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オタクの人の幸福度は年収 500万以上の人と同じ!? あえて結婚しないことを選んだのに本当に幸せ? 2040年には独身者が5割になる日本で、“おひとりさま”でも幸せに生きることとは

集英社オンライン / 2023年4月16日 19時1分

少子化社会対策に関する意識調査(2018年、内閣府)では、男性26.5%、女性24.1%が「将来、結婚するつもりはない」と答えており、2040年には独身者が5割にもなるという。しかし、孤独死は嫌、やっぱりひとりは寂しいと思う人も多いはずだ。そこで“おひとりさま”でも幸せになれるライフスタイルや習慣を、独身研究の第一人者・荒川和久さんに聞いてみた。

「あなたは今、幸せですか、不幸せですか?
楽しいですか、苦しいですか?」

──無理して結婚しなくても、それなりに生きていける環境が整う中、既婚者ではない非婚を選択した人のメリットってなんでしょうか? 旅行に行きたくなったらすぐ行けちゃうとか、趣味に大枚をはたけるとか……



その発想、根本的なところのスタートが間違っているんですよ。(荒川さん、以下同)

──えっ、どういうことですか!?

非婚だとか未婚に縛られているのは、1980年代までの、全員が結婚した時代の、結婚することが当り前の呪縛にいまだにかかっているんですよ。

結婚していようといまいと、「あなたは幸せなんですか?」ってことに立ち返らないといけない。結婚って人生の目的ではなく、一手段でしかないわけで、それを、絶対的な評価軸に据えて、幸福か不幸か、損か得かって考えること自体が無意味です。

結婚したいのにできないと言っている人たちは、結婚ができないから自分は不幸なんだと思いがちなんですよね。一方、結婚したくないから結婚しないんだって言っている人たちは、別に結婚しないから幸福になるわけじゃないんです。

軸は、「あなたは今、幸せですか、不幸せですか? 楽しいですか、苦しいですか?」ってことなんです。

──非婚者が、結婚できないのは負け組というステレオタイプを気にしなくていいと。では「今、幸せである」って、どんな風に感じればいいんでしょうか?

例えば、独身だけど、なにかしらオタク趣味のある人の幸福度ってとても高いんですね。オタクの人の幸福度は年収 500万以上の人の幸福度と同じぐらい高い。そういう人たちは、未婚であるかどうかはたいした問題ではないんですよ。まさに今が楽しいかどうか。

さらに、男性のコスプレイヤーの結婚率ってとても高い。コスプレやっている人は人に見せるのが大好きで、体を鍛えたりとか、それ自体が楽しいことをやっていると、その流れで女性と知り合って、結果的に結婚することになったりするわけです。

結婚しようと思ってコスプレをやっていたわけじゃなく、自分がすごく幸せになれるから、コスプレをやっていた結果として結婚があったってだけの話。

お金を稼いだからとか、いい会社に就職したとか、彼女ができたから幸せになるんじゃないんです。幸せな人には彼氏・彼女ができるし、幸せな人がお金を稼げる。順序が逆です。

裏返せば、毎日毎日「くそ―っ」とか言いながら、人のことを妬みながら生きている不幸そうな顔をしている人と恋愛したいと思いますかっていう……。

「独身でいるから孤独死するんだ」は間違い

──幸せであることが大事だと分かったのですが、結局“晩年、ひとりで寂しく死にたくない”という思いも出てくる人がいるかと…。非婚者が孤独死を避ける方法はありますか?

マスコミが孤独死の恐怖を煽りすぎですよね。結婚したところで、配偶者とはやがて死別し、最終的にはひとりになります。割合でいうと、今の孤独死は75歳以上の高齢者がほとんどですが、今の75 歳以上の高齢者は皆婚時代の人たちで、かなりの割合で既婚者だったわけです。

つまり「もとはみんな結婚してたじゃん!」ってことになるわけです。統計をねじ曲げて、「未婚だから孤独死するんだ」みたいな話にし、孤独死をことさらグロテスクに表現することによって、ひとりで生活していることは、すごく「悪いこと」なんだよっていうことを印象付けようとしているように感じます。

結婚して、子供が生まれたっていずれ独立するし、離婚することもあるわけで。またひとりに戻る可能性は全員にあります。そういうことが前提となったときに、自分はひとりで生きられるのかって話なんです。

それを考えている人間と考えていない人間では大きな違いがあるんですよ。その生涯で結婚するのか、しないという小さな話ではありません。たとえ結婚しても、今の状態が未来永劫続くもんだと思っていることの方が危ういんですよ。

──ゆくゆくは自分ひとりで生きるために、どんなことを準備しておくべきでしょうか?

人は会社に入ったり、家族を作ったりしてそのメンバーになると、この所属するコミュニティというものだけに依存します。いわゆる城壁を作って、その内側にいるものは仲間で、外側は敵だ、みたいな。

それは、決して悪いことではありません。所属するコミュニティ自体は、その中にいることによって安心を提供され、それがあるから人とつながることもできますから。しかし、それだけに唯一依存してしまうのが危険なんです。

所属するコミュニティを例えば大きな船だとした場合、その船が安全に運行してれば目的地に連れてってもらえますけど、タイタニックみたいに沈没する可能性だってあります。
沈没したら泳げない人は溺れ死ぬだけ。そうならないために「泳ぎの練習してますか?」って話です。

所属するコミュニティは、もちろんあった方が安心できますが、それだけじゃなく、それとは別に所属に依拠しない「人とのつながり」もそれぞれあった方がいい。
それが私の提唱している「接続するコミュニティ」の考え方です。

「友達の数ではなく、会話の数を増やしましょう」

──所属するのではなく、コミュニティに「接続」するとは?

例えば、漫画を描いている人やコスプレをしている人は、コミケ(コミックマーケット・世界最大の同人誌即売会)に行くことが多いのですが、コミケ自体は所属するコミュニティではなく、フルオープンなコミュニティです。

そこに行って、アニメ話で盛り上がる人たちはその瞬間に友達になりますが、ずっと友達である必要はないわけです。「鬼滅の刃」が好きな人同士がそこで初めて出会っても、何十年来の友達と同じぐらいに気が合う。その後飲みに行ったりしなくても、その瞬間に終わったとしても、それは「接続」したことになるんですよ。

それで、そういう関係性が延々と続いているってことを信じられるんだったら、ひとり暮らしをしてようが、家族がいなかろうが、誰もひとりぼっちじゃない。コミケに行けば、誰かに会えるっていうことなんです。

──例えば、再びコミケに行って知った顔がいないと、ちょっと寂しく思っちゃうこともあると思うのですが……。

それは、参加する回数が足りてないからです。知った顔はいなくてもまた新しい人に出会えます。で、そんなことをやってるうちに「あれ? 3年前に会いましたね」みたいな人に、もしかしたら会える可能性があります。

知り合いが必ずそこにいると思うということは、やっぱり所属するコミュニティに依存している人なんです。友達がいないってことにこだわる人は、所属するコミュニティの概念から抜け切れていないんです。

そうじゃなくて、そこに行けば、何かしら接続するコンセントがあるんだってことなんですよ。特定のコンセントじゃなきゃだめだっていう風に絞る意味はない。コンセントはどれだって電流が流れる。「友達の数ではなく、会話の数を増やしましょう」ということなのです。

──ひとりで生きるための「接続」ですが、続けるとどんなことが期待できますか?

その接続した回数ごとに自分の中に別の新しい自分が生まれているはずです。新しい自分っていうのは 、例えば、Aさんと出会い会話をすることによって、Aさんによって生まれた新しい自分っていうのが自分の内面に必ず現れるんです。

普通そんなことは意識しないんですが、そうやって、人との接続によって新しい自分が生まれる体験をくり返すと、地層のようにたくさんの自分が蓄積されていくわけです。接続数が100人、200人、300人となって来た時に、自分の中に同じ数だけの自分がいます。

状態としてひとりで生きていても、あなたはひとりじゃないってことが分かる。「接続」することによって自分の中に、多くの自分自身が充満してる。あなたの中は空っぽではないのです。

「美味しかったです」のひと言を言うだけで、「接続」は発生している

──日常生活で、気軽に「接続」する方法はありますか?

家の中に引きこもって、だれとも会話していないと、新しい自分が生まれない。外面も内面もひとりっきりになってしまい、孤立してしまいます。

だから、とにかく外に出かけてほしいんです。いろんなところに出かけてもいいし、散歩でもいい。散歩のルートを毎日違うルートにすることでもいいですし、そうすることによって偶然が発生する可能性が高まります。

入ったことがない飲食店にたまたま入って、店主に「美味しかったです」って言うと、もうそれだけで「接続」するコミュニティになっているんですよ。そのレベルの繰り返しで十分です。

僕は、ひとり旅によく行くんですけど、あえておばあさんが一人でやっているような田舎の地味な店に入ったりします。そこに、特別美味しい料理を求めているわけじゃないんですね。おばあさんの手料理の味を楽しみ、地方ならではの味付けの話をすると、おばあさんもたまに来た客だから話が盛り上がります。そうすると聞いてもない、そのおばあさんの人生の歴史まで聞かされて、新しい発見があったりします。

人見知りだからと心配する必要はなく、自分を旅人の環境に置くことで、案外会話がスムーズにできたりします。とりあえず行動する、外へお出かけしてみる、誰かと接続してみる。接続の回数を増やす。そうしているうちに、顔つきも幸せそうな感じに仕上がっていくのではないでしょうか。


取材・文/集英社オンライン編集部

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