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「この会社、もう辞めたい」と新年度早々に思ったら? 退職学®️の研究家が教える「ストレスのない転職」に必要な“エージェント登録前の準備運動”とは

集英社オンライン / 2023年4月17日 7時1分

終身雇用神話が崩れ、転職希望者も増えている。しかしキャリアに迷いを感じたとしても、転職には時間とエネルギーを要するのが実情だ。そこで、人生を軽やかにシフトチェンジするコツを、退職学®️の研究家・佐野創太さんに聞いた。

転職希望者はたくさん。でも本当に転職する人は「半分以下」

——佐野さんの新刊『ゼロストレス転職 99%がやらない「内定の近道」』 の中で、近年の転職志望者は約800万人と非常に多いが、実際に転職するのはその半分以下だと書かれています。なぜ実際に転職する人が少ないのでしょうか。

転職のハードルはいくつかありますが、中でも影響が大きいのは「1社で勤めあげることが美学」という考えの人が未だに多いことが挙げられます。



日本は転職が当たり前の文化ではなかったので、特に初めて転職する方は「本当にこの会社を辞めてよいのだろうか…」と非常に悩むと思います。

また、転職活動に時間を要することも、転職を諦める原因のひとつです。在職の方が転職しようと思ったら、日中仕事をしながら転職活動することになります。

そうすると転職エージェントとの面談や転職先探しなどは、平日の仕事が終わった夜の時間か土日に行うことに。これが想像以上にハードスケジュールだと、精神的に心が折れて諦めてしまうというケースもすごく多いです。

退職学®️研究家 佐野創太さん

——たしかに転職は、精神的にも肉体的にもハードな印象があります。

今でこそ転職活動はだいぶ仕組み化されていますが、やることは多いですよね。プライベートを犠牲にする覚悟が必要な状況です。

それから転職活動は、興味のある企業や志望度が高い企業から受けていくことが多いですが、最初に受けた数社で決まる人はごく一部の優秀な方や学歴の名前の知れた企業出身の方だけです。

たいていの方は数社連続で不採用になってしまうため、そこで「私には転職なんて無理なのかな…」と落ち込んでしまう方も多い印象がありますね。

「やってみたら意外と大変だった」というのが、転職活動の初期に抱きやすい感想だと思います。

転職エージェントへの登録より前にするべき「準備運動」

——ここまでのお話で、従来の転職フローはエネルギーを使い消耗する印象があります。

ここは転職市場の問題点でもあると感じています。転職エージェントはとても頼りになる存在です。特に、初めての転職だったり忙しい人にとっては心強いパートナーです。ですが、実は、転職志望者が目にする「転職エージェントや転職サイトの広告」と、現場のエージェント担当者が思ってることに構造的なずれが生まれています。

広告を打つ転職エージェント会社自体は、より多くの転職志望者を集めたいと思っています。だから、なんとなく転職を考えている人やあまり考えてない人も含めて、気軽に登録してもらいたいんですよね。

一方、現場の転職エージェント担当者は「志望者に転職してもらうこと」が仕事なので、とにかく就職先を紹介してマッチングすることが先決です。しかし登録者が多すぎるので、じっくりキャリア相談やフォローをする時間があまりに少ない。つまり、「本気で転職すると決意している人を優先するしかない」状況です。

私は転職エージェントの育成の仕事をするので、現場のエージェントの悩みも聞きます。「本当は一人一人しっかりフォローしたいが、転職しようか悩んでいる人にかける時間はどうしてもない」と悩んでいます。

こうしたズレによって、転職エージェントに登録してもなかなか転職先が決まらないという状況になりやすいんです。

——転職エージェントが手一杯の状況下で、転職者自身が転職成功のためにできることは何でしょうか。

転職エージェントのフォローを受ける前に、自己分析やキャリアの棚卸しをしっかりと行うことです。転職活動の始まりは、とりあえず転職エージェントや転職サイトに登録することではなく、自身の棚卸しという"準備運動”から始まるのが理想なんです。

準備運動の最初にやってほしいのは、自分の強みを見つけること。強みは新しく探すよりも、自分の中から見つけ直すのがおすすめです。普段からスムーズにできる業務や、特にストレスなく実施できるアクションが、あなたの強みである可能性が高いです。学生時代の活動も、強みのヒントになります。

また、休職や無職、早期退職、リストラなど自身が弱みだと判断しているエピソードを、応募先の企業が知りたがっていることもあります。

近年の経営者の中には、社員の育休や産休、介護休職などの事情に対応するために、より社員のことを知ってセーフティネットを作ろうとする人も増えています。こうした会社では、先に弱みを伝えていたほうが安心してもらえるのです。特に、経営者や役員のプロフィールを見て自分と近しい経験をしていたら、開示することは大切です。

これ以外にもさまざまな準備方法があり、『ゼロストレス転職』(PHP研究所)でも紹介しています。しっかりと準備をした方は、転職エージェントからも「この方は本気で転職する気だな」と見られます。先に述べた通り転職エージェントは転職させるのが仕事なので、そういった事前の準備をしている方ほどしっかりと向き合ってくれるでしょう。

「この人とまた働きたい」と思ってもらえるような仕事をする

——何度か転職を繰り返して「やめグセ」がついてしまったら嫌だと思う人もいます。やめグセをつけないコツはありますか?

転職の準備運動を通して「自分の軸」をきちんと決めておくことが大事ですね。

転職活動は文化の違う会社へ飛び込む行為なので、例えるなら海外移住のようなものです。そんなリスクを冒してでも転職したいということは、大きな不満があるからなんですよね。まずはその不満と向き合っていただきたいです。

その上で、どこか違う会社に行って不満が解消されることは、かなり稀だと思ってください。よくあるのは、上司が嫌だから転職した人が、転職先でさらに嫌な上司に出会うこと。そう、不満はどこにいってもあるのです。

まずは自分の中の「嫌なこと」をノートなどに書いて言語化してみましょう。一度退職することを前提に書き出す「退職成仏ノート」を作るのです。その書き方は『「会社辞めたい」ループから抜け出そう!転職後も武器になる思考法』(サンマーク出版)で紹介しています。そうやって書き出すと「本当に解消できない不満」と「自分が工夫すれば解消できる不満」とに分類できることもわかります。

そして不満を整理しているうちに、だんだんと心が落ち着いて不満の本質を見つめられるようになります。その結果、自分の軸、つまり「私が本当に転職したい理由」が見つかるというわけです。

——佐野さんにとって「よい就職・転職」とは何でしょうか。

これからはますます、一度就職しても転職する人が増えると思います。仮に自分は転職しなくても、一緒に働いていたメンバーが辞めていくこともあります。「環境が変化する」という意味では、同じ瞬間は二度と訪れないのです。

だからこそ「もう一度この人たちと働きたい」「もう一度この仕事をしたい」と思えるくらい惚れ込んだ会社や仕事を見つけられたら、よい就職・転職ができたということのではないかと私は感じます。

——転職は「人生探し」のような側面もありますね。

そうなんです。仕事は食っていく手段としてだけ選べばいいものではありません。働き方という”How”を変えたかったら、「なぜ働くのか」という“Why”や「どう働くのか」という"What”を問い直さないと、いつまでたっても変わらないのです。転職をしても同じことの繰り返しになります。

これからは転職が前提になる時代。そのなかで私たちはずっと「いつ仕事がなくなるかわからない」という不安状態に置かれます。

その不安への対策は、退職後も声をかけられるような辞め方をすることだと思います。仕事は自分だけで作るものではなく、誰かが運んできてくれるものです。だから「また一緒に働こうよ」と声をかけてくれる人が常にいるような転職ができたら、不安のない生き方ができるのではないでしょうか。

確かに終身雇用はしがみつくには頼りないものになってしまいました。でも、安心と挑戦のバランスをとれる「セルフ終身雇用」は作れます。それは転職の度に「あなたとまた一緒に仕事がしたい」と声をかけられる自分になる働き方です。ストレスのない働き方は、確かに作れます。

『ゼロストレス転職 99%がやらない「内定の近道」』(PHP研究所)

佐野 創太

2023/3/1

¥1,815

336ページ

ISBN:

978-4569854052

働きながら転職、しんどくない?

年間約800万人が転職を希望しているにもかかわらず、実際に転職する人は約300万人。
残りの約500万人は、転職活動を途中でやめるか、最初から転職をあきらめる。
頑張っても内定が出ない人、簡単に内定を獲得する人――。
両者の差は、以下のポイントを知っていたか否かでしかない。

・何十社も応募する必要はない。「数社に集中」。
・誰にも負けない「強み」や「すごい実績」はいらない。必要なのは、再現性。
・履歴書と職務経歴書以外に、「プラスアルファの資料」が欠かせない。
・「転職エージェントガチャ」で、ハズレを引かない。
・面接は、口がうまい人が勝つわけではない。「面接官を誘導する」「資料に語らせる」。

その具体的な方法とは何か。
本書を読めば、最短で理想の企業から内定を獲得する近道がわかる!
体力的にキツくない、長引かせない、自己肯定感も下がらない、「要領のいい転職戦略」。

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