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「結婚相談所に登録してしまいました(笑)」元ナンバーワンホストの頼朝が51歳で感じた孤独。「今の子たちってみんな刹那的」社会問題化している令和ホストと客に物申す

集英社オンライン / 2023年6月12日 19時31分

シャンパンコールを生み出した伝説のホスト、頼朝氏。前編ではシャンパンコール誕生秘話を語ってもらったが、後編では社会問題にもなっている令和のホストクラブシーンへの思いを吐露する。さらに、ホストの恋愛と結婚観を聞く。

今はホストも客も刹那的

――最近はホストクラブで売掛(ツケ)をして借金地獄に陥る女性が増えていることが社会問題となっています。頼朝さんのときはどうだったんですか?

頼朝(以下、同) 売掛はもちろん僕らの時代からありましたよ。ただ、今は回収までの猶予期間が長いと思いますが、当時は月末締めでその翌日に完全回収という“鬼の決まり”があった。だから回収できるかどうか毎月ヒヤヒヤ。

でも基本的には掛けの金額が上がると恥ずかしいものだったし、飛ばれることも多々あったんで、ひとりのお客様だけにいかに使わせすぎないかは気をつけてました。



――さらに、今のホストは若い女の子の“推し活”の対象となっていますよね。いつかは歌舞伎町に再びホストクラブをオープンしたいというお話でしたが、令和ホストに物申したいことはありますか?

インタビューを受ける頼朝さん

今の子たちって、ホストもお客さんも、どちらも刹那的だと感じることはありますね。
僕はホスト業界から離れている間、ソムリエとして、シャンパーニュの歴史や知識に触れ、味覚だけでなく、文化を含めて脳みそで味わえるようになった。

だから僕が店をやるとしたら、若い子たちにももっとシャンパーニュという世界の奥深さや本当の所作を楽しんでもらえるエレガントな空間を作りたいと思ってます。

――元ホストでシャンパンの資格を持つ頼朝さんだからこそできることもありそうですね。

実は去年、フランス半官半民の機関からホストクラブマーケットの調査が入り、実際にご案内して私がご説明をさせていただきました。日本発祥芸の“シャンコ”(シャンパンコール)もしっかりお見せしましたよ。

――フランス本国からの調査が入るとは驚きですね。

日本というシャンパーニュのマーケットにおいてリテラシーを高めるのは悪いことではないですからね。
今年、歌舞伎町に美容クリニック「NEW FACE AESTHETIC CLINIC」もオープンさせたし、入ってくるホストさんを間違いなく美しくさせる用意も整いました。

外見だけでなく内面も養わないといけない。それにはまず、ホストたちの知的好奇心をくすぐって、シャンパーニュに関する教養を身につけてほしい。
そして、それを女の子にも伝えられるセンスやトークを磨いてほしいと思ってます。

「お客さんと付き合ってました(笑)」

――学生時代からイベントサークルを立ち上げるなど遊びまくっていた頼朝さん。当時からさぞモテたのでは?

ホストになる前から貢いでくれる女性が年齢関係なく周囲にいましたね。服やアクセサリーなどをプレゼントしてくれたりとか、「じゃ、これ」って感じでお金を渡してきてくれたり。僕からたかったわけじゃないですよ。
自分のことを商品だと思って女性と接していたホスト時代と違って、当時は女性に自分を売り込んでいる自覚はなかったんですけどね。

――そしてホストの世界へ。今は本当の彼女のように扱う「本カノ営業(本営)」と呼ばれるスタイルもありますが、頼朝さんはそのような営業はしていなかったのでしょうか。

色恋して売るのはかったるいし、マイナス要素しかない……けど、今だから言いますけど、お客さんと付き合ってました(笑)。
だって、完全にホストライフに浸かってたからお客さん以外に費やす時間がないし、お店に来ない子と付き合うのは他のお客さんに対しても申し訳ない気持ちがありましたから。

ホスト現役時代の頼朝さん


ただ、その子が一番お金を使ってくれる客だったから付き合ってたわけじゃないですよ。
5年くらい付き合ってたのかな。今に至るまで、その子以上に長く付き合った人はいません。

――長く付き合っていたのに結婚しなかったんですね。

「好き」や「愛してる」は嘘でないので言いましたけど、「結婚しよう」だけは言いませんでしたね。

――なぜですか?

当時、結婚自体したいと思えなかった。結婚するなら離婚はしたくない。不倫もしたくないし、してほしくない。そうやって結婚できない理由ばかり考えていて、どんどん結婚のハードルが上がっていったんです。
実は僕自身、幼稚園のときに両親が離婚していて母子家庭で育っているから、結婚そのものを真面目に考えてしまうんですよね。もちろん、結婚して温かい家庭を作りたい気持ちはあるんですけど。

孤独で結婚相談所に登録

――これまで結婚したいと思った女性はいない?

実は12年前に、本気で好きになって同棲した女性がいました。性格も冷たいし、保険証も持っていないようなちょっと問題のある子だったんですが、好きだから我慢できた。
でも結局、結婚には至らず半年で終わりました。

人間って期待を持ってしまう生き物……これからもっと理想に近い女性が現れるかもしれないと思いながら、もう51歳になってしまいました。

――頼朝さんの理想の女性とは?


今まで生きていた経験から内面のポテンシャルが大事かも。
お付き合いするってお互いの理念、価値観が変わるくらいの摩擦、刺激や発見があってこそ。
その縁が初めてお互いを育ててくれるための、一期一会となる。リスペクトできる部分あれば、多少の不快もお互いカバーできるものですよね。

マストとして料理好きな方がいいです。それに合わせて僕がワインをサーブして……。

――女性のどんな部分をリスペクトするんでしょうか。

容姿は、素顔にその人の子供のときから変わらない純粋さが垣間見える人。少しアホっぽいキャラの方がほぐれるからいいですね。
私の価値概念上、「馬鹿」「阿呆」「間抜け」は肯定的な言葉として認識しています。

馬も鹿も歴史上、天の乗り物で、“〇〇馬鹿”とはそれに打ち込んだ人を描写した言葉ですし、阿呆は阿字観の阿、密教では重要な宇宙観でそれを保った心の状態の人のことを言います。
間抜けはその人の心から魔が抜けていることです。

そういう部分を持つ異性が好きですし、私自身もそうなりたい(笑)。
信仰心はあったほうがいいけど難しいので、むしろ無神論者の方がいいかな。
お互い生物的に嗅覚や触覚、聴覚でなんとなく一緒にいたい思いを継続できるので、見た目より、この3要素のほうが重要です。

現在は銀座でもさまざまな事業を展開する

――理想を追い求める日々に孤独を感じることは?

毎日孤独との戦いですよ(苦笑)。
一昨年、50歳を迎える寸前右目に網膜剥離を患って失明しそうになり手術をしたんです。
局部麻酔だから意識がはっきりとあるなかで、網膜を引っ張り上げて、剥がれた網膜を元に戻したりしたんですが、その作業がもう怖いし辛いし……。
優しい先生だったのが唯一の救いでした。

――コロナ禍の入院生活はお見舞いも制限されて、大変だったでしょうね。

入院中も誰か見舞いも来てくれるわけじゃないから、不安は増して、自分との戦い。
元気なときは自由で楽なのですが、この経験から孤独を痛感したので、入院中に初めて結婚相談所にノリで登録してしまいました(笑)。「人間、ひとりではやはりダメだ!」と。

――なんと! どうでしたか?

しばらくしてまた忙しくなったんでなんとか我に返って、実際に相談所に出向くことはありませんでした。
たぶん経歴に元ホストって書いてる人は結婚相談所に行っても選ばれないですよね(笑)。

――いつか理想の女性に出会えるといいですね。

そうですね。人間ってひとりで死ぬし、結局、最後は孤独との戦いなのだと思います。ですが結婚、恋愛は生きた証。この先もずっと求道していきたいなとは思います。

取材・文/河合桃子
集英社オンライン編集部ニュース班
撮影/池上夢貢

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