ロジクールGが4月27日に発売する「G FITS」は、同ブランドが初めて手がけた左右独立型ワイヤレスイヤフォンですが、音質、デザイン、遅延を抑えたワイヤレス音声伝送など、さまざまな面で“初手”とは思えないほどの完成度に到達しています。
これほどまでにクオリティの高い製品を生み出せた理由は、ロジクールGがこれまでBluetooth対応のワイヤレスマウスやキーボード、ヘッドセットといった多種多彩なゲーミングギアの商品化に多くの実績を持つブランドだからです。
集英社オンライン / 2023年4月26日 11時1分
左右独立型の完全ワイヤレスイヤフォンは、今年に入ってから3万円台の高級モデルが人気を博している。各メーカーから個性溢れるモデルが発売される中、スイスのゲーミングブランドである「ロジクールG」が、大注目の新製品「G FITS(ジーフィッツ)」を4月27日に発売する。カスタムフィットするイヤーピースをユーザーが自分でつくれる「LIGHTFORM」技術など、G FITSの魅力をお伝えしよう。
ロジクールGが4月27日に発売する「G FITS」は、同ブランドが初めて手がけた左右独立型ワイヤレスイヤフォンですが、音質、デザイン、遅延を抑えたワイヤレス音声伝送など、さまざまな面で“初手”とは思えないほどの完成度に到達しています。
ロジクールGの完全ワイヤレスイヤフォン「G FITS」。ユーザーの耳だけにフィットするカスタムイヤーピースを採用している
G FITSは価格が35,750円(税込)と、完全ワイヤレスイヤフォンの中では比較的高価な製品です。しかし筆者は、大きく2つの理由から本機を「いま買いのワイヤレスイヤフォン」として推したいと思います。
1つ目の理由は、本体に付属するシリコンイヤーピースのフィット感が抜群に心地よいからです。
人間の耳は、一人ひとりでその形が異なります。イヤフォンを使用する際、市販のイヤーピースでは装着感が合わなかったり、十分な遮音性能が得られず音が聴きづらく感じたりすることはないでしょうか?
G FITSは、専用アプリ経由でユーザーの耳の形にピタリと合うカスタムメイドのイヤーピースを作れる「LIGHTFORM」という独自技術を採用しています。筆者も、早速イヤーピースをつくってみました。
筆者の耳の形に合わせてつくった「G FITS」のイヤーピース。光にあたると硬化する特殊な樹脂素材を使っている
G FITS専用イヤーピースは、光に触れると短時間で硬くなり形が固定される「フォトポリマー」という特殊な樹脂を採用しています。
このイヤーピースを成形するには、まず「Logicool G FITS」アプリ(iOS / Android対応)をスマートフォンにインストールして起動。画面に表示される[成形プロセス]をタップして、画面に表示されるガイダンスに従いながら、成形を進めていきます。
次にイヤフォンをパッケージから取り出して、スマホとのペアリングを済ませます。ガイダンス通りに、イヤーピースを耳に挿入してから低音がしっかりと聞こえる位置にフィットを調整します。
このときにイヤーピースを耳の奥まで強引に入れすぎないようにしましょう。無理矢理合わせてしまうと、使用中に耳が痛くなる原因になるからです。
パッケージ開封後の様子。イヤフォンを厳重にパッキングしているのは、成形前のイヤーピースをユーザーの耳型に合わせる前に変形させないため
アプリを起動してイヤフォンを耳に装着。成形プロセスに従ってカスタムイヤフォンをつくります
ちなみに、カスタムメイドのイヤーピースを装着して使うイヤフォンは一般的に10万円前後の高価な製品が多いうえ、イヤーピースを製作するための別途費用と、納品されるまでにある程度の待機日数が必要です。
G FITSは完全ワイヤレスイヤフォンとしては高価な部類に入りますが、カスタムイヤフォンが気軽に試せることを考えると、コストパフォーマンスに優れた製品であると言えます。
イヤフォンに搭載されているLEDがシリコンイヤーピースに光を当てて、形状を固定する。イヤーピースの形状が再び変わってしまうことはない
カスタマイズされたイヤフォンは装着感が心地よいだけでなく、環境ノイズに対する高い遮音性が得られます。
G FITSには、Appleの「AirPods Pro」のような電気的な処理によるノイズキャンセリング機能が搭載されていません。それにもかかわらず、カスタムフィットのイヤーピースは周囲の話し声や環境騒音を抑え込む遮音効果がかなり高く、また同時にとても自然な音のリスニング感が得られます。
また、長時間使い続けても耳が疲れにくいことも特徴です。コンテンツ再生、ゲーミング、音声通話など広い用途にメリットが実感できるでしょう。
一方で、G FITSが本体に内蔵しているマイクは「通話専用」であり、イヤフォンを装着したまま外の音を聞こえやすくする「外音取り込み」の機能を備えていません。
屋外で歩いたり走ったりしながら音楽を聴く用途よりも、どちらかといえば人とぶつからない安全な室内で使うことをおすすめしたいワイヤレスイヤフォンです。
バッテリーを搭載する充電ケース。イヤフォン単体で約10時間、充電ケースを併用すると約12時間の音楽リスニングに対応
続いて、音質面を見ていきましょう。
G FITSは、音質のバランスがとても良いワイヤレスイヤフォンです。ロジクールGはスイス・Logitech International社のゲーミングブランドですが、同じグループ傘下にはオーディオのスペシャリストである米・Ultimate Ears(アルティメット・イヤーズ)があります。
G FITSにもUltimate Earsの設計による高品位な10mm口径ダイナミック型ドライバーが搭載されており、すべての音域がシームレスにつながる、パワフルでしなやかなサウンドが特徴です。
たとえば、クールでしなやかなタッチのボーカル、活き活きと再現される楽器の音色、瞬発力に富んだタイトな低音がとても心地よく感じられました。音のバランスにも偏りがなく自然なので、長時間リスニングしても聴き疲れしにくいでしょう。
聴き疲れしにくいバランスの良いサウンドが特徴
また、ゲームのプレイ中に効果音をハッキリと聞きたいという場合は、「Logicool G FITS」アプリが搭載するイコライザー機能を活用しましょう。
モードを「FPS」や「MOBA/RPG」に切り換えると、低音をカットして、中高域の効果音のディティールがより聞きやすくなります。
「G FITS」アプリのイコライザー機能を使うと、サウンドを好みのバランスに調整できます。
通常Bluetooth対応のワイヤレスイヤフォン/ヘッドホンの場合、送り出しデバイスの側で圧縮された音声データを受け取り、解凍してから再生するプロセスが発生することから、映像に対する音声の遅延が発生します。
その点、G FITSは「人気ゲーミングブランドがつくったワイヤレスイヤフォン」なので、ゲームを心地よくプレイできるように音声伝送の遅延を回避するための独自技術である「LIGHTSPEED」を搭載しています。
これこそが、筆者がG FITSを「いま買いのワイヤレスイヤフォン」としておすすめする、2つ目の理由です。
LIGHTSPEEDはBluetoothではなく、2.4GHzデジタル無線伝送技術によりワイヤレスオーディオを送り届ける技術で、同ブランドのワイヤレスマウスやヘッドセットなどにも広く採用されています。
パッケージに同梱されているトランスミッターをMacBookに装着した様子。トランスミッターはUSB-A端子を搭載しているものの、同梱のUSB-CアダプターやApple純正の「Lightning - USBカメラアダプタ」などを使えば、iPhoneでも利用できた
LIGHTSPEEDをオンにした際の遅延抑制性能はとても高く、アクション系のゲームをプレイしてみたところ、操作に対して音声が遅れることなく、タイミングがピタリと合って効果音が聞こえてきました。
なお、専用トランスミッターを使うと、Bluetooth接続を選択した場合に比べて、イヤフォンの内蔵バッテリーによる連続音楽再生時間が約3時間短くなります(Bluetooth接続時は約10時間/LIGHTSPEED接続時は約7時間)。
G FITSにはBluetooth接続時にもワイヤレス音声伝送の遅延が抑えられる「ゲーミングモード」を備えているので、バッテリーの残量やコンテンツに合わせて使い分けるとよいでしょう。
イヤフォンに内蔵するリモコンを素早く3回タップすると、トランスミッターのLEDが点灯してLIGHTSPEEDモードに切り替わる
G FITSは音質と機能、使い勝手の3拍子が揃ったハイレベルな完全ワイヤレスイヤフォンです。
いま注目すべきイヤフォンブランドに名乗りを挙げたロジクールGの、今後の展開が楽しみです。
文/山本敦
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