本コーナーではこれまで藤元明緒監督の『海辺の彼女たち』、川和田恵真監督の『マイスモールランド』など、移民・難民問題を主題とする作品を紹介してきました。
今回、紹介するルイ=ジュリアン・プティ監督の『ウィ、シェフ!』は移民の国、フランスの政策の問題点を料理とコメディの組み合わせで描いたもの。同伴者のいない未成年(UAM)と呼ばれる移民の子どもたちを調理師として育成する制度を扱っていて、映画に出演しているのは300人以上のオーディションから選ばれた、実際にパリの移民支援施設で暮らす若者たち40人。料理人としてのこだわりが強すぎて、有名レストランを辞めてしまったカティ・マリー(オドレイ・ラミー)が移民支援施設の住み込み料理人となり、収容されている子どもたちと相互理解を深めていく物語で、子どもたちが劇中に語る台詞やエピソードには、各自の実体験が反映していると言います。