おぼろげに思い出されるそれは"カップアイスの中につぶつぶのガムが散りばめられている"もの。あのアイスは何だったのか。
疑問に思い始めたのは、中学生になってからだった。
「昔、ガムの入ったカップアイスがあったよね?」と、クラスメイトに話してみたのだが、それを知る人はひとりもいなかった。
回答は決まって「なにそれ?」「知らない」だった。
ひょっとしてものすごくローカルな商品だったのかもしれないと、かつて実家の駄菓子屋に集っていた幼なじみ達にも尋ねたのだが、答えは同じだった。
さらに驚いたことに、それを仕入れていたはずの私の親すら「知らない」。これには愕然とした。
その後も折を見て様々な相手に尋ねてみたのだが、手がかりは全く得られないまま時が過ぎた。やがて「自分の記憶違いかも」と、話題にするのをやめてしまった。
子どもの頃の思い出には、事実と空想が混在しているものもあるんだろう、と。