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【ウィーン少年合唱団4年ぶり来日公演】YouTubeを見て入団決意、Zoomでの面談を経て入団した日本人少年も…

集英社オンライン / 2023年5月17日 17時1分

その美しいハーモニーから“天使の歌声”と称される「ウィーン少年合唱団」が、4年ぶりの日本公演のために来日中だ。

4年ぶりに“天使の歌声”が生で聴ける

今年で誕生525年を迎えるウィーン少年合唱団は、1498年(当時日本は室町時代)に神聖ローマ帝国マクシミリアン1世が「少年聖歌団」として創設。その長い歴史の中では、モーツァルトやイザーク、グルック、サリエリといった偉大な作曲家たちとも活動を共にした。また団員としても、シューベルト、クレメンス・クラウス、ハイドン兄弟など、歴史に名を刻む音楽家たちが多く参加したという。

ここ日本との関わりも深く、1955年の初来日以来、定期的に公演を行っている。また2000年には映画『ドラえもん のび太の太陽王伝説』のオープニングテーマ「ドラえもんのうた」を担当したことでも話題となった。さらに東日本大震災の際には、復興のためのチャリティ公演がウィーンで行われ、その収益金が被災地の学校へ送られるなど、日本とオーストリア交流の架け橋となり、その絆は年々深まっている。



実は今回来日した団員の中には、ノブタカ君(14)、レンタロウ君(12)、マナブ君(11)という3名の日本人メンバーが在籍している。

ノブタカ君(14)

レンタロウ君(12)

合唱団メンバーは、アウガルテン宮殿(ウィーン)の練習場および寄宿舎にてさまざまな国籍や文化、言語の中で生活を共にする。寄宿舎でのメンバー間のコミュニケーションに関して、ノブタカ君は「基本的にドイツ語でメンバーと言葉を交わしています」と、ツアーに先駆けて行われた記者会見の中で答えてくれた。

コロナ禍で制限された海外活動

非営利の民間団体であるウィーン少年合唱団は、これまで国内外における年間約300のコンサート公演における収益金と、スポンサーからの支援・寄付金よって運営費用を賄ってきた。そのため、新型コロナウイルス感染拡大による活動制限の影響は非常に大きく、一時は存続の危機に陥る恐れもあったという。

コロナ禍での運営に関して、招聘元であるジャパン・アーツ代表取締役の二瓶純一氏は会見中、「パンデミックの期間はウィーン少年合唱団にとっても未曾有の事態で、およそ2年半まったくツアーができない日々が続きました。失ったのは約700公演以上。その間はホームページ等でドネーションを募り、運営していました」と話した。

また、合唱団の団長であるエーリッヒ・アルトホルト氏は「この3年間は苦しい時期だったが、だからこそ、ポスト・コロナに向けてポジティブな未来を描いていくことが大切だと考えている」と言葉を寄せた。

左から、ジャパン・アーツ代表取締役の二瓶純一氏、ウィーン少年合唱団 団長エーリッヒ・アルトホルト氏、ウィーン少年合唱団 芸術監督ゲラルト・ヴィルト氏、ウィーン少年合唱団 カペルマイスター(常任指揮者)ジミー・チャン氏

コロナ禍においては、入団までの過程にも現代的な手段が活用されていたようだ。

日本人メンバーの1人であるレンタロウ君は、YouTubeでウィーン少年合唱団が歌うビデオを見て入団したいと決意。自分が歌っている短いビデオを送ったところ、Zoomで指揮者の先生とミーティングをすることになり、それからウィーンでトライアウトの期間を過ごすことになったという。

また、今回来日するハイドン組の中には、ウクライナ侵攻によってオーストリアへ避難してきたメンバーも参加している。

ウクライナ出身のゲオルギ君

もともとウクライナの港町・オデーサの合唱団に所属していたゲオルギ君(13)は「戦時中、どの方面に行こうかと考えていました。そこで僕のほうからウィーン少年合唱団を訪ね、最終的に入団を決心しました」と合唱団に参加した経緯を話した。

来日したハイドン組は「エネルギッシュで活気がある」

約100人の少年で構成されるウィーン少年合唱団は、シューベルト組、ブルックナー組、ハイドン組、モーツァルト組の4グループに分かれ、毎年約300回のコンサートを行う。今回来日したのは、ハイドン組の24名。カペルマイスターであるジミー・チャン氏は来日したハイドン組の特徴について次のように話す。

「今回のハイドン組は約3年間国際公演ができず、ほとんどの子どもたちにとって、初めての海外舞台となります。国際的な舞台への経験値は少ないですが、非常に若くエネルギッシュで、活気のある組です。個性的なメンバーが揃っており、稀有な歌声をお届けできると思います」

ウィーン少年合唱団カペルマイスターのジミー・チャン氏

今回の日本ツアーでは、5月3日から6月18日までの間、全国29公演を予定。プログラムは「A」と「B」の2種類が用意されており、プログラムAのテーマは「プレミア」で日本初披露の曲が多く、オンラインコンサートを収録した3枚のCDからも演奏される。一方、プログラムBのテーマは「オン・ステージ」で、その名の通り、オペラやミュージカルといった舞台での曲を中心に披露する。

今回来日するハイドン組のメンバー

9歳から14歳という変声期を迎えるまでのわずかな期間しか在団できず、現在と同じメンバーの公演を見られる機会は、この先訪れないかもしれない。今この瞬間しか味わえない “天使の歌声”を聴きに、ぜひ会場に足を運んでみてはいかがだろうか。

取材・文/毛内達大 写真/居坂浩文

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