普通に面白くて、なのに読んだらタメになる。誰もが持つ【知りたい】というドキドキに【面白い】で応えてくれる学習マンガ雑誌「勉タメジャンプ」は4月1日に1号目が発売されたばかり。
《「勉タメジャンプ」掲載5作品が読める》「本当に面白いマンガができなければ発売しない」…週刊少年ジャンプ編集部が学習マンガ雑誌を出した“本気の理由”とは
集英社オンライン / 2023年4月15日 12時1分
「週刊少年ジャンプ」が本気で作った学習マンガ雑誌「勉タメジャンプ」が発売中。雑誌を立ち上げた「週刊少年ジャンプ」の本田佑行副編集長にその制作の背景や裏話を聞いた。(サムネイル画像/©勉タメジャンプ2023 SPRING/集英社)
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©勉タメジャンプ2023 SPRING/集英社
小学生にも分かりやすい知識や学びがマンガや読みものの中に自然に盛り込まれ、純粋なエンターテインメントとしての面白さも兼ね備えているから、大人の好奇心もくすぐられる……まさに「週刊少年ジャンプ」ならではの学習マンガ雑誌になっているというが、なぜ今、ジャンプが学習マンガを作ったのか。
情報があふれている時代だからこその“1冊”
――勉強とエンタメを組み合わせた学習マンガ雑誌「勉タメジャンプ」を作ろうと思ったきっかけは?
僕自身、幼少期に学習マンガをよく読んでいて、たとえばたかしよいち先生と吉川豊先生の『まんが化石動物記』や『まんが世界ふしぎ物語』のシリーズとかが大好きだったんです。
自分の子どもたちにもそういったマンガを読んでほしいと思って書店さんに行ってみたら、学習マンガって本当にたくさんあって。どれを選んだらいいのかわからないから、学習マンガだけを集めた雑誌を探したところ、見当たらなかったんですよね。だったら自分で作ってみようかなと思ったのが「勉タメジャンプ」の始まりでした。
――学習マンガの単行本ではなく、雑誌という形態を選んだのは?
今回「勉タメジャンプ」を作っていて感じたのは、雑誌って形として、まだ実は古びてないんじゃないかということ。
情報があふれている今の時代に、これを1冊買っておけば雑多なジャンルの知らなかったことや知りたかったことを知ることができる。僕がそういうものを求めていたように、お客さまも求めているんじゃないかなという気持ちがあったので、単行本スタートじゃなくて雑誌スタートがいいなと思ったんです。
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「週刊少年ジャンプ」の副編集長・本田佑行氏
面白いマンガがそろわなければ作らない
――「勉タメジャンプ」を制作するにあたって、普通のマンガ雑誌との違いはありましたか?
学習雑誌はすでに面白い先行の雑誌さんがたくさんあるから、僕らが得意なところ、楽しいと思えるところで勝負しないと作る意味がない。なので、マンガ誌であることにはこだわっていきたいと思いました。
逆に面白いマンガがそろわなければ、無理して作る必要もないのではないかと。コンセプトとしては「週刊少年ジャンプ」で毎回やっていることと同じではあったので、「勉タメジャンプ」ならではのハードルはむしろあまり課さないようにしていました。
――コンセプトというのは、具体的には?
キャラクターマンガであるということです。科学を扱った『Dr.STONE』を例にするとわかりやすいんですけど、あのマンガの主役は科学ではなく、科学を使って困難を突破していく千空というキャラクター。
作品の面白さがキャラクターの魅力に集約されているというところは、「勉タメジャンプ」でも同じです。そこをきちんと守っていけば、読者の方がジャンプ的なものを求めた時に満足できる作品になるでしょうし、学習マンガとしてもエンタメの部分において非常にタフなものになるんじゃないかなという予感はありました。
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――本田さんは『Dr.STONE』の連載を担当されていたそうですが、「勉タメジャンプ」を作るにあたって、その経験も大きかったのでしょうか?
そうですね。『Dr.STONE』って、まさしくちょっと大人向けの学習マンガみたいな作品なんです。科学の面白さをキャラクターと紐づけて展開させる、という作品の作り方を目の当たりにした時に、「このやり方を勉強すれば、学習マンガも編集できるかもしれない」っていう目論見はありました。
――「勉タメジャンプ」連載には、Boichi氏(『Dr.STONE』作画担当)、田村隆平氏(『べるぜバブ』『灼熱のニライカナイ』)、古舘春一氏(『ハイキュー!!』)といった超人気作家陣が集結していますが、選出の意図は?
子どもたちには、本当に面白いマンガを読んでほしい。だから、いちばん最初に思ったのは、僕自身が心の底から描いて欲しいと思える作家さんにお願いしたいということでした。
自信を持って「この人はすごいマンガを描ける、キャラクターを転がせる、面白いものを作れる」と言えて、あとは内容の相談をきちんとした上でチューニングができる作家さんというのが希望としてあって、そういう方々にお声がけしていったら、幸運にもこういうラインナップになりましたという感じです。
記事があるからこそマンガはエンタメに振り切れる
――マンガで扱っている人体の不思議やピラミッドの秘密といったテーマは、どのようにして決まったのでしょうか?
テーマに関しては、作家さんが描きたいもの、興味を持っているものです。マンガって、興味があることじゃないと面白く描けないので、こっちからテーマのお仕着せはしたくなくて。
田村先生の場合は「ピラミッドが大好きなんですよ」っていう先生のひと言から始まりましたし、つき合いが長いBoichi先生からは「僕はなんでも描くから本田さんが僕に合うと思うものを教えて」と言われて、「それだったら先生の画力で、体の中が見たいです!」っていうやりとりでテーマが決まりました。
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『人体レスキュー探検隊-VISCERIS VOYAGE-』©Boichi/集英社
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『セベクちゃんは噛みつきたい』 ©田村隆平/集英社
――「勉タメジャンプ」には、マンガだけでなく小説や読み物も掲載されています。マンガ雑誌にそういったページを収録した理由は?
学習部分の掘り下げ方について最初にすごく考えた時に、まずマンガを読んでテーマに興味を持ってもらって、興味を引き継いだまま読み物で知識を深めていく。この二段組みがおそらく自分たちのいちばん得意な形であろうと思いました。
記事があるからこそマンガはエンタメに振り切れるし、マンガがあるからこそ記事を少し専門的にしても興味を持って読んでもらえるかなというところで、読み物ページを少し厚めに作っているんです。
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『ナゾトキ博士のヒラメキ遺跡探検記』©駆村いと・川口勇貴/集英社
――7月中旬には、自由研究を総力特集した『勉タメジャンプ2023SUMMER』が発売されます。
今は付録を何にするか考えていて、さっきもそのために色々な科学キットの実験をしていました(笑)。僕は、大人になった今も「小学8年生」(小学館)や「子供の科学」(誠文堂新光社)、「学研の科学」(Gakken)などを読んで、「この付録作りたい!」ってワクワクしているんです。
次号の「勉タメジャンプ」では、付録だけでも欲しいと思ってもらえるものをつけて、さらにそれをマンガでいろんな側面から面白く掘り下げていきたい。1冊の雑誌で自由研究をこすり倒したいと思っています。
面白いが本気でタメになる!
試し読みできる掲載漫画は
『人体レスキュー探検隊-VISCERIS VOYAGE-』©Boichi/集英社
『セベクちゃんは噛みつきたい』 ©田村隆平/集英社
『絶対作れる! YouTube教室潜入記』©長谷川智広/集英社
『犬えいご!!』©古舘春一/集英社
『ワコ・チャコ・ヨーコのふわレシピ』©筒井大志/集英社
(漫画を読むをクリック)
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取材・文/吉川由希子 撮影/井上たろう
「勉タメジャンプ 2023 SPRING」
集英社刊
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2023 年4月1日(土)発売
価格:880 円(10%税込)
B5 判 188 ページ
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外部リンク
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