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解熱鎮痛剤、胃薬、抗生物質…身近にある薬が実は危険かも? 腎臓に悪い薬5選

集英社オンライン / 2023年6月17日 10時1分

鎮痛剤や胃薬……調子が悪いときに何気なく飲んでいる薬が実は腎臓に負担かけている場合があるという。実際にどんな薬が腎臓の機能を低下させるのだろうかか。そもそも腎臓の正常の数値とは? ウチカラクリニック、院長の森勇磨医師に解説いただいた。

薬の種類によっては腎臓にダメージを与えてしまう

薬はリスク。
これは医者の間で非常に有名な言葉です。
薬は使い方によっては重大な副作用を引き起こしてしまう場合があります。
そしてその際、特にダメージが受けやすいのが腎臓です。

薬局に売られていて、普段から身近にある薬でも用法や用量を守らないと、腎臓にダメージが残ってしまい、最悪の場合、透析を余儀なくされることもあります。

では、なぜ薬が腎臓に特に悪さをしやすいのでしょうか?


これは体の中の排泄経路に関係しています。
薬も食べ物や飲み物と同じように体の中で効能を発揮した後、代謝され体の外に出されます。その排泄される場所でもっとも多いのが腎臓です。要するにおしっことして体の外に出すのが腎臓の役目なのです。
中には肝臓に含まれる胆汁によって排泄されるものがありますが、基本的には腎臓が多くの薬を排泄しているのです。

なので、使い方を守らないと、排泄されずに腎臓に薬が残ってしまい、ダメージを受けるということに。

また、腎臓の機能が落ちている人が、普通の人と同じ量の薬を飲むと代謝されず、過剰に効果が発揮されてしまいます。
そのため病院では、薬の種類によりますが、腎臓の機能が落ちている人にはどれくらい薬の量を減らすとちょうど効くのか、計算のうえ処方されています。

だからこそ健康診断を受けておくことが大事なので、腎臓の数値はそこでチェックしておきましょう。

腎臓の数値はクレアチニン(Cr)で表示されています。男性で1.2mg/dl以下、女性で0.8mg/dl以下が正常値とされています。
上記以上の高い数値だったり、健康診断で腎臓の機能が低下していると言われたりしたら、初めて行くクリニックでは、腎臓の数値が悪いということを伝えておくようにするといいでしょう。

※写真はイメージです

解熱鎮痛剤や胃薬の飲みすぎは薬剤性腎障害に

このように薬によって、腎臓にダメージを与えてしまうことを、医学用語で「薬剤性腎障害」といいます。
薬剤性腎障害にはいくつかパターンがあります。

一つは薬の影響で腎臓の血管がしめられてしまい、腎臓に血液が巡らなくなり、腎臓の機能が落ちていってしまうパターン。

さらには、薬の作用で尿細管というおしっこの通り道が詰まってしまうパターン。こうなるとやはり腎臓の機能はだんだん落ちてきてしまいます。

他にも薬のアレルギー反応によって、腎臓の機能が低下する場合があります。
薬が体内に入ったことで、体の免疫機能がどんどん攻撃を与えてしまい、その際、腎臓にもダメージを与えてしまうからです。
このようなアレルギー反応による腎臓の炎症が起こった場合は、皮膚にじんましんが出ることがあります。

では、具体的にどんな薬が腎臓にダメージを与えてしまうのでしょうか?

実はけっこう身近に使っている5種類の薬が腎臓にダメージを与えています。

中でも、私たちに身近な存在なのが解熱剤と鎮痛剤です。
あえてわかりやすいように2つに分けて紹介しましたが、これらは熱冷まし、痛み止めの2つの効能を含んだものが多く、解熱鎮痛剤と呼ばれてドラッグストアでもよく見かけると思います。
その中でも非ステロイド性抗炎症薬、通称NSAIDs(エヌセーズ)と呼ばれる薬が腎臓の機能を低下させてしまうことがあります。

NSAIDsの中で身近にあり、処方されることが多いのがロキソニンです。
腰痛がつらくて、ロキソニンを飲みすぎたり、頭痛がおさまらず、毎日6錠以上、ロキソニンを飲み続けたり、などしてしまうと急性腎不全や腎臓のクレアチニンの数値が上がって緊急入院ということも。

解熱鎮痛剤は、痛みや体温の上昇の元の原因になる炎症で発生したプロスタグランジンが生まれる一歩手前に滑り込んで、この成分の生産にストップをかけます。

実はプロスタグランジンは血管を拡張する役目があります。そのためロキソニンなどの薬を飲み過ぎると血管が収縮し、腎臓に十分な血液が流れなくなることがあるため、腎臓の機能を低下させてしまうのです。

痛みなどでロキソニンを服用する場合は、用法や用量を守り、痛みがひかないときは、薬の服用以外の治療を医師に相談しましょう。

腎臓の機能を低下する薬の3つ目は胃薬です。
胃薬は前述したNSAIDsと一緒に処方されることが多いですよね。
というのもNSAIDsには腎臓だけでなく、胃もあらしてしまう副作用があります。
この副作用を打ち消すために、長い期間、NSAIDsを内服するときは、一緒に胃薬が処方されることが多いからです。
ただ、京都大学の21万人を対象としたデータでは、胃薬だけでも腎不全のリスクが上がり、NSAIDsと併用すると、さらにリスクを上げてしまうという結果が出ています。

腎臓にダメージを与える胃薬はプロトンポンプ阻害薬といい、通称PPIと呼ばれています。
ネキシウムやタケキャブというとわかりやすいでしょう。
だからといって、併用して飲んではいけないということではありません。
腎臓の数値に問題がなければ、用法や用量を守って飲み、数値が高い人は医師に相談するようにしましょう。

抗生物質の内服しすぎで腎不全のリスクが高くなる

4つ目は抗生物質です。
抗生物質はアレルギー性反応により、腎臓の機能にダメージを与えます。
腎臓の中のおしっこの通り道の隙間の部分の間質が、抗生物質のアレルギーによって炎症を起こしてしまい、さらにおしっこの通り道まで炎症が広がり、腎不全を起こすリスクがあります。

よく風邪だから抗生物質を出してほしいと言われますが、風邪の主な原因は抗生物質が効かないウイルスであることが多いので、飲んでも有効とはいえないのです。
かえって腸内細菌を殺してしまって、下痢の副作用を起こす可能性があります。
なので、ちょっと体調が悪いからと安易に抗生物質を飲むことは腎臓には悪い影響を与えるということを覚えておいてください。

5つ目は造影剤です。
造影剤はお腹や胸などのCT画像を撮るときに使われる薬です。
血管の中に造影剤を入れることで、体内の血管を巡り、臓器を染め上げて病気のある部分をくっきり浮かび上がらせます。
普通にCTを撮ってもわからない病気が、造影剤を入れることで見つかることがあり、例えば、肺の血栓や大動脈解離の発見に繋がるなどがあります。

ただし、頻度としては少ないのですが、この造影剤を使うことで、腎臓の機能を低下させてしまうことがあります。これを医学用語で造影剤腎症といいます。
造影剤腎症の発症頻度の割合は約1.5%です。

病院では、基本的には造影剤を使わないと異常がわからないためと判断しているので、高齢者や腎臓機能が低下した人には、普通の点滴の中に造影剤を薄めておいたり、造影剤の量を調整したり、などして医療現場では対応しています。
なので、腎臓が悪いからといって造影剤が使えないということではありません。

薬には効能はもちろんありますが、副作用もあります。

大切なのは、薬は用法や用量を守って飲むこと。
そして、普段の健康診断で、腎臓の数値を確認して、腎臓の状態を把握しておきましょう。

取材・文/百田なつき

『怖いけど面白い予防医学 人生100年、「死ぬまで健康」を目指すには?』(世界文化社)

著者 森 勇磨

2023年3月19日

1,870円(税込)

単行本:262ページ

ISBN:

‎4418234004

本書は今最も熱いテーマ、「80歳まで健康寿命を延ばす」ことを目指す方のための本です。
糖尿病やがん、心筋梗塞など、年を重ねるにつれ罹患する慢性疾患を回避するために
必要な知見「予防医学」を超人気YouTube「予防医学Ch」運営する現役医師が解説します。
病気になった後の世界や、人が病気になる仕組み。大病を避ける方法について
イラスト入りでサクッと理解できます。医学教養書ファンにも訴求する一冊です。
健康診断で気になる項目の詳しい解説、病名別インデックス付き。
第1章 病気になった後 五臓六腑を失った後の世界
第2章 病気になる仕組み 人間の体の中で起きていること
第3章 大病を避ける方法
付録 健康診断チェックシート

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