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〈岸田首相・襲撃〉「中学校では空気みたいに扱われてた」「定職に就かず家に閉じこもっていた」人気者だった木村少年が“陰キャ”になった理由。地元の元市議も「市政報告会に参加をしていたが周囲も覚えていなかった」と告白

集英社オンライン / 2023年4月17日 17時16分

岸田文雄首相が訪れた和歌山市の応援演説会場で爆発物を投げたとして4月15日、威力業務妨害容疑で現行犯逮捕された木村隆二容疑者(24)。自身の住む兵庫県川西市けやき坂から犯行現場の雑賀崎漁港までは、公共交通機関を乗り継いでも3時間を要する距離だ。和歌山県警の取り調べに黙秘を続ける木村容疑者の動機や犯行に至る経緯は未だ明らかになっておらず、過熱気味の報道の中身は玉石が入り混じって方向性が定まらずにいる。

「市政報告会で熱心に質問していた」は本当か?

木村容疑者の自宅から犯行現場までは車を使えば概ね120キロメートルの距離で、バスや電車などを乗り継げば3時間はかかる。地縁血縁や土地勘があったかどうかは不明だ。しかも、超V I Pである首相の遊説日程をどう把握していたのかにも疑問が残る。この点で読売新聞が犯行当日の15日夜に報じた内容は示唆に富んでいた。そのまま引用する。



〈川西市の自民党関係者によると、木村容疑者は昨年9月24日、自民党系の当時の川西市議が開いた市政報告会に参加していた。報告会には有権者約70人が出席。終了後、木村容疑者は市議に「川西市議の報酬は、良いですか」などと議員活動について熱心に質問していたという。関係者は「20歳代の若者の参加は珍しく、政治に強い関心がある様子だった」と話した〉(4月15日配信・読売新聞オンライン)

取り押さえられた際の木村容疑者(共同通信)

この市政報告会で自民党関係者と接点を持ち、選挙ボランティアなどを通じて遊説日程を知りうる立場になったのだろうか。しかし、当時現職の市議だった市政報告会の主催者は、木村容疑者のことを全く覚えていなかった。

「昨年9月の市政報告会に木村容疑者が訪れていたのは事実です。来場者の記録に木村容疑者の名前と住所が書かれています。ですが、若い方も複数名参加していただいていましたし、私自身テレビで木村容疑者を見ても市政報告会に来ていた方かどうかもわかりませんでした」(取材を受けた元市議)

木村容疑者の自宅(撮影・集英社オンライン)

また、元川西市議の関係者はこう証言した。

「元市議は、読売新聞の記者に『記憶が曖昧で木村容疑者がいたかどうかもわからない。若い方に話しかけられた気はするけど文言も覚えてない』と答えたのに、木村容疑者が熱心に質問したという記事になっていた。質疑応答の場は設けてなかったので元市議を見送る際に声をかけて質問したのだと思いますが、そういう方は他にもいますしね。
近所の公民館の集会所で開かれ、参加者は70名ほどで、若い方も数名いました。市政報告会開催のお知らせもポスティングで不特定多数に行っていたので、本人に声かけして動員していたわけでもなく、スタッフも含めて木村容疑者がいたことを覚えている人はいないはずです」

かつては活発な子どもだった

小中学校時代の同級生の保護者は、当時の木村容疑者についてこう語る。

「娘によると、木村くんは小学生の頃は、誰にでもちょっかい出してくるいわゆるおふざけキャラで、クラスでも活発な子どもだったと聞いています」

小学生の頃の木村容疑者(知人提供)

小学校の卒業文集ではこんな風に輝かしい夢を語っていた。

〈将来の夢はパティシエか発明家です。もしパティシエになったらいろんなお菓子を作りたいです。食べた人が秘密にしておきたくなるお菓子をいっぱいつくりたいです(略)
もう一つの夢の発明家になったら、みんなが喜ぶロボットや新しい車とか作ったいです〉(原文ママ)

だが、中学校では周囲から孤立し、図書室にこもりがちだったという。ある同級生はこう証言した。

「木村くんは1年生の時にまわりから避けられてたようです。違う小学校から上がってきたクラスメイトと合わなくて、目をつけられてしまったと聞きました。とは言ってもそれはクラスだけの話で、廊下で同じ小学校の人に会ったときは挨拶とか軽い会話はしていたと思いますよ。避けられてはいたけど、暴力とか物を隠されたりといった“直接的ないじめ”でなく、空気みたいに扱われてた感じです。私も図書室で見かけたことあるんですけど、本が特別好きとかじゃなく、構ってくれる人がいないから本を読みにきてたんだと思います」

小学生の頃は「車屋の社長」を志すこともあったという(当時の文集より)

和歌山県警は4月17日、木村容疑者を送検した。移送中、木村容疑者は後部座席の中央に乗り、終始正面を見据えていた。

「木村容疑者は取り調べに対し、容疑を認めるかどうかも含め黙秘を続けているが、自宅からは火薬とみられる粉末や金属の管、工具などが見つかっていて、爆発物は自作した可能性が高い。また、定職に就いておらず、家に閉じこもる生活が続いていたようだ。自宅からはパソコンも押収されている」(社会部記者)

中学時代は図書室で静かに過ごし、大人になってからはガーデニングが好きな母親思いの青年が大胆な犯行に及んだ理由は何なのか。謎を埋めるピースは散らばったままだ。

※「集英社オンライン」では、今回の事件について取材をしており、情報を募集しています。下記のメールアドレスかTwitterまで情報をお寄せ下さい。
メールアドレス:
shueisha.online.news@gmail.com

Twitter
@shuon_news

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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