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「おまんには恥をかかされた!」“らんまん“厳しすぎる祖母タキ役・松坂慶子、貫禄の演技の裏に波乱万丈70年!! 恋多きスキャンダル、伝説の定例会見、両親との確執を乗り越えて

集英社オンライン / 2023年4月19日 7時1分

4月からスタートしたNHK連続テレビ小説「らんまん」。高知県出身の植物学者・牧野富太郎(神木隆之介)の人生をモデルした波乱万丈のオリジナルストーリーで、第1週の週間平均視聴率(世帯)も15.4%とまずまずのスタートを切っている。

1980年代に複数の不動産を所有していた松坂慶子

なかでもその存在感を放っているのが主人公・万太郎(富太郎)の祖母・タキを演じる松坂慶子だ。特に第5回(4月7日放送)では、万太郎
の母・ヒサ(広末涼子)の死が迫るなか、万太郎たち子どもの姿がない。それを知ったタキが「見つけえ~、 このうえ子供らまで、許さんき! 絶対許さん!」と叫ぶ鬼気迫る様子はSNSでも大きな話題になったほど。また、4月18日放送回でも縁談を断った万太郎の姉・綾(佐久間由衣)に「おまんには恥をかかされた!」と一喝。さらに綾が新しい酒を勝手に作ったと知ると「いかん!」「そんなさもしい酒、下げなさい!」と、その迫真の演技と存在感が大いに話題になっている。


厳格な祖母タキ(NHK・らんまん公式Twitterより)


押しも押されぬ日本を代表する大女優である松坂だが、実は今から30年ほど前には、連日マスコミを賑わす大スキャンダルを巻き起こしていた。

1970年に大映東京撮影所に入社し、女優デビューを果たした松坂だが、その後『青春の門』、『男はつらいよ 浪花の恋の寅次郎』、『蒲田行進曲』、『人生劇場』、『火宅の人』など数々の話題作に出演、その地位を不動のものにしていく。そしてその陰には“父娘二人三脚”と言われた父親・英明氏の存在があった。

「松坂は複雑な生い立ちで、極貧のなかで育ちました。しかし父親の英明氏は松坂に歌、ピアノ、児童舞踊などを習わせていた。松坂は高校三年生でデビューしましたが、その後、父親は個人事務所の社長に就任し、その収入を管理するなど娘の活動を支えていったのです。そして一家の生計は松坂の収入によって支えられ、1980年代には都内に複数の不動産を持つまでになっていった」(当時を知る芸能記者)

1979年にリリースした「愛の水中花」。バニーガール姿が話題に。(日本コロムビアより)

芸能界におけるステージパパの走りともいうわけだが、そんな一家に大きな出来事が起こる。それが家族の大黒柱となっていた松坂の結婚だ。
1991年1月、松坂はジャズギタリストの高内春彦と電撃的に結婚式を挙げた。当時、高内氏は無名で収入も少なく、“格差婚”と話題になったが、2人はニューヨークに住み、翌年には長女も生まれるなど結婚生活は順調に見えた。

父親が娘夫婦を批判・書籍も

ところが長女誕生の後、英明氏が驚きの行動に出る。週刊誌「女性自身」の記者を入院中の病室に呼び、松坂と高内を罵倒、そして絶縁宣言をしたのだ。

その内容は衝撃的だった。そもそも結婚することを事前に知らされていなかったこと、所帯を持つから今後の家計は自分たちでやってくれと言われたこと、高内は収入がなく人格的にも問題があることなどその心情を赤裸々に吐露し、インタビューはのべ10時間以上にも及んだという。

「これまで一緒にやってきた、松坂家の生計の糧でもあった三英企画(松坂の個人事務所)をつぶして、親をいきなり突き落とすようなまねをしてメチャクチャにするなんて許せることじゃないでしょう」(女性自身1992年10月13日号より)

その後も英明氏の怒りは鎮まるどころかヒートアップ。その言葉を聞くために押し寄せるマスコミに対し、英明氏もこれに答える形で娘夫婦の批判を展開、それが連日のようにスポーツ紙、週刊誌、そしてワイドショーで報じられていった。

「英明さんの“定例記者会見”にマスコミが群がった(笑)。しかし英明さんの話は結局は“カネ”の恨みごとでしたね。いままで松坂の収入を管理していたが自分の手から離れてしまった、松坂がニューヨークに行って仕事をしないのでほぼ無収入になった、個人事務所が閉鎖され収入がなくなった、と。自分たちより、夫の高内さんの家族にカネを使っているという不満もあった。娘の利権を高内さんに取られたという思いも強かった」(前同)

こうした事態に松坂も会見を開き釈明。父親と和解したい意志を表明したが、英明氏の態度は変わることはなかった。それどころか1993年には英明氏とその妻・つね子さんが共著で『娘 松坂慶子の「遺言」』(光文社)を出版。自らの半生について綴り、また記者会見を開いて娘夫妻への批判を繰り広げたのだ。

「娘 松坂慶子の「遺言」」(光文社)

しかし、この一連の出来事、すなわち松坂の強行とも思える結婚、そして父親の逆鱗も、ある意味当然であり、いたしかたないことだったのかもしれない。

それは結婚前の恋人との別離に関連する。松坂は結婚前、恋多き女優で「スキャンダル女優」と言われるほどであった。映画監督の深作欣二、藤田敏八、写真家の大倉舜一、俳優の松方弘樹、高橋英樹、石坂浩二などそうそうたるメンツと噂されてきた松坂だが、特に歌手で俳優の小坂一也との一件は父親との関係を考える上で興味深い。

松坂は22歳のとき、女優の十朱幸代と結婚していた小坂と不倫関係になったとされる。そして小坂は十朱と離婚するのだが、2人の交際に英明氏は猛反対。「結婚するなら自分たちの家族を殺してからしろ」などと迫ったという。

「もちろんこの時の英明さんの反対も“娘利権”にあると言われてきました。せっかくデビューしたのに不倫の上の結婚となればダメージが大きい。その後の芸能活動に大きなダメージもあるでしょう。しかし松坂さんからしたらこうした過去もあり、再び結婚を反対されることを恐れ、両親に相談することなく、高内氏との結婚を強行し、ニューヨークに渡り仕事をセーブし子供も産んだ。そして当然のように、英明さんも怒りが爆発した」(前同)

だが、絶縁した家族にもやがて時を経て変化が訪れる。2007年、英明氏は高内氏と和解することなく逝去したが、残されたつね子さんの介護を松坂と高内氏が担うようになったのだ。そしてつね子さんも2021年にこの世を去った。

恋多きスキャンダル女優から、結婚して母親に。加えて “格差婚”というレッテル、そして両親との確執を乗り越えた松坂。現在の松坂の貫禄の演技の裏には、ドラマ以上の波乱万丈があったのだ。

「らんまん」のポスター (読者提供)

取材・文/神林広恵
集英社オンライン編集部ニュース班

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