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「首相を襲撃するなど言語道断です」木村容疑者が最初に頼った宇都宮弁護士が喝! 「あいつが何を考えているかわからない」と答えた元配送員の父親との本当の関係とは?〈和歌山・岸田首相襲撃〉

集英社オンライン / 2023年4月20日 16時11分

岸田文雄首相の選挙応援演説会に“パイプ爆弾”が投げ込まれた事件で、威力業務妨害で逮捕された兵庫県川西市の木村隆二容疑者(24)。逮捕後は調べに対して雑談にも応じず黙秘を続けているというが、木村容疑者のものとみられるSNSアカウントが見つかり、そこには岸田総理も世襲だと批判する投稿があることがわかった。また、木村容疑者は年齢などを理由に参議院議員選挙に立候補できなかったのは憲法違反だとして、昨年6月に国に対して損害賠償を求めていた。

父親はかつて赤帽で配達ドライバーだった

4月15日、衆院和歌山1区補欠選挙演説会場の聴衆に紛れ込んだ木村隆二容疑者(24)は岸田文雄首相の近くに手製のパイプ爆弾を投げ込んだ。木村容疑者のそばにいた地元の漁師がとっさに取り押さえ、ほどなくして集まってきた警察官らに木村容疑者は拘束された。その直後、「ドーン」という轟音とともにパイプ爆弾は爆発。現場から約60メートル離れたコンテナに爆発物の破片が当たってできたと見られる穴が見つかっており、一歩間違えば大惨事になっていたことがうかがえる。
捜査関係者が語る。

「自作の爆発物には導火線のような紐の付近にナットのような部品が複数取り付けられていた。ナットを飛散させることで殺傷能力を高めようとした可能性もある。木村容疑者は威力業務妨害で現行犯逮捕されているが、今後、殺人未遂容疑も視野にいれて慎重に捜査を進めている」

和歌山県警に取り押さえられた木村容疑者(写真/共同通信社)

木村容疑者が当時背負っていたリュックからは液体の入った水筒や粉末、スプーン、金属板などが見つかり、リュックの他に所持していた手提げかばんからは刃渡り13センチの果物ナイフも見つかっているという。現場では果物ナイフは使われなかったが、場合によっては肉弾戦も辞さない覚悟で岸田首相の襲撃に臨んでいたのか。知人や同級生は口を揃えて「おとなしかった」という木村容疑者だが、人知れず激情を抱え込んでいたのだろうか。

社会部記者が語る。

「母親は美容部員として働いていて、父親はもともとは赤帽で配達ドライバーをしていましたが、10年以上前に辞めて、その後は個人で配送業をしていたみたいです。木村容疑者は特に母親と仲がよく、事件直前も一緒にガーデニングをする姿を目撃されています。また、4歳上の姉と1歳上の兄がいましたが、兄弟仲もよかったようです。父親との関係は良好とは言えない部分もあったようですが、家庭内に大きな不和があるという話も聞こえてきませんでした」

木村容疑者の自宅(撮影・集英社オンライン)

父親は取材に「あいつが何を考えているかわからない」

時折、父親から怒鳴られていることもあったというが、木村容疑者は黙って父親のいうことを聞いていたという。父親の知人が語る。

「木村容疑者の父親は仕事はすごく真面目なんだけど、ヤマっ気が強く、短気な人ではありました。配送ドライバーって取引先で失礼な扱いをされる時があるんですけど、木村容疑者の父親はそういった扱われ方をされてトラブルを起こしてしまったこともありました。

ヤマっ気が強いというのは当時熱心に先物相場をやっていて、素人がそんなことやらない方がいいって私が言った時も『大丈夫、大丈夫』と言っていました。小豆とかコーヒーとかの先物だったと思います。一山当てるんだという話をよくしていましたが、家族の話はあまりしませんでしたね」

そんな父親も5年前に家を出て行った。父親は事件後、複数のメディアの取材に「(離れて暮らしているし)あいつが何を考えているかわからない」「何で僕が語らなあかんですか?」と答えるなど、木村容疑者とは距離があったようにみえる。

幼少期に車屋の社長を夢見たことも…(文集より)

ここ最近の木村容疑者は定職につかず、ニートのような暮らしをしていたというが、政治の世界に活路を見出そうとしたようだった。
全国紙記者が語る。

「木村容疑者は去年の6月に参議院選挙に立候補しようとしましたが、公職選挙法で被選挙権については参院議員と都道府県知事は30歳以上と定められているので、当時23歳の木村容疑者は立候補できませんでした。また、立候補するには300万円の供託金が必要だとする規定もあり、それらを憲法違法であるとして国に10万円の損害賠償を求める訴えを起こしたんです。弁護士をつけない、いわゆる本人訴訟で争っていました」

2022年7月8日、安倍元首相が参院選の応援演説中に銃撃されて死亡。7月14日に岸田首相は安倍元首相の国葬実行を表明し、9月27日に国葬セレモニーは行われたが、木村容疑者はこのことについても批判している。「岸田内閣は、安倍元首相の国葬を世論の反対多数の中で強行した」と準備書面を裁判で提出していたのだ。

また、岸田首相について、木村容疑者のものと思われるTwitterでは〈岸田首相も世襲3世ですが、民意を無視する人が政治家には通常なれません〉と痛烈な批判を浴びせていた。さらに、〈世襲が蔓延る原因は、300万円もの供託金を要求する違憲な公選法があるからです。庶民は立候補出来ず、民主主義は崩壊します〉と現行の選挙制度に対し強い不満を投稿していた。

木村容疑者が投稿したと思われるTwitter

選挙制度を変えたかったのなら民主的にやるべき

前出の全国紙記者が続ける。

「2022年11月に神戸地裁は木村容疑者の訴えを退けました。その後、木村容疑者は大阪高裁に控訴しましたが、彼のものと思われるTwitterの投稿で、2023年3月23日に『本日の口頭弁論では審議不足を指摘した控訴人に対し、審議を拒否し。いきなりの結審でした。大阪高裁の無法振りが露呈しました』(原文ママ)と怒りを露にしていました。来月、大阪高裁による控訴審判決の言い渡しが予定されていましたが、判決を待つことなく、自分の訴えは聞き入れてもらえないと絶望したのかもしれません」

Twitterは4月11日が最後の投稿となった。一部抜粋する。

〈普通の国民が立候補できない現状の制限選挙下では、普通ではない世襲と、政党の言いなりの犬しか立候補出来ません〉

木村容疑者が投稿したと思われるTwitter

この投稿の4日後に凶行に及んだ木村容疑者は逮捕後、「雑談にも応じず黙秘を続けている」と報じられているが、ある弁護士の名前を口にしている。
元日弁連会長の宇都宮健児弁護士だ。

「事件の起きた15日に和歌山西警察署から『木村さんが弁護を依頼したいと言っている』と電話がかかってきていましたが、土日は事務所には誰もおらず、留守電に気付いたのは月曜日でした。ですがその日のうちに『もう別の弁護士に会ったので弁護の依頼を取り消します』と警察から連絡がありました」(宇都宮弁護士)

中学時代の木村容疑者(卒業アルバムより)

仮に平日に電話がかかってきていたとしても、東京都から和歌山県という距離の問題に加え、多忙を極める宇都宮弁護士は木村容疑者の弁護は引き受けられなかったと言う。そして依頼された理由について宇都宮弁護士はこう推察する。

「最初は依頼の動機がまったくわかりませんでしたが、木村容疑者が選挙制度に問題意識があったことが徐々に明らかになってきています。私は2016年に世界一高い日本の選挙供託金は憲法違反だと提訴した、供託金訴訟弁護団長を務めたことがあります。それで私に依頼したのだろうと。世論を動かすためには市民運動や国会議員への働きかけ、また裁判だって運動のひとつになります。選挙制度を変えたかったのなら、それこそ民主的にやらなくてはなりませんし、時の首相を襲撃するなど言語道断です」

一日も早く本人の口から犯行の動機が語られるのが待たれる。


※「集英社オンライン」では、今回の事件について取材をしており、情報を募集しています。下記のメールアドレスかTwitterまで情報をお寄せ下さい。

メールアドレス:
shueisha.online.news@gmail.com

Twitter
@shuon_news

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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