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鳥谷敬が阪神・村上頌樹と対戦するなら、どう攻略するか? 藤川球児さんとの共通点も

集英社オンライン / 2023年6月6日 11時1分

プロ野球歴代2位となる1939試合連続出場。最激務と言われる遊撃手として驚異的な数字を残した鳥谷敬。プロ2年目の2005年にはレギュラーに定着し、岡田彰布監督のもとリーグ優勝に貢献した。あれから18年間、優勝のないタイガースだが、その重い扉を開こうとする後輩たちの姿に何を思うのか? 連載第4回は、プロ3年目の今シーズン開花した村上頌樹投手を取り上げる。鳥谷“選手”なら、虎の村神様をどう攻略する!?

物議を醸した初登板での交代劇

阪神タイガースの交流戦前までの成績を見ると、31勝14敗で貯金17。岡田彰布監督が「全然できすぎ」と言うほどの好調ぶりです。

先発投手がしっかり試合をつくり、チーム防御率は6月1日時点で12球団トップの2.66。特筆すべきは、プロ3年目・村上頌樹投手の活躍でしょう。開幕投手を務めた青柳晃洋投手がファームで調整中という状況の中、交流戦の初戦のマウンドを任されたことから、短期間でチームから大きな信頼を得たことがわかります。


“虎の村神様” こと村上頌樹投手。プロ3年目で年俸は750万円(写真/共同通信社)

ご存じの方も多いと思いますが、村上投手は今シーズン初登板となった4月12日の巨人戦(東京ドーム)で、7回裏終了までパーフェクトピッチングを継続し、完全試合まで、あとアウト6つのところまで迫りました。

それだけに、8回の攻撃時に代打を送られ、降板となった交代劇には、賛否両論の声がありました。中でも「完全試合を達成する可能性があったのだから、交代させるべきではなかった」という意見が多かったように感じます。

個人的には、交代させたのは、それだけの理由があったのでしょうし、ベンチの外からどうこう言う問題ではないと思います。何より、村上投手の降板後にチームが勝ったという結果がすべてではないでしょうか(後続の投手が同点に追いつかれたものの、延長10回に勝ち越し、勝利)。

チームが勝つためにベンチが選択した村上投手の交代には、意味があり、“生きた戦略”だったと言えるでしょう。仮にあの試合が、村上投手の今シーズン初登板ではなく、今のようにベンチからの信頼を得た状況であれば、判断も変わったかもしれませんから。

コントロール、ギアの上げ下げ…技術は球界屈指

村上投手は、ルーキーイヤーの2021年にファームで10勝1敗、防御率2.23を記録し、最多勝、最優秀防御率、最高勝率の投手三冠を獲得。プロ2年目の2022年にもファームで最優秀防御率、最優秀勝率の二冠という好成績を残しています。

しかし、「今シーズンの活躍を予想していましたか?」と聞かれると、答えは否です。そもそも、ファームで活躍しているということは、耳にしていただけで、実際の投球やブルペンでの投球を見る機会もなかったので、活躍を予想できようもありません。

鳥谷敬氏

打者目線で言えば、実際に投球を見ていないと、いくら映像で見てもわからないものです。対戦経験がない場合、打者はどうしても受け身にならざるを得ないので、投手が絶対的に有利です。

そういう意味では、今シーズン、これまで対戦してきたほとんどの打者が、村上投手の投球を実際に見ていない状態だったわけですから、映像で見る投球と実際に見た投球にギャップがあることは間違いないのでしょう。

それに加えて村上投手はコントロールも抜群です。1試合に四球をひとつ許すかどうかというレベルでボールを操れるということは、投球をしながら、ギアの上げ下げも自由自在に調整していると言っていいでしょう。球界の中でも、屈指の技術を持った投手のひとりだと思います。

最大の武器である直球は、スライドするクセ球

では、いったいどうすれば、村上投手を攻略できるのでしょうか。自分が打席に立ち、村上投手と対戦するケースを想像してみました。

まず、スピン量が多いストレートが武器なので、そのストレートが自分にどう見えるかが問題です。重力の関係で、投手が投げた球は沈んでいるはずなのですが、スピン量が多いと、浮き上がるように見えるのです。

低いと思ったボールがストライクになるのか、それとも、自分の想定に近い感覚なのかを、確認しなければなりません。それを把握した上で、今度は打つ球種を絞る、もしくは打つコースを絞る必要があります。

村上投手の最大の武器であるストレートは、きれいな真っすぐではなく、スライドするクセ球です。実際に村上投手と対戦した左打者に話を聞いたところ、この「真っスラ」とよばれている、左打者のインコースにカット気味に食い込んでくるストレートが、非常に打ちづらいそうです。

「簡単に打てるような投手だとは思いませんが…」と語る鳥谷氏

となると、自分であれば、まずそのボールに手を出さないという方法を選びます。村上投手は、非常にコントロールがよく、どんどんストライクを投げ込んでくるタイプなので、粘って四球を選ぶわけにもいきません。

さらに、投球全体を調べてみると、真っスラを含むストレート、ツーシーム、カットボールなど、いわゆるストレート系の球種がほとんどです。したがって、自分が打者なら、インコースは捨てて、真ん中から外角寄りにきた真っすぐ系のボールを、いかに1球で仕留めることができるか――。こんな攻略法を考えてみたりしています。

もちろん、そういう考え方で打席に立ったからといって、簡単に打てるような投手だとは思いませんが……。

藤川球児さんとの共通点

藤川球児さんがブレイクした2005年、遊撃手のポジションから見ていると、相手打者はストレートがくるとわかっているのに、そのストレートを打ち返せないことで、どんどん苦しくなっているように感じました。

変化球を狙っていて変化球が打てないことよりも、ストレートを狙っていてストレートを打てないことのほうが打者にとっては嫌なものです。今シーズン、村上投手と対戦している相手チームの打者たちは、同じようなジレンマを感じているのではないでしょうか。

ただ、どの選手にも好不調の波というものがあります。だいたい30日から45日が周期ではないかと思うので、村上投手も、そろそろ苦しい時期にさしかかるかもしれません。一軍で先発ローテーションを守り続けることは、想像以上に疲労があるはずですし、その状態でどれだけ思うようにボールを操れるかは、村上投手にとっても未知数だと思います。

最大の武器であるストレートの質が落ちれば、その他のボールにも影響が出てくるでしょう。苦しい時期でも、なんとか試合をつくって、先発ローテーションを守りながら、また自分の状態が上がってくるのを待ってほしいものです。

と、普通であれば心配するところなのですが、ファームで年間を通して成績を残すということを、2年連続で成し遂げてきた村上投手なので、そのあたりも心配無用なのかもしれませんね。

構成/飯田隆之

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