1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

〈将棋の里見&囲碁の藤沢・トップ女性棋士、夢の対談〉天才少女時代を振り返る…「デリケートな時期だから話題にしてほしくなかった」1日10時間囲碁の勉強で修学旅行も不参加

集英社オンライン / 2023年4月30日 10時1分

ともに数々の女流最年少記録を打ち立て、将棋界・囲碁界でそれぞれ旋風を巻き起こしている将棋の里見香奈女流五冠と囲碁の藤沢里菜女流本因坊。このふたりのトッププロの対談が実現。ともに若くしてプロ入りを果たしたふたりはどのような幼少時代を過ごしたのか。#1では2人の天才少女がたどった道のりを聞いた。(全3回の第1回)

兄の影響で競技人生をスタート

――まずおふたりが囲碁、将棋を始めた頃のお話をお聞かせください。

里見香奈(以下、里見) 父と4歳年上の兄の影響で5歳くらいから将棋を覚えて、6歳で町の将棋道場に通うようになったんですが、道場は男の子が多かった。
性格的に負けず嫌いだったのか、兄に将棋で負けると悔しくて泣いたり、よくケンカもしましたが、楽しかったですね。



藤沢里菜(以下、藤沢) 私も3つ年上の兄が碁を打っていて、6歳のときルールを覚えました。母が私を囲碁棋士にしたかったみたいで、7歳で洪道場(プロやトップアマを目指す子どもの囲碁教室)に入り、土日は10時間くらい囲碁の勉強をするような生活でした。
里見さんも将棋漬けの生活でしたか?

里見香奈女流五冠(右)と囲碁の藤沢里菜女流本因坊(左)

里見 私は島根育ちなので東京や大阪のような都市部の本気でやる空気感みたいなのは薄かったですね。土日に道場へ行ったり、大会に出場した程度で、勉強らしい勉強はそこまでしていませんでしたよ。
住んでいた団地の子どもたちと外で遊ぶのが好きで、兄がやってるから、とか男の子に負けたくないって気持ちで続けていた感じです。
ただ、将棋が好きだったので道場には積極的に行ってました。

藤沢 当時一番記憶に残っているのは、小・中学校囲碁団体戦全国大会という各校代表者3名で戦う大会に兄と出場して3連覇(小1、2年は東中野小学校、3年は市谷小学校で達成)したこと。きょうだいで出てるチームはけっこう強いんですよ。

「学校で競技の話をしてほしくなかった」

――当時の師範は怖かった?

藤沢
師範は洪道場の洪清泉先生ですごく優しかった。でも挨拶の声が小さかったりしたら注意してくれたり、怒るときは怒る方なので、囲碁以外のこともたくさん学びました。

里見 私の小学生のときの師範は月謝もなくボランティアでやられている先生だったのですが、礼儀作法をイチから教えていただきました。その先生に一番最初に教わってよかったと思ってます。

――藤沢女流本因坊は11歳で、里見女流五冠は12歳でプロ入りし、初タイトルが里見女流五冠は16歳で、藤沢女流本因坊が15歳。里見女流五冠は“出雲のイナズマ”と呼ばれるなど、おふたりとも小学生のころから“天才少女”としてマスコミに取り上げられていました。

里見
思春期でデリケートな時期だから、隠してたというか……あんまり自分から将棋の話題に触れませんでした。注目されるのも、人前で話すのも苦手で。目の前に将棋盤があれば大丈夫なんですけど。
だから、友達に聞かれても早く将棋の話題を終わらせたくてしかたがなかったです。ただ将棋がやりたいだけだったので、注目されるのは得意ではありませんでした。

藤沢 わかります! 話題にもしてほしくなかったですね。ただ、私の場合は洪道場に入ってからは毎日お昼に早退してたから、学校にあんまり友達がいなかったのですが。

里見 私も対局のときは東京へ前乗りするので、対局前日に早退、当日は欠席。対局が終わったら夜行バスで島根まで帰るので、翌日は遅刻せざるを得ませんでした。

今でこそ負けてもあまり落ち込みませんが、昔は「負けたら一巻の終わり」くらい思っていたから、負けた日の夜行バスでは一切しゃべらなくて。同行してくれていた母には本当に申し訳ないことをしたなと思いますね。

「修学旅行に1度も行ったことがない」

――子どものころに「もっと遊びたかったな」といった後悔はありますか?

里見 対局以外で学校を休むことはなかったですし、学校の休み時間などでは普通にクラスの同級生と遊んでましたよ。
大学には行かなかったのでキャンパスライフに憧れの気持ちはありましたけど、そこまですべて犠牲にした感覚はありませんね。修学旅行や運動会には参加できましたし。

藤沢 私は修学旅行に1度も行きませんでしたね。

里見 え⁉ そうなんですか。

藤沢 土日に院生(プロを目指す子どもたちの研修)の手合(試合)があるからか、囲碁界は行かない人が多いですよ。でも全然大丈夫でした。道場の友達が好きでむしろそっちに行きたくて。遊びたかったなんて後悔は、それこそまったくありません。

――ちなみに、里見女流五冠は囲碁、藤沢女流本因坊は将棋も上手ですか?

里見・藤沢
まったくだめです。

――共通点がありそうなので意外です。「じょうせき」(囲碁では「定石」、将棋では「定跡」)や「攻め合い」など共通の用語もありますし。

里見
「攻め合い」は将棋だと終盤のことを指しますね。

藤沢 囲碁では逃げられない石同士の取るか取られるかの戦いのことですね。

里見 微妙に違うので面白いですね。

“栴檀は双葉より芳し”、少女時代から天才ぶりを発揮していた2人だが、#2ではプライベートの表情にも迫る。

取材・文/内藤由起子
集英社オンライン編集部ニュース班
撮影/小木寛一
撮影協力/アカシヤ書店

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください