魔法が全ての世界で生まれながらにして魔法が使えない主人公・アスタ。そんな彼が魔道士の頂点「魔法帝」を目指す漫画『ブラッククローバー』が「週刊少年ジャンプ」での連載、アニメ化を経て、ついに映画化される。
原作では明かされなかった魔法帝の物語を映画オリジナルのストーリー、アスタの声優を務める梶原岳人、アスタの幼馴染で同じ魔法帝を目指すライバル・ユノの声優を務める島﨑信長に話を聞いた。
「こんな“おいしい”エピソードを田畠先生がよく出してくださったなと」映画『ブラッククローバー 魔法帝の剣』声優・梶原岳人&島﨑信長インタビュー
集英社オンライン / 2023年6月16日 11時1分
映画『ブラッククローバー 魔法帝の剣』が6月16日に劇場公開、Netflixでも同時に世界独占配信される。主要キャラの声を務める声優2人に話を聞いた。
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主人公・アスタ ©2023「映画ブラッククローバー」製作委員会 ©田畠裕基/集英社
互いが輝けるような芝居ができたら
――今回の映画は原作にはないオリジナルストーリーとなっています。シナリオを読んだときの率直な感想を教えてください。
梶原 映画館で観るからこその規模感のシナリオですよね。きっと大きなスクリーンでいい音響で楽しめる作品になっているなと。あとは演技でがんばろうと思いました(笑)。もともとアスタが憧れている魔法帝という存在と戦わなければならないことに葛藤があったと思いますし、だからこそ、気持ちと気持ちのぶつかり合いが大きく描かれているので、その点では闘志を燃やしやすかったかなと思いました。
島﨑 今回原作の田畠裕基先生監修ということで、案出しをしてくださったと思うんですけど、こんな歴代魔法帝が出てくるだなんて本編で使えそうなおいしいエピソードをよく映画のために出してくださったなと。
梶原 確かにそうですね(笑)。
島﨑 しかも歴代の魔法帝が4人も一斉に。当たり前ですけど、めちゃくちゃ強いんですよ。だって魔法帝ですもん。心も体も強いことは確約されていて、でも相手が強ければ強いほど挑むほうも輝くんですよね。お互いが際立つというか。
(梶原)がっくんも芝居でがんばるしかない、って言っていましたけど、キャスティングも強い方々です。挑戦者が思いっきりいかないと、強い人の強さも輝ききらないんですよね。なのでお互いがしっかり輝けるようなお芝居ができたら、とは思いました。
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島崎信長さん
――本作におけるアスタとユノに対してはどのような印象を持たれましたか。
梶原 掛け合いをするシーンもあって、一緒に戦うというより心と心でつながっているから俺たちでできることを頑張ろう、という形でやっていました。信長さんとはアフレコでは会わなかったんですよね。
島﨑 そうだね。(関)俊彦さんと録ってたんでしょ?
梶原 そうなんですよ。めっちゃ…大変でした(笑)
島﨑 ひとりで戦い続けるしかないもんね。こっちは団長たちがいたから。これなら魔法帝ともやり合える! と思えるメンバーだったね。やっぱりキャストの声も強いし、団長勢が組んでも、それでもやっぱり届かないかもしれない、と思うのが魔法帝の強さなんだな、ということを味わってもらえるチームになっていたと思う。
梶原 逆に単独勝負だったので、アフレコ中も俊彦さんと僕とでずっと2人。本編の時間も長いので、それだけ一緒にいる時間も長いんですけど、だんだん自分の体も疲弊してくるし、一度「もうダメかもしれない」と思うときがあったんです。ちょっと走りに行ってきます、ってブースを出て体を軽く動かしてきたりして。この上がり切ったからだを落ち着かせなきゃ、という体との問題もありましたね。
島﨑 ぎりぎりの戦いだね。アスタのように心も体も疲弊しながら。
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梶原岳人さん
目指す場所は常に認識していたい
――「諦めないのがオレたちの魔法だ」というキャッチコピーがありますが、おふたりが諦めそうになったとき、強い心を持つために心掛けていることはありますか。
島﨑 目標の明確化ですね。自分が何をしたいのか、何を欲しているのかさえ見えていれば、今やっていることは、実は関係なかったなということもあるんですよね。この目標なら別の道ややり方もあるなとか。
アスタとユノの場合も、魔法帝になりたいという思いはあるけど、偉くなりたいだけではなくて、みんなを笑顔にしたい、助けたい、幸せにしたいとか、いろんな思いがあります。魔法帝になることが目標だったとしても、それだけではなくて、魔法帝になりたいならどうすればいいのか、ということを明確化して自分の中で言語化していけば、できることも増えるかなとは思うんですよね。
梶原 僕もそう思います。折れそうになるときほど、自分が今何をしたかったのか考えるんです。それでもすぐ折れそうになるんですけど(笑)。
落ち込むこともたくさんあるんですが、そのたびに人の話を聞いたり、同期の友達とご飯を食べて、何か刺激をもらってやっぱり頑張らなきゃと思ったり。人から貰うエネルギーがたくさんあります。
改めて「俺が目指したい場所はここだよな」っていうのを再確認して、もう一度頑張る。なりたいものがあるから、そのために何ができるか、何をするべきなのかを少しずつ道筋を立てて進むようにはしています。
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――『ブラッククローバー』といえば「心震わす魔法バトルアクション」です。おふたりが最近、心を震わせたのはどのようなできごとですか?
梶原 映画を見るのが好きなので、寝る前に毎日1本ずつくらい見るようにしています。
最近はラブロマンス系にハマっているんですけど、すごく泣けて、心は動かされていますね。芝居の勉強にもなります。
島﨑 現場で先輩の芝居を見て心が震えることが圧倒的に多いですね。完成品を見たときもなんですけど、コロナ禍で一緒に録れなかったりする中で、何とか一緒に録れるように段取りを組んでいただいた収録のとき、生で聞ける演技や、ひとつひとつの所作に毎回、心動かされますね。すごいなと思わされます。
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伝えるのは苦手だけど、嘘はつきたくない
――おふたりも人の心を動かす側かと思うんですけど、思いを伝えるために、心掛けていることはありますか?
島﨑 声のお芝居の話で言うと、以前から思っているのが、役としてその作品でちゃんと生きること。よくある記号的なものや、どこか体系化された作法みたいなものに添いすぎると、やっぱり生きている感じがしないんですよね。
上手だけど、作り物みたいになってしまいがちなので、その世界が実在していて、その世界に彼らは何十年も生きていて、という中での積み重ねの中に生きているからこその言葉や瞬間に説得力がある気がします。
プライベートでは、お芝居にも少し関わってくるんですけど、やっぱり素直に伝えることは大事だなとは思いますね。社会を生きる中で全てを素直にしていたらまずいこともあるんですけど(笑)。
梶原 お仕事で言うと、気持ちを出すときに相手がいるからこその気持ちでいたいな、と思っていますね。相手のことをよく考えて理解をして、相手が何をしてほしいかとか、自分がどういうふうな気持ちでいれば、心が動いてくれるのかとか、自分が関わる相手のキャラクターや役について考えて、その人のことを考えてやろうとしています。
普段はあんまり気持ちを伝えるのが得意じゃなくて。取り繕うのが苦手なので、僕は思ったことをそのまま言っていますね。
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黒の暴牛団団長 ヤミ・スケヒロ ©2023「映画ブラッククローバー」製作委員会 ©田畠裕基/集英社
島﨑 漏れ出てるよね、がっくんは。思ってることが漏れ出る。意外と頑固だから伝わってはいるよね(笑)。
梶原 そうですね(笑)。不満なときも出てるんだろうなって。
島﨑 出てる出てる(笑)。「はい」って言ったときに「わかってないときの『はい』だな」ってわかる。納得できてないとか往々にしてあるよね。
梶原 出やすいタイプではあると思います。でもそこもあまり無理して変えたいと思ってないので。
島﨑 悪いことじゃないよね。
梶原 そのまま僕は生きようかなと。嘘をつきたくないなと思います。
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取材・文/ふくだりょうこ 撮影/梁瀬玉実
映画カット/©2023「映画ブラッククローバー」製作委員会 ©田畠裕基/集英社
『ブラッククローバー 魔法帝の剣』 上映時間:1時間52分 日本
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原作・総監修・キャラクター原案:田畠裕基(集英社「週刊少年ジャンプ」連載)
配給:松竹ODS事業室
©2023「映画ブラッククローバー」製作委員会 ©田畠裕基/集英社
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