2024年「米国バブル崩壊」で進む世界金融大再編。ついに世界の中央銀行による「デジタル通貨」創設で暗号資産は淘汰される!?
集英社オンライン / 2023年4月19日 7時1分
「2024年末から史上最大規模の新たな金融危機が始まる」と警鐘を鳴らす為替トレーダー・岩永憲治氏の連続インタビュー。来秋の大統領選でピークを迎える米国経済はそこから急降下? アメリカが仕組む世界金融ガラガラポンの中身とは。(全4回の3回目)
米国が仕組んだ世界金融ガラガラポンの中身
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――歴史を振り返ると、膨れ上がったバブル経済は必ず崩壊してきました。今後、どのような形でバブル崩壊、グレートリセットへと展開していくのでしょうか?
岩永憲治(以下同)米国が見据えているのは、2024年11月に行われる大統領選挙です。その前までに米国がすべきことは、経済の中心である銀行の膿を出すこと、加えて、ゼロ金利あるいは超低金利の環境でしか生き残れないゾンビ企業潰しでしょう。それらを行ってから、「さあ、米国株を買ってください」と世界に呼びかける。今はそのお膳立てを整えている真っ最中といえます。
3月22日の米連邦公開市場委員会(FOMC)においてFRBは0.25%の政策金利引き上げを決めました。それでも依然としてマーケットやメディアの読みと実体経済には乖離が見られます。おそらくマーケットやメディアが米国経済の強さに気付くのは2024年になってからでしょう。
なぜならば、FRBがこれだけ政策金利を上げても、株が落ちずに上がっていくというシナリオを現状では誰も描けていないからです。株の推奨セクターは軍需産業。その理由は前述したように、戦時経済体制に入っていることで、議会で予算が通りやすくなっているからです。
――米国の物価高、インフレ状態はどこまで進むと予測されていますか?
今はインフレを抑えるためにFRBは政策金利を上げています。FRBがインフレに対する判断を何に求めているかというと、それは原油価格です。原油価格はいったん120ドルでピークを打ち、現在は70ドル台まで下がってきています。ピークから50ドルも下げたところで落ち着いていることから、おいおいインフレは収まっていくでしょう。
結局、米国政権がこれ以上国民にマネーをばら撒かず、金利を粛々と上げて、マーケットから資金を吸収していくならば、おのずとインフレは収束するはずです。ただし、インフレターゲット2%などと目標を掲げているとはいえ、そこまではなりません。
なぜなら、いまの米国は労働市場がかなり強いからです。先刻も示したとおり、軍産複合体を中心とした裾野の広い産業がドルの輪転機を回し続けているからで、世界中の軍需産業が活発化しています。
2024年に入れば、今度はマーケットやメディアは一転して強気一辺倒になって、「今回は違う。バブルではない。米国株式市場は盤石だ!」と大声を張り上げるでしょう。2024年の第3四半期、あるいは大統領選挙の直前まで、米国は史上最大のバブルをつくっていきます。
バブル崩壊後、何が起こるのか?
――だが、実際には米国経済は盤石ではないと。
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そのとおりです。リーマン・ショックのときにすでに米国経済は実質的に終わっていたからです。それをFRBが誤魔化し誤魔化しして、ここまで来てしまった。
紙幅の関係で詳細は拙著に譲りますが、実は米国は逃げられないところまで輪転機を回していて、すでににっちもさっちもいかない状態に追い込まれているのです。ですから、どこかでガラガラポンをしなければ、米国経済は持ち堪えられないのです。そこで仕組まれたのが、最大にして最後の米国株バブルの生成と崩壊、そして自らが主導する国際金融の大再編と新通貨体制の立ち上げなのです。
米国株がバブルのピークを付けるのは、2024年11月の米国大統領選挙の前後となるでしょう。そこまでは最後のバブルを必死になってつくっていき、最後は自国通貨であるドルに価値を見出せなくなって梯子を外す。これしか、米国に残された道はありません。
そして、バブル崩壊を教えてくれているのがゴールド相場の動きです。2023年3月末時点で、安全資産としてのゴールド(NY先物)は1トロイオンス=2000ドルまで上昇しています。2000ドル超えはウクライナ危機勃発後の2022年4月以来約11カ月ぶりのことでした。
ゴールドのウイークポイントは金利が付かないことです。ですから、昨年来の利上げはゴールドには大変なアゲンストでしたが、ここにきて再び2000ドル超えを達成してきたのは、投資マネーがゴールドに逃避する姿勢を強めていることを如実に示しています。
――米国のバブルが崩壊した後、具体的には何が起こるのでしょうか?
2025年に始まるであろう米国のバブル崩壊により、とんでもない数の企業が潰れて、銀行も次々と倒れていくでしょう。米国のバブル崩壊に伴って進むのが金融大再編です。たとえば今回、クレディスイスがUBSに吸収されたのは、その前哨戦のようなものとご理解していただければよいでしょう。大手、中堅、地方でさまざまな形で潰し合い、合従連衡が昂進していくのです。
私の見立てでは、金融大再編により、FTX、暗号資産なども破綻の憂き目を免れないと思います。それをテコにして、FRBはデジタル通貨体制を立ち上げたいからです。ただ、FRB単独では難しいでしょう。FRBはずっと「暗号資産は危険だ」と警告を発し続けていました。中央銀行の信用力と経済規模というバックグランドがなければ、デジタル通貨の発行など絵に描いた餅に過ぎない。FRBとしてはそんな心持ちだったに違いありません。
そして、さらに大きな視点で金融大再編を論じるならば、世界の中央銀行がタッグを組んで、デジタル通貨を創設するのでしょう。おそらく今夏あたりにその構想が出来上がってきます。最速で進めば、今年10月に開催されるIMF年次総会で、国際通貨体制を「金本位制」に戻す話が取り沙汰されるかもしれません。
♯4に続く
写真/shutterstock
金融暴落! グレートリセットに備えよ
岩永憲治
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2023年3月24日発売
1,870円(税込)
四六判/288ページ
978-4-08-786139-6
もうすぐリーマン・ショック級の金融危機が起きる!?元敏腕トレーダーが近未来の経済危機を予測し、潮目の見方を指南!
リーマン・ショックから15年。コロナ禍やウクライナ戦争で世界の情勢も変わり、それまでのグローバル経済は立ち行かなくなった。最大の問題は世界的なインフレが止まらないこと!世界中にお金があふれ、生産地と消費地の間のいたるところでボトルネックが発生した結果だ。2022年からアメリカは金融を正常化しようとして急速な金利の引き上げを行っているが、その体制下で新たな金融危機が起こる可能性が飛躍的に高まっている。(2023年3月半ばにも、アメリカではIT系の投資に積極的だった3つの銀行が破綻し、米国財務省の即断の政策により金融危機が未然に防がれた。)
そんな予断を許さない情勢のなか【次なる史上最大の金融危機が2024年末前後に起こるであろう】と予測する。既に経済不況に突入したという意見もあるが、リーマン・ショック後の為替変動をいち早く予想した著者は、もう一度バブルの最後の吹き上げが起こり、2024年の大統領選の終わるころには米国経済においては株価が上がって景気も良くなったというユーフォリア状態に陥るという。そして誰もが予測もしなかった状況で反転し、最終的には1929年の大恐慌やリーマン・ショックを超える危機が来ると言う。
その兆候はいつ、どんな形で現れるのか?過去のバブルとその崩壊の歴史を紐解きつつ、トレーダー時代に培った「潮目の読み方」を披露する。
自衛隊での訓練経験を持ち、外資系金融機関で様々なキャリアを経た著者は、独自の情報収集力に優れ、危機管理意識も卓越している。そんな著者が日本人の誰もがこれからの困難な時代に自分の金融資産を守り生き抜くために是非とも読んでほしいと、渾身の思いで書いたデビュー作である。
外部リンク
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