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「最初から星矢役は新田真剣佑しかいなかった」「“無理に一作にまとめようとする”ことをやめた」総製作費を東映アニメーションが100%出資。日本が作る“ハリウッド映画”『聖闘士星矢 The Beginning』制作秘話

集英社オンライン / 2023年4月29日 9時1分

4月28日公開の映画「聖闘士星矢 The Beginning」。80年代を席巻した「週刊少年ジャンプ」の伝説的バトル漫画をハリウッドで実写化した作品だ。今回はプロデューサーとして本作を主導した東映アニメーションの池澤良幸さんに制作秘話を聞いた。

日本主導でハリウッドのスタッフを雇うという、驚きの制作スタイル!

――「聖闘士星矢」といえば、誕生から35年以上を経てもなお、関連作品が作られ続ける伝説的漫画。なぜ今になって実写映画化したのかが気になるところです。

実は、原作者の車田正美先生には、長年“ハリウッドで「聖闘士星矢」を映画化できたら…!”という想いがあり、これまで何十年にも渡ってテレビアニメ化を手がけた弊社と実写映画化企画を模索してきました。その結果がようやく実現したのです。



――本作は“ハリウッドのスタッフで作っているが出資は100%日本”という部分にも注目が集まっています。こうした制作スタイルというのは、珍しいものなのでしょうか?

確かに、我々東映アニメーションが主導し、出資も100%をしているので、日本主導の映画と言えます。1960年代から1970年代前半に、イタリア製の西部劇映画である“マカロニ・ウエスタン”が流行りましたが、構造的にはそれに近いかもしれませんね。

ハリウッドのスタッフが手がけるど迫力の映像!

こうした構造の映画というのは、日本が伸び盛りだった80年代や90年代には日本のゲーム原作の映画化企画や、ホラー映画などのジャンルでよくチャレンジされてきた印象があります。ただ、かなり費用がかかるプロジェクトなうえ、海外のスタッフとの連携やクリアするべきハードルがいくつもあるので、邦画界でメインストリームな映画制作スタイルではありませんでした。

ですが、先人たちが経験してきた苦労や困難と同じ道を歩んでしまっては次に繋がらない部分も多々あるので、今回の作品がいいロールモデルになればという思いもあり、私自身こうしたスタイルの映画作りを綴った書籍や、業界関係者に話を聞きつつ、乗り越えるべきハードルをしっかりと勉強して企画を進めました。ですので、今回映画化が無事成功して、非常に嬉しく思っています。

――実写映画化でファンが心配するのは、“原作の雰囲気を台無しにされるのではないか”ということでしょう。このことは制作中にも気にされていましたか?

もちろんです。むしろそれこそが本作を作る上で一番大事だったと言っても過言ではありません。そして批判の多い漫画・アニメの実写映画化でありがちなのは、膨大な原作ストーリーを無理に一作にまとめようとすることでしょう。ですから、本作は思い切って物語序盤の要素を中心にしました。そうすることで、シリーズの肝であるキャラクターの葛藤や心情がぐっと出たと思います。

映画は主人公・星矢が闘いに身を投じる序盤のストーリーにフォーカス!

また表層的に原作要素をなぞってもファンは納得してくれません。ファンを納得させる漫画・アニメ原作の実写映画というのは、シリーズの要素を残しつつも、その根幹であるテーマや情熱をしっかりと持っている作品だと私は思っています。

原作要素を残しつつもリアリティのある
デザインにした“聖衣(クロス)”

――今回はハリウッドで活躍する凄腕スタッフが集結して制作に臨まれたわけですが、どういったスタッフを集めたのでしょうか。

監督を務めたポーランド出身の映画監督トメック・バギンスキーは、小説原作でゲーム化して人気を博した「ウィッチャー」という作品を、2019年にNetflixでドラマ化した際に製作総指揮を務めるなど、実写化企画には馴染みがあります。以前から交流があったのですが、あるときこのプロジェクトについて話してみたところ、「『聖闘士星矢』は有名な作品だし知っているよ!」と意気投合し、参加してくれました。

――バトル漫画の金字塔として、本作のアクション演出には多くのファンが関心を寄せていると思います。原作のアクションを実写でどう表現されたのでしょう。

当初は、CGをメインにしたド派手なアクション路線でいく案も出たのですが、近年は大規模な予算をかけたCG主体の作品も多く、お客さんの目も肥えているので、一歩間違えると受け入れてもらえない危険性もありました。ですから本作は生身のアクション要素をメインに据えることにしたんです。

生身にこだわったという格闘アクションは必見!

格闘系アクション映画は、アクション演出のカギを握るアクション・コーディネーターの仕事ぶりで作品の出来が左右されます。なので、カンフー映画要素をギュッと詰め込み大ヒットを記録した2021年のマーベル映画「シャン・チー/テン・リングスの伝説」で迫力の肉体派アクション振りつけをした、アンディ・チャンに協力を仰ぎました。

子供の頃から原作のファンだったというアンディはノリノリで引き受けてくれましたね。私も撮影現場に赴いて、彼の振りつけしたアクションを生で見ましたが、圧倒されました。そこに、カメラアングルやCG・効果音などの演出が加わることで、より見事なアクションシーンに仕上がりましたので、アクション映画ファンにもぜひ本作を鑑賞してもらいたいです。

――そのほか、こだわった部分を伺いたいです。

シリーズを語るうえで欠かせない存在である“聖衣(クロス)”のデザインですね。聖衣は、聖闘士(セイント)の証として与えられる防具です。車田先生によるインパクト抜群のデザインがシリーズを個性的なものにしていますし、原作人気の大きな要素になっています。

最初はCGを駆使して、漫画やアニメで描かれたままのデザインを考案してみたのですが、どうにもコスプレに見えてしまい、実写の世界観と並べてみると浮いてしまったのです。そのため今回は実際の衣装として製作し、“肉体派のアクション要素をメインにする”という作品コンセプトに合わせ、役者がアクション時に動きやすいように、原作要素を残しつつもリアリティのあるデザインにしました。

原作要素を生かしつつ映画になじむようにリデザインされた聖衣(クロス)にも注目だ

主役の星矢は当初から日本人キャストで行くと決めていた

――今回主役の星矢役を演じることになられた新田真剣佑さんほか、キャスティングについてのこだわりは?

主役の星矢は当初から日本人キャストでいこうと話しており、監督のトメックとは「新田真剣佑しかいないよね」と割と早い段階から決めていました。端正な顔立ちと確かな演技力に、ハリウッドの現場でもなんら遜色のない英語力。そして何より、お父上の千葉真一さん譲りのアクションセンスが決め手でしたね。

ベテランハリウッド俳優ショーン・ビーンの骨太演技が作品に重厚感を与える

彼が実際に撮影現場でスタントをこなしているシーンもかなりあるのですが、アンディの考案したアクションをビシッと美しいフォームで決めてくれました。アクションの美しさは「聖闘士星矢」では非常に重要なので、彼が星矢を演じてくれて本当によかったと思います。

名女優ファムケ・ヤンセンが魅せる必見の悪女ぶりにも要注目だ!

そのほかにも、「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズのショーン・ビーン、、「X-メン」シリーズのファムケ・ヤンセンや、「ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル」でメインキャストに選ばれたマディソン・アイズマンといった、ハリウッドのベテランも脇を固めてくれたので、非常に見応えのある画になりました。

――最後に、本作を楽しみにしているファンにメッセージをお願いいたします。

今回は星矢が聖闘士になる始まりにフォーカスしましたが、ファンの方が気になるのは、星矢と共に数多くのドラマを生んだ仲間である“青銅聖闘士(ブロンズセイント)”をはじめとしたキャラクターの登場かと思います。本作は続編を想定した壮大な物語の序章として考えているので、みなさんのお気に入りのキャラクターの登場は、もう少し待っていてくれると嬉しいですね。きっと期待に応えられるはずです!

壮大な物語は今後どんな展開を見せるのか……!?

『聖闘士星矢 The Beginning』4月28日(金)全国公開


https://kotzmovie.jp
配給:東映
©2023 TOEI ANIMATION CO., Ltd. All Rights Reserved

取材・文/TND幽介(A4studio)

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