英国に限らず、欧米では仕事と家庭生活がきちんと分けられていて、取引先との夜の会食はあまりない。仕事上の食事は、もっぱらランチだ。案件が完了したあとの慰労会、ビジネス・チャンスを探るための情報交換、相手になにかを教えてもらうための接待など、目的は様々である。
大手の金融機関は、たいてい社内にダイニング・ルームを持っていて、そこに客を招く。マナーハウス(貴族の館)の一室のような内装で、立派な絵画などが飾ってある。
ランチのスタートはだいたい十二時半である。二人から数人の客を同じくらいの人数で迎え、まずジントニックやブラッディメアリーなどのアペリティフ(食前酒)を手に、立ったままよもやま話をし、その後、着席してフルコースをとる。