っていたからです。
見た目にこだわるのは「綺麗になりたいから」というのはもちろんですが、「自分のことをこれ以上嫌いになりたくないから」という理由が一番かもしれません。
そういう意味では、すぐ「劣化」と言われてしまうこの表に出る仕事というのはサボりにくい理由にもなっていると思います。
文/最上もが 写真/桑島智輝
『も学 34年もがいて辿り着いた最上の人生』(KADOKAWA)
最上 もが
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4月3日発売
1,760円
160ページ
978-4048971768
34歳、元アイドル、シングルマザー「最上もが」初のフォトエッセイ。
"不器用でもいい" 生きづらい日々を変えるため、自分と向き合う1冊。
#2 最上もがが闇に堕ちていた日々。「わかってほしい、好きでいてほしい、一番になりたい、大切にしてほしい、何があっても味方でいてほしい」と友達とファンに思っていた。 はこちら
#3 「今は自信を持って『シングルマザーは楽しい』と言える」「二人目は欲しいと思うけど、パートナーが欲しいとは思わない」最上もが、娘との日々 はこちら(4月22日11時公開予定)
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