1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. スポーツ
  4. スポーツ総合

鳥谷敬が、11年ぶりに指揮を執る阪神・岡田監督に感じた「らしさ」と「変化」

集英社オンライン / 2023年4月16日 10時1分

プロ野球歴代2位となる1939試合連続出場。最激務と言われる遊撃手として驚異的な数字を残した鳥谷敬。プロ2年目の2005年にはレギュラーに定着し、岡田彰布監督のもとリーグ優勝に貢献した。あれから18年間、優勝のないタイガースだが、その重い扉を開こうとする後輩たちの姿に何を思うのか。自身の経験を絡めながら2023年の阪神タイガースを追う新連載がスタート。

11年ぶりに指揮を執る岡田監督に感じた変化

鳥谷敬氏

昨シーズンは開幕戦で7点差を逆転されて敗れ、そこからまさかの9連敗。17試合を終えて勝率.063だったことを考えれば、今シーズンの阪神タイガースは開幕ダッシュに成功したと言えます。

今シーズンの開幕カードは、昨シーズン9勝16敗と相性が悪かった横浜DeNAベイスターズとの対戦でした。その相手に3連勝できたことは、非常に大きかったですね。WBC(ワールドベースボールクラシック)に日本代表として出場した今永昇太投手の登板がなかったことも、阪神にとってはラッキーだったかもしれません。



次の3連戦は広島東洋カープを相手に1勝1敗で敗たが、広島に対しても、昨シーズンは9勝14敗2分と相性がよくなかっただけに、もしDeNAに1敗でもしていれば、流れが変わっていた可能性があります。

岡田彰布さんは百戦錬磨の監督ですが、実際に指揮をとるのはオリックス・バファローズの監督だった2012年以来、11年ぶりということもあり、いざシーズンが始まってみないとわからない部分も多かったと思います。そういった不安要素があった中でも、開幕からの戦いを見ていると、試合の勝敗を含め、ある程度、監督が想定していた通りになっているのではないでしょうか。

例えば選手の起用法。なるべくレギュラーメンバーを固定して戦いたいという就任直後からの言葉通りになっている一方、控え選手のモチベーションが下がってしまわないような采配も目立っているように感じます。

翌日に先発出場のチャンスを与えようと思っている選手に対して、その前日に代打や守備固めで起用し、暗に「明日はスタメンでいくから準備しておけ」というメッセージを込めるような采配は実に岡田監督らしく、自分たちが現役の頃から変わらない部分です。

常に選手が結果を出すためにどうするべきかを考える監督なので、今の選手たちにとっても、非常にやりやすいのではないでしょうか。

以前と変わったと感じる部分は、マスコミへの発信の仕方です。オリックスでの監督経験や評論家としての経験を踏まえながら、時として考えていることと逆のことを言ったり、言い方を工夫したりという部分に岡田監督流の気遣いを感じますね。自分たちが現役の頃には、あまりそういったことはなかった気がします。

森下・小幡に見る「先を見すえた選手起用」

ここまでの戦いを見て気になる新戦力は、ドラフト1位ルーキーの森下翔太選手。打撃の質という面で素晴らしいものを見せています。また、高卒5年目の小幡竜平選手も遊撃手として想像以上の守備力を発揮しています。

両選手とも、ナイター翌日のデーゲームで先発出場から外れたことがありましたが、これは、岡田監督ならではの先を見すえた選手起用だと言えるでしょう。まだプロ野球特有の生活に慣れていない選手たちが、知らず知らずのうちにたまってしまった疲れで、調子を崩したり、思わぬ怪我をしたりしないように意識的に休ませているのではないでしょうか。

自分のルーキーイヤーは状況が違ったので、このような積極的休養はありませんでした。プロ1年目は開幕戦こそ先発出場させてもらいましたが、実力が伴わず、すぐに試合に出場できなくなり、レギュラー定着には至りませんでした。

監督としては11年ぶり、阪神では15年ぶりに指揮を執る岡田監督(写真/共同通信社)

自分でも、プロの世界で通用する力をつけるために、最低1年はかかると思っていたので、試合に出場できないことや、結果が出ないことを気にするよりも、次の年にレギュラーを掴むために、1年間戦える体力を作ること、プロ野球選手としての生活に慣れることを意識しながら毎日を過ごしていたのを覚えています。

レギュラーを掴んでからは、「開幕から何試合ぐらいまでに結果を出す」というより、年間トータルとしてどう戦うか、ということを常に考えていました。シーズン序盤に結果が出るにこしたことはありませんが、寒い時期があまり得意ではなかったので、夏以降から調子をあげるための準備期間と考えると、開幕直後の成績は、あまり気にならなかったです。

わかりやすい基準として意識していたのは、開幕からの100打席です。ここで最低でも打率.250以上あると、次の100打席で打率.350打つことができれば、トータルで打率.300になりますよね。そういう意味で、開幕から100打席で打率.250ぐらいであれば、徐々に成績は上がっていくという感覚がありました。

3年目で岐路に立つ佐藤輝明

さて、昨年に続き期待されている選手の中では、大山悠輔選手が開幕からいい滑り出しを見せました。ただ、調子がいい時は必然的に塁上にいることが多いので、走塁でのケガや、野手との接触など、普段はしないケガをしてしまう可能性が高くなる時でもあります。調子がよく、バットが強く振れるがゆえに、わき腹を痛めてしまうこともあります。調子がいい時こそ、してしまうケガもあるので、そのあたりは気をつけてほしいですね。

少し、心配なのは佐藤輝明選手の状態です。佐藤選手は今年でプロ3年目。今後、純粋なホームランバッターとして歩んでいくのか、それとも、ホームランを狙うだけでなく打率も求めるバッターになるのかの岐路に立っています。

今シーズンは、より打撃に集中できるよう、ポジションが三塁手に固定されました。佐藤選手のいちばんの魅力はボールを遠くに飛ばせることですが、打撃結果を見ると、フライアウトが少なく、打球があまり上がっていません。ホームランバッターを目指すのであれば、たとえアウトになったとしても、フェンスギリギリで捕られるのか、詰まってしまってフェンスよりもだいぶ手前で捕られるのかでは大きく評価が違ってきます。

四球も選んではいるものの、自分の形で打ちにいって見逃しているのではなく、タイミングがとれていないように見えます。新しい打撃フォームやタイミングの取り方が、まだしっくりきていないのかもしれませんが、ここを改善していかないと、シーズンを通じて苦しんでしまう可能性もあると思います。

ただ、選手というのは、ひとつの四球や、ひとつのファールでも、「これだ」と思う瞬間があります。WBCの期間中、不振だった村上宗隆選手が、準決勝のメキシコ戦でサヨナラヒットを放ったように、何か一瞬で変わるタイミングがあるので、佐藤選手にも、これからの試合の中で全ての流れが変わるようなきっかけとなるプレーがあるかもしれません。


構成/飯田隆之

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください