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世田谷のド真ん中で24時間「牡蠣」を売る! 異色の無人販売店が登場

集英社オンライン / 2022年5月13日 15時1分

餃子の無人販売が注目を集めるなか、東京都世田谷区に異色の無人販売所が登場した。冷凍殻付き牡蠣を販売する「カキクケコ」だ。なぜ世田谷の住宅地で、牡蠣の無人販売に取り組むのか。オーナーの吉沢竜治さんに話を伺った。

ヒントにしたのは、あの無人販売店

小田急線千歳船橋駅を降りてすぐの通り沿いに、一風変わったお店がオープンした。ティファニーブルーを基調とした外観は、美容室やネイルサロンのようにも見えるが、看板やポスターには「牡蠣食う客は健康だ」「“カキ活”美人」といった文言が踊る。実はここ、日本初となる殻付き牡蠣の無人販売店『カキクケコ』の一号店なのだ。

「カキクケコ」の外観。道行く人も立ち止まって店内をのぞき込んでいた。


取り扱っている牡蠣は、宮城県沖で水揚げされ、殻付きのまま冷凍されたもの 。安全性のため、加熱調理が必須とされている。価格は一箱4〜5個入り(500g)で、税込1,000円。販売方法は至ってシンプルで、購入者が冷凍庫から商品を取り出し、料金箱に現金を支払う仕組みだ。

「参考にしたのは、餃子の無人販売所です」と率直に明かすのはオーナーの吉沢さん。

もともとは千葉県内で二軒の居酒屋を経営していた吉沢さんだが、コロナ禍のあおりを受けて業績が悪化。一軒は閉店にまで追い込まれ、残る一軒も長らく営業できない期間が続いた。活路を模索するなかで注目したのが、急速に店舗数を拡大しつつあった餃子の無人販売所だった。

オーナーの吉沢竜治さん。「牡蠣食う客は健康だ!」というキャッチフレーズや、それを略した「カキクコケコ」という店舗名も吉沢さん自身のアイデア

「人件費のかからない無人販売なら、自分にもチャンスがあると思ったんです。ただ餃子のような加工食品の場合、生産ラインを整えるために莫大な初期費用がかかります。どこかに製造を委託するにしても、やっぱりお金がかかってしまう。

それに加工食品には、たくさんの化学調味料や食品添加物が使われていますよね。そのことを否定するつもりは一切ないのですが、自分が無人販売に取り組むのなら、食べる人の健康を支えるようなものを扱いたいという思いがありました。それでいて、ほかでは簡単に購入できないものは何だろうと考えていった結果、辿り着いたのが『殻付き牡蠣』だったんです」

最近では、都内のスーパーでも生牡蠣を一年中見かけるようになったが、「殻付き」となると、手に入る時期は限られる。

「そもそも、都内で手に入る牡蠣は、必ずしも品質が安定しているわけではありません。特に旬の時期を外してしまうと、飲食店に卸されるような牡蠣でも、身の痩せた個体が少なからず混じってきます。その点、旬の時期に水揚げしたものを殻付きのまま冷凍しておけば、ぷりぷりとした肉厚の牡蠣をいつでもお届けすることができる。無人店舗で扱う商材としては、最適だと考えました」

スイーツを思わせるかわいらしい箱に、冷凍牡蠣が殻ごと真空パックされている

コロナ禍に苦しむ水産会社とタッグを組んで

これまで自らの飲食店でも生牡蠣を扱ってきた吉沢さんだったが、「冷凍の殻付き牡蠣」を仕入れた経験は、ほとんどなかったという。さまざまなツテを駆使したものの、仕入れ先探しは難航。宮城県庁にも相談に赴いたが、めぼしい情報は得られなかった。それでも事業化を諦め切れなかった吉沢さんは、「ローラー作戦」に打って出る。

「電話帳を片手に、宮城県内の水産会社に、片っ端から問合せをしていきました。すると、ある企業の営業担当の方が、一度会いたいと言ってくれて。話を聞いてみると、彼らはこれまで大手飲食チェーンなどに冷凍の殻付き牡蠣を卸していたのですが、コロナ禍の影響で飲食業界が低迷するなか、新たなビジネスの展開を模索していたようなんです。そういった背景もあって、私のアイデアにすごく共感してくれて。本来、個人とは取引をしないということだったのですが、特別に牡蠣を卸していただけることになりました」

カキクケコの内観。

それだけではなく、全面的なバックアップを取り付けることにも成功。輸送費や倉庫の賃料なども一部負担してくれることに。一パック1,000円という低価格で殻付き牡蠣を販売できるのも、 そのおかげだという。

「取引先の厚意には本当に感謝しています。ただ、Win-Winの関係を築けなくては、ビジネスの長続きはあり得ません。これまで飲食業界で働くなかで培ってきたマーケティングやブランディングのノウハウを活かして、牡蠣の個人消費を促す仕組みを構築することが、私に期待される役割だと感じています」

全国展開を視野に、10年で100店舗を目指す

2月のオープンから約3カ月。売上は好調で、特に女性客が圧倒的に多いという。

「美味しいだけではなく、美容やアンチエイジングにつながることが、牡蠣という食材の魅力ですからね。ファミリー層の多い世田谷を選んだのも、ティファニーブルーを基調とした内装も、すべて女性客を意識したものなので、概ね戦略通りに事業を展開できていると感じています」

現在は、オペレーションの改善や、商品の拡充を進めつつ、世田谷区内に二号店の出店を計画中だ。さらに10年以内に全国で100店舗以上の出店を目指すほか、牡蠣の成分を活かした美容製品の開発も視野に入れているという。「牡蠣という食材には、それくらいのポテンシャルがあると信じています」と、吉沢さんは自信を滲ませる。

そんな吉沢さんに、最後に殻付き牡蠣のおすすめの食べ方を伺ってみた。

「まずはガンガン焼きですね。もともとは漁師さんたちが、一斗缶でつくっていた郷土料理なのですが、深めの鍋があれば家庭でも簡単につくることができます。洗った牡蠣を蒸し焼きにするだけのシンプルな料理なのに、見栄えもする最高のごちそうです。
それとぜひ試していただきたいのが、ガンガン焼きで残った汁でつくるラーメン。お酒を飲んだあとのシメとして、これ以上のものはちょっと思いつきません。もちろん、これからの季節であれば、バーベキューで殻ごと牡蠣を焼くのもいいでしょう。ぜひもっと気軽に、牡蠣を味わっていただければと思います」

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