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「サイズは10MBまで」「ファイル名に日本語はNG」「パスワード付ZIPは時代遅れ」… 相手に常識知らずと思われないためのメール“添付ファイル”最新マナー

集英社オンライン / 2023年5月24日 7時1分

誰かに書類や写真などのデータを送りたいとき、もっともメジャーな手段と言えるのがメールの「添付ファイル」。しかし、添付ファイルにまつわる常識は、時代とともに変化している。あなたの常識が時代遅れになっていないか、最新のビジネスマナーをチェックしていこう。(トップ画:Shutterstock.com/one photo)

添付ファイルの容量は何MBまでOK?

添付ファイルのサイズが大きいと、相手が受け取れずに戻ってきてしまうことがある。

添付ファイルのサイズ制限に引っかかると、「MAILER-DAEMON」や「Mail Delivery Subsystem」というエラーメッセージが返ってくることが多いが、ここで「なんだか英語のメールが来たけれど迷惑メールかな?」と無視してしまうと、相手にはずっと届かないままだ。



エラーメッセージに気づかないのは一番の悪手だが、そもそもサイズ制限に引っかからなければそれに越したことはない。

では、添付ファイルの容量は何MBまでならよいのだろうか?

ひと昔前は、「添付ファイルの上限は2〜3MBくらいまで」と言われていた時期もあったが、今のインターネットプロバイダは、メール1件あたり20MB〜25MBあたりを上限としているところが多い。さすがに3MB以下というところは見当たらない。

しかし、企業のメールアカウントに関しては話が別だ。

企業が管理するメールアカウントでは、その企業の情報システム部が運用方針を決めているケースが多い。情報システム部の方針によっては、メール1件あたりの容量をかなり低く設定している可能性があるのだ。

結局のところ、「何MBまでなら安全」と言い切れる指針はないが、それでも今どきは5〜10MBくらいまでなら問題なく送信できることが多い。10MBを超えるようなら、念のため送信先に受け取り可能かどうかを確認するか、そうでなければファイル転送サービスなど別の方法を使うのが無難だろう。

Gmailの場合、受信できる添付ファイルの上限は1件あたり50MB。相手のメールアドレスがGmailなら、大きめのファイルを送っても受け取ってもらえる

「添付ファイルの文字化け」を確実に避ける方法

添付ファイルされていたZIP圧縮のファイルを開くと「縺薙s縺ォ縺。縺ッ」というようなファイルばかりが並んでいた…そんな経験はないだろうか。

こうした文字化けが起きる原因は、コンピュータの内部処理のために文字に割り振られたコード、いわゆる「文字コード」の違いにある。

日本版のWindowsでは長年「Shift JIS」という文字コードが使われてきたが、macOSでは「UTF-8」という文字コードが使われている。圧縮したときの文字コードと解凍するときの文字コードが違うために、別の文字に置き換わってしまうというわけだ。

この問題は、単にWindowsとMacだけの問題ではない。シェアとしてはわずかだが、Linuxの文字コードも「UTF-8」だ。また、Windows 10や11では、システムの文字コードをUTF-8に変更できるようになっている。したがって、Windows同士でも文字コードの違いによる文字化けが発生してしまう場合があるのだ。

文字化け問題を回避する一番単純な方法は、「ファイル名に日本語を使わない」ことだ。圧縮する前のファイル名をすべて半角アルファベット+数字の組み合わせにしておけば、OSの文字コードが違っていても文字化けが起こらない。トラブルを確実に回避したいならこの方法を選ぼう。

Macから届いたZIPファイルを開いた例。文字化けしているのは、元々ファイル名が日本語だったもの。ファイル名がアルファベットのものは文字化けが回避できている

ZIPファイルで日本語のファイル名を扱う方法

しかし、半角アルファベット+数字の組み合わせだけではわかりにくいし、いちいち名前を付け替えるのは面倒だと感じる人もいるだろう。そこで、日本語のファイル名を使いながら、文字化けのトラブルをなるべく防ぐ方法を考えてみよう。

Macユーザから圧縮ファイルを送る場合、Windowsユーザが受け取ることを考えてShift JISで圧縮するのがいいだろう。そのためには、OS標準の圧縮機能ではなくサードパーティ製のアプリを使う必要がある。Shift JISで圧縮できるアプリとしては「MacWinZipper」などがある。

Mac標準の圧縮機能では、文字化けの問題以外に、「.DS_Store」や「___MACOSX」といった無用のファイルができてしまうという問題がある。この点を回避するためにも、サードパーティ製の圧縮ソフトを使ったほうがベターだと言える。

Mac用の圧縮アプリ「MacWinZipper」。設定で「日本語版Windows」を選ぶことで、Windows(Shift JIS環境)で文字化けしないZIPファイルを作成できる(https://tida.co.jp/macwinzipper/

一方、Windowsユーザが圧縮ファイルを作る場合も、できればサードパーティ製の圧縮アプリを使うのが望ましい。

おすすめは「7-zip」というアプリだ。これを使って圧縮したZIPアプリは、受け取り側がMacであっても、Shift JIS環境のWindowsであっても、UTF-8環境のWindowsであっても文字化けが起きることなく解凍できる。

さらに、自分が受け取る側になったときも、この7-Zipを使って解凍すれば文字化けに悩まなくて済むはずだ。さらに、このソフトを使えば、しばしばWindowsとMacとのやりとりで問題になりがちな「機種依存文字」の問題からも解放される。

Windowsユーザならぜひインストールしておこう。

Windows用の圧縮/解凍アプリ「7-Zip」。ダウンロードとインストールが完了したあとは、コンテキストメニューから「7-zip」を選んで圧縮すればいい。特別な設定をしなくても、文字化けしないZIPファイルを作成できる(https://sevenzip.osdn.jp/

「パスワード付きZIP」の扱いを見直そう

「機密性の高い情報はパスワード付きZIPにして、あとから解除パスワードを送信しましょう」。そんな指導を受けたビジネスパーソンも多いのではないだろうか。

しかし、この常識はもはや時代遅れになりつつある。ビジネスでのやりとりでは、パスワード付きZIPの使用は推奨されないものになってきた。

その理由はいくつかあるが、一番の問題はセキュリティとして脆弱であることだ。パスワード解析ツールも出回っており、今どきのPCのスペックがあれば、4〜6桁のパスワードなどほんの数秒で解析できてしまう。

2020年に平井卓也デジタル改革担当大臣(当時)は、内閣府および内閣官房でパスワード付きZIPを使用しない方針を表明した。その後、ほかの省庁や民間企業も追随する動きを見せている。

そんな状況の中、うっかりパスワード付きのZIPを送ったりしたら「世間の動きを察知できていないのでは…」と不安視されてしまうかもしれない。

では、機密情報を含んだファイルはどのように送信すればいいのかというと、今ではさまざまな代替案が提示されている。

中でも手軽なものとしては、「OneDrive」などのクラウドストレージサービスを使用する方法だ。これらのサービスでは、指定した特定のユーザだけにアクセス権を与えることができる。もしURLが入ったメールを盗聴されてしまったとしても、ファイルが第三者にアクセスされてしまう危険は低いと言える。

さらに手軽な方法としては、「firestorage」「Gigafile便」などのデータ転送サービスを使う方法だ。ダウンロードパスワードと有効期限(ファイル保存期間)を設定することで、ある程度ならセキュリティを高められる。簡便さを重視する際にはこちらを選択してもいいだろう。

マイクロソフトの提供するクラウドストレージサービス「OneDrive」。指定した相手だけに閲覧権限や編集権限を与えることができる

相手に負担をかけないファイル送信を心がけよう

添付ファイルを扱ううえで、注意すべきことはほかにもある。最後に3つだけご紹介しよう。

●そもそも圧縮しなくてもいいかも?
メールに添付するファイルが1〜2個なら、圧縮しないほうが親切と言える。スマホでメールをチェックする際、圧縮してあると余計な操作が増えてしまうからだ(場合によっては、解凍アプリのインストールが必要になることもある)。スマホでメールをチェックする人のことも考慮して添付を行おう。

●添付忘れの多い人は手順に工夫を
「ファイルを添付する」と書いてあるのに、肝心の添付ファイルがない…。よくある光景だ。メールアプリによっては、本文を解析して送信前に添付忘れを指摘してくれるものまである。そうした機能が搭載されていないメールアプリの場合は、本文を書く前にファイルを添付する手順を癖づけておこう。

●関係のない人に送っていないか?
意外と多いのが、同姓のまったく別の人に送ってしまうパターン。多くのメールアプリでは、宛先やcc欄に日本語で苗字を入れると、送信先の候補が提示される。そのまま提示に従って、送信後に間違いに気づくということも…。送信前にはもう一度宛先を見直すようにしたい。

デジタル上のコミュニケーションの常識は、時代とともに変わっていく。添付ファイルの扱いもその1つだ。古い常識にとらわれず、時代に合ったビジネスマナーを身につけていきたいものだ。


文/小平淳一

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