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早くも職場の人間関係に疲弊。これって五月病? それとも「繊細さん」?

集英社オンライン / 2022年5月15日 13時1分

人間関係の疲れは心を蝕む。四月に大きく環境が変わった方は「五月病」に要注意だ。特に、他人の気持ちを敏感に察知する「繊細さん」は、より疲れを溜めやすい。ゆうメンタルクリニックの森しほ医師に「人間関係の疲れとの付き合い方」を伺った。

環境と気候の変化で心のバランスを崩す五月病

——そもそも「五月病」は心の病気といえるのでしょうか。

環境がガラッと変わる4月は、新入社員・社会人経験が長い方を問わず、そわそわと落ち着きにくいものです。その疲れがゴールデンウィーク中にどっと押し寄せるのが、いわゆる「五月病」ですね。

五月病という病名があるわけではありませんが、5月頃に調子を崩す方は多く、一種の「適応障害」に近い状態であると考えられます。適応障害とは、環境から受けるストレスにうまく適応できず、精神的に落ち込むなどの問題が生じる病気のこと。5月は私たちのクリニックにも多くの患者様がいらっしゃいます。



——五月病の原因を教えてください。

大きな原因は、新しい部署への配属や新入社員の入社などの「環境の変化」です。また気候の変化も不調の原因になり得ます。

「夏季うつ」という病気がありますが、これは5月から9月頃の暑さによる、自律神経の乱れが原因といわれています。エアコンの効いた室内と屋外の気温差に体が適応していない場合、かかることが多いですね。5月頃は環境の変化だけでなく、気候的にも不調をきたしやすい時期なのです。

——適応障害と五月病の症状は似ているのですか?

適応障害も五月病も、以下の症状が出やすいですね。

・やる気が起きない
・理由もなくイライラする
・仕事や学校に行きたくないと感じる
・集中力や食欲の低下
・不眠

五月病は適応障害とは異なり、短期的な不調であることがほとんどです。よって、気分転換や環境に慣れることで症状を緩和できます。

繊細さんは疲れやすい? 性格と五月病の関係

——最近よく聞くようになった「HSP」や「繊細さん」というタイプ。こういった人たちは、五月病になりやすいのですか?

HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)は、視覚や聴覚などの感覚が敏感で、刺激を受けやすい特性を生まれつき持っている人のこと。

たとえば、あなたは他人の気持ちに敏感で、他人を手伝いすぎたり、共感しすぎたりすることはありませんか? もし当てはまる場合は、HSPに近いかもしれません。

HSPの方は、他人に寄り添いすぎて疲れてしまう傾向があります。仕事上でチームメンバーが困っているシーンに出くわすと、先回りして手伝ってしまうことも。仕事に不慣れな人が多い4月は、彼らにとっては大変な時期。自分の仕事に加えて他人の仕事まで背負ってしまい、疲弊しやすくなるのです。

——他に、五月病になりやすい方の特徴はありますか?

真面目な人や責任感がある人、環境の変化で疲れが溜まりやすい繊細な人は要注意です。人よりもがんばりすぎて疲れを溜めてしまったり、高い理想と現実とに強いギャップを感じたりします。このようなタイプの方は、自分ができないことばかりに目を向けて、自分を責めて疲れ果ててしまうことも。

「自分もこのタイプかもしれない」と感じたら、小まめに休憩を取り、リラックスする時間を作ってください。

自分と向き合い、ストレスと上手に付き合う

——五月病にならないため、また悪化させないためにはどうすればよいでしょうか。

「ストレスとうまくつき合っていくこと」が必要です。日頃から、自分にストレスが溜まっているかどうかを意識しておきましょう。

変化に敏感で共感性の強い方は、見ためは社交的であっても、実は「隠れ内向的なタイプ」であることが多いのです。つらいことがあると自分を責めてしまったり、ストレスの発散が苦手だったりする傾向があります。

——どのようにストレスの溜まり具合を確かめればよいですか?

ほんの少しの時間でよいので、ゆっくり音楽を聴いたり湯船に浸かったりしてみましょう。そしてお気に入りの香りのマッサージクリームを塗るなどして、ホッとする時間を確保。張り詰めた神経をオフにする時間を作ってみるとよいですよ。

そうやって自分を見つめていると「今日はストレスを感じていたんだな」と意識できるはずです。

——ストレスが溜まっていると感じたらどうすればよいでしょうか。

まずは心身を休めることです。睡眠をしっかり取って、リフレッシュする時間を意識的に確保します。緊張するようなメールやLINEの返信はいったん休み、散歩をしたり気の置けない友達とだけ連絡をとってみたりしてください。

他にも以下のようなことが有効です。自分の気持ちや感覚を大切にする時間を取ってみましょう。

・趣味に打ち込む
・カラオケで大声を出して発散する
・栄養たっぷりのおいしいものを食べる
・いつもより丁寧にスキンケアをする

ただし新しい刺激に触れたり、頭や体力を使うことを急にすると、逆に疲れてしまうかもしれません。過去に何度か試したことがあるストレス解消法をリストアップしておくとよいでしょう。

塗り絵やパズルなどは、うつ病患者のリハビリの一環としても非常に効果的です。スマホゲームのような刺激を一方的に受け続けるものは避け、自分の感覚を大切にしながら夢中になれるものに取り組んでみてください。

——「繊細さん」が感じるストレスを軽減するためにできることはありますか?

「繊細さん」は断るのが苦手だから、他人の問題を自分で背負ってしまいがちです。タスクを引き受けすぎたり、気乗りしない誘いを断れなかったりします。

「嫌われないかな?」と心配して断れないことが多いのですが、無理をしてまで抱え込む必要はありません。

解釈は一通りではないことや、世の中には無神経なタイプも存在すること、苦手な人や仕事には無理に好意的にしなくてもよいことを意識してみましょう。これだけで「繊細さん」がだいぶ生きやすくなるのではないでしょうか。

取材・文/平林 亮子

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