歌舞伎町・深夜のストリートピアノに密着! 日芸ピアノ科を首席で卒業してピアニストを目指すキャバ嬢。「今はキャバクラで働いてるけどいつかは…」
集英社オンライン / 2023年4月22日 18時1分
新宿・歌舞伎町の一角に、深夜でも演奏可能な”ストリートピアノ”がある。前編では、そこを訪れた”トー横キッズ”らにスポットを当てたが、後編では大人たちの姿をお届けしたい。
日芸ピアノ科首席卒業のキャバ嬢の姿も
東急歌舞伎町タワーがオープンした4月14日の夜。2組のトー横キッズらがそれぞれの思いを抱え、歌舞伎町のチェックメイトビルにあるストリートピアノを弾きにくる様子を前編で紹介した。
![](https://assets.shueisha.online/image/-/2023/04/21082534431040/800/1.png)
区役所通りにあるチェックメイトビル
この日、深夜1時を回るころには、チェックメイトビルの前はアフターに出かけると思われるホストやキャバ嬢の姿が増えてきた。盛り上がる繁華街。そのなかで1人の女性がピアノ椅子に座る。黒を基調とした服に身を包んだスタイルのいい綺麗な女性が演奏するのは『ノクターン第2番』と『ノクターン第20番』。どちらもショパンの代表曲だ。
![](https://assets.shueisha.online/image/-/2023/04/21082606466177/800/2.png)
キャバクラで働きながらプロのピアニストを目指す玖蘭泉希さん
「勤務先のボーイに『せっかくピアノ得意なんだから行ってみたら?』と勧められて、それから毎日仕事終わりに弾きにくるようになりました」
歌舞伎町のキャバクラで働く玖蘭泉希さん(源氏名・25才)はそう恥ずかしげに語るが、”キャバ嬢×ピアニスト”の二刀流で活動する彼女の経歴は並ではない。
「5才からピアノを始めて、高校生までは県のコンクールで1位を獲り続けていました。その後も日芸(日本大学芸術学部)のピアノ科を首席で卒業したんですけど、クラシックって大学院を出て、海外留学を経験したのち、30才あたりでようやく土俵に立てる世界。
でも、私はそのままピアノを続けられるほど環境に恵まれてたわけじゃないんで。それで副業としてキャバクラの世界に飛び込んだんですけど、やっぱり夜職って大変ですね。池袋のお店ではナンバーワンになれましたけど、1年前に歌舞伎町に来てからは、全然売上が伸びなくて……。『どうすればリピートしてくれるお客さんが増えるんだろう?』と悩む日々が続きました」
![](https://assets.shueisha.online/image/-/2023/04/21082635228055/800/3samune2.png)
玖蘭泉希さん(本人Instagramより)
そんな彼女を救ったのが、このストリートピアノだった。
「プロのピアニストを目指すことで両親と喧嘩したこともあったし、親の援助がない環境で、他のコとの実力差を感じてピアノから離れようと思ったこともありました。でも、この場所に出会ってからは、『ピアノとキャバクラ、両方あってこその私なんだ!』と前向きになれました。
今はキャバクラの売上を伸ばしたい思いが強いですが、将来的にはピアノだけで食べていきたい。音楽家を目指すには時間もお金もかかるけど、私みたいに恵まれた環境じゃなくても、頑張れば道は開けることを証明したいですね」
「ピアノの音色は心が洗われる」
夜もすっかりふけた午前2時すぎ。今度は3人組の若い男性グループがやってきた。そのうちのスーツ姿の男性が、酔っているのかフラフラとピアノ椅子へ。弾いたのはベートーヴェンの『悲愴』だ。
「会社の先輩が僕のピアノを聞きたいってうるさくて、飲み会帰りにしかたなく来たんです。『悲愴』もこの人(先輩)のリクエストですね(笑)」
![](https://assets.shueisha.online/image/-/2023/04/21082732915763/800/4.png)
IT企業で働く坂井さん(仮名)
酔っているのか照れているのか、頬を赤らめて話す坂井さん(仮名・24才)は、都内のIT企業に勤めるサラリーマン。幼稚園の年少からカワイ音楽教室に通い、年に一度開かれる「カワイ音楽コンクール」のピアノ部門でも、毎年入賞するほどの実力だったという。
「でも、中学でバスケ部に入ってからは、『ピアノってダサくね?』とバカにする自分もいて。反抗期も重なったせいで、週に1度のピアノ教室に通うのも億劫になって、中学卒業と同時にやめてしまいました。
そこからピアノとは無縁の生活を送っていたんですけど、大学受験の勉強の合間に気がついたらYouTubeでショパンの『ノクターン2番』や、盲目のピアニスト、辻井伸行さんが演奏する『英雄ポロネーズ』を見てたりして。今、思い返せば『僕ってやっぱりピアノが大好きだったんだな』と」
当時を懐かしむ坂井さんにピアノの魅力について尋ねてみると、笑顔でこう語った。
「ピアノの音色って“不純物”が一切入っていないので、聞いていて心が洗われるんですよ。もちろんJ-POPやロックも大好きなんですけど、やっぱりクラシックには敵わない。今日は会社の人たちと一緒なので、リクエストされた曲しか弾いてませんけど、今度ひとりで来たときは、思いっきり自分の好きな曲を弾いてみたいですね(笑)」
![](https://assets.shueisha.online/image/-/2023/04/21082803742139/800/5samune1.png)
深夜、ここから奏でられるピアノの音色が、歌舞伎町の人々のすさんだ心を少しでも洗い流してくれることを願う。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
外部リンク
- 歌舞伎町のストリートピアノとトー横キッズ「実家は裕福で国際コンクールに出たことも」「ここに2人で通ううちにカップルに」行き場のない若者たちの特別な場所に
- 〈バス車内わいせつ行為〉「手相みるよ」と近づき服の中に手を入れ胸まで…逮捕された水墨画講師(59)の妻は日本人、父は中国の政治家⁉ 被害者は声もだせない程の“恐怖の20分”
- 〈豊島区議選出馬〉 またサボるのでは? 元迷惑系ユーチューバー・へずまりゅう(31)を直撃!「“老人消えろ”発言の真意」「西武・ヨドバシ問題」「ガーシーとなにが違う?」全部聞いた!
- 「首相を襲撃するなど言語道断です」木村容疑者が最初に頼った宇都宮弁護士が喝! 「あいつが何を考えているかわからない」と答えた元配送員の父親との本当の関係とは?〈和歌山・岸田首相襲撃〉
- 〈批判続出のカラオケ仕様は当面続行〉卒業した“鐘のおじさん”こと秋山気清さんが語る「NHKのど自慢」の魅力「私としては全員に合格の鐘を鳴らしたかった」
この記事に関連するニュース
-
見取り図リリー、過去の交際相手について言及「桐谷美玲みたいな」 現在までの経験人数は“3ケタ”
Sirabee / 2024年7月25日 10時15分
-
カワノアユミの盛り場より愛を込めて 「立ちんぼ」消えない理由はホストクラブの高騰 メイン客層だったキャバ嬢や風俗嬢の収入減、崩れたバランスが生んだゆがみ
zakzak by夕刊フジ / 2024年7月22日 14時41分
-
“ひと夏のお遊び”でラブホ→交際した女性25歳、彼氏に「病みブログ」を書き散らされて…――大反響・仰天ニュース傑作選
日刊SPA! / 2024年7月20日 8時45分
-
あなたが好きなピアノ映画は? 映画.com&ユーザーおすすめ37選
映画.com / 2024年7月15日 10時0分
-
深夜の機内で“痴漢”の被害に。熟睡していたら違和感を覚えて…「恐怖で声が出せませんでした」
日刊SPA! / 2024年7月10日 15時53分
ランキング
-
1“スマホの失敗”が痛かったバルミューダ。「トースター」に代わるヒット作が“生まれにくい”理由
日刊SPA! / 2024年7月27日 8時53分
-
2石川県の馳知事「所得の低い方が1次避難所で滞留、いかに支えていくかも使命」
読売新聞 / 2024年7月29日 6時46分
-
3【速報】北海道内で「業務スーパー」フランチャイズ7店舗を運営のケヒコと関連2社が破産申請
HTB北海道ニュース / 2024年7月29日 13時9分
-
4「1万円の宿泊規程」では出張もできない…「東京のホテル平均3万円超え」が示すインバウンド需要の大変化
プレジデントオンライン / 2024年7月29日 9時15分
-
5「夫に殺されそう」幼児2人のことで口論、怒号を発しながら…40代の妻が自ら通報、その場で逮捕の36歳の看護師の夫「ムカついたので、胸ぐらをつかんで『殺すぞ』と言いました」
北海道放送 / 2024年7月29日 7時57分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)