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人見知りの克服には自分を理解することから。「マウンティングタイプ」「深まらない社交的タイプ」「人の視線恐怖タイプ」「自信喪失タイプ」…当てはまるのはどれ?

集英社オンライン / 2023年4月19日 15時1分

4月は進学、就職、転職など新しい環境に変わることの多い時期。初対面の人や新しいグループと話したりするのがつらいと感じることもあるだろう。なぜ人見知りしてしまうのか、克服方法はあるのか、公認心理師・臨床心理士の塚越友子さんに解説いただいた。

人見知りは大きく2つのタイプに分けられる

人見知りとは、本来は精神科医スピッツが生後8ヵ月頃の子どもが特定の他者以外の人に対して人見知りを示す8ヵ月不安と呼んだものでした。

最近では、広く初対面の人と話すのが苦手、知らない人ばかりの輪の中に入りづらく、コミュケーションにおいて不安を感じることを一般では示すようになりました。

人見知りを心理学の概念によってタイプ分けしていくときは、自己愛が強いか、弱いか、恥を感じやすいか、感じにくいか、この2つの軸を中心に研究されてきました。



まず、人見知りのタイプは大きく2つ、自己愛が強く恥に過敏になるタイプ自己愛が弱く恥に過敏になるタイプに分かれます。

簡単に言うと、1つ目は、素晴らしい自分でいなくてはいけないと思っているタイプで、2つ目は、とにかく自分はダメで情けないと思っているタイプです。

1つ目のタイプは、素晴らしい自分でありたい、他人からもそう思われていたいという自己愛が強い状態で、それにプラスして、人からの評価が気になり、恥ずかしくなり、自己嫌悪にも陥っています。

一般的には「マウンティングタイプ」とイメージするとわかりやすいでしょう。

マウンティングタイプの人見知りは、自己愛が強く負けず嫌いのため知らず知らずのうちに、自分と人とを比較し、他人の価値を下げ、自分を上げる傾向があります。
「あの人は大したことない」「あの人は何点」「あの人と友だちになると得だ」など優劣や点数をつけて、自分のプライドが傷つくのを避けようとします。

「人見知りだから」と予防線を張るのもこのタイプです。
また、周りに認めてほしくてついかんばりすぎてしまうこともあります。

さらに、マウンティングタイプの派生型として、グループだとスムーズに話せるけれど、一対一になるのがイヤ、親密になるのが怖いという「深まらない社交的タイプ」も自己愛が強く恥に過敏な1つ目のタイプの中にみられます。

グループや大人数ではコミュケーションに問題はないので、一見人見知りとはわかりませんが、親密な人間関係を構築できず悩んでいる人は案外いるのです。

「人の視線恐怖タイプ」「自信喪失タイプ」は
自己愛が低く、恥に過敏

次に2つ目のタイプでとにかく自分はダメで情けないと感じるのは、いわゆる人見知りと聞いて一般にイメージされるタイプです。

自己愛は低く恥に過敏の反応するため、自分が情けないと感じ、そんな自分を周りに知られたくないため対人関係からどんどん引いてしまいます。

このうち、「人の視線恐怖タイプ」は、人の視線や目線に対して恐怖を感じ、緊張してしまいます。大勢やグループの会話にうまく入っていけず、発表の場でも萎縮してしまう傾向に。そして人の目を見て、話すのが苦手です。
一人でランチしている姿を見られたくなくて、トイレで食べたりお昼を食べなかったりするのもこのタイプです。

また同じく2つ目のタイプの中に、人からどう見られているか、こんな自分が発言がしたらどう思われるのかなど相手や周りのことが気になり、自分にダメ出ししてしまう「自信喪失タイプ」があります。

自分に自信がなく、自己肯定感が低めの人にありがちです。
自分なんてつまらないと思い、社交的な場において自信を無くしている状態なのです。

人見知りの克服は自己理解が大切

人見知りを克服するのは、実はなかなか難しいことです。

これまで、「人見知りだから」と予防線を張ったり、飲み会の2時間くらいなら、仲間の輪に入れなくてもなんとかやり過ごしたりしてきた経験があるために、人付き合いで緊張を感じてどうにかしたいと思う一方で、人見知りでもなんとかやれてきたという思いにもつながります。
困っているようで克服しなくてはやっていけないとまでには至りづらい心理状態です。

また克服するためには、これまでの人づきあいのやり方を根本的に見直すことになるので、とてもハードルが高いと思います。

まず、自分はどの人見知りタイプで、知らず知らずのうちにやってしまうことや感じてしまうことはどんなことなのかを知っておくことが大切です。

無意識に緊張して人から距離をとってしまったり、「人見知りだから」と予防線を張ってしまったりしているのか、自分は緊張するタイプだからと自覚して自らグループの輪に入らないようにしているのかでは大きく違います。

自分の人見知りタイプを理解して、自分ってこういう風に人付き合いしているなとわかることで、自分を許せるようになるきっかけになります。すると、気持ちも楽になり、人見知りを乗り越えようというモチベーションもわきやすくなります。

少し自分のことを引いて見るようにしてみましょう。

あいかわらず人と距離をとってしまうけど、それが自分なんだと自己理解をしたうえで、このままやり過ごすのか、克服するのか、全ては自分で選んでいくという自己統制をもつことが大切です。


そのうえで、克服してみようと思ったら、以下の方法をやってみてください。

マウンティングタイプの人は、知らず知らずのうちに人に点数をつけたり、人を品定めしたりすることをやめましょう。
人に点数をつけることが実は自分を苦しめていることに気づいてください。

また「私は人見知りだから」「コミュ障だから」と予防線を張ることは、人から「そんなことないよ」「全然話しやすいよ」と言われることで、反面自分にも点数をつけて、他者と交流し親しくなるのではなく、自分の評価を守り、自分と交流するだけで孤独感を募らせていることに気づきましょう。

「人見知りだから」と言う自分に気づいたら、やめるようにして、そうすることでなんだかわからない自分が勝手に築いた素晴らしい自分を追求しないようにしましょう。

「深まらない社交的タイプ」の人は、長く時間をかけて関係を築くことに耐えていきましょう。
なかなか環境に溶け込めず寂しい思いは募るでしょうが、最終的に輪に溶け込んでいくことを目標にし、自分が苦しくない距離感を大切にすることを自分で自分に許しましょう。

自己愛が低く、恥に過敏な「人の視線恐怖タイプ」や「自信喪失タイプ」の人は、難しいとは思いますが、緊張するのは当たり前と思うようにしたり、自分が言ったことや、やったことに対して後から振り返って反省会をすることをやめましょう。

どうしても反省会をしたいなら、「緊張して頭が真っ白になったけど、いつもより5分だけ長く相手と話せたぞ」とできなかったことプラスできたことのセットで反省会を行ってみましょう。

人見知りの克服方法は心理的コストが高いので、無理をせず、まずは自分の人見知りタイプや自己理解を深めるようにしてください。自分のことを引いて見ることができるだけでも、人見知りの克服の一歩になります。

それでも、よい開き直りができず、自分は最悪だとか、一人で向き合うのは辛い、という人は、専門医のアドバイスを受けましょう。


取材・文/百田なつき

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