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〈実話・ブラック社畜の生活〉有給1週間取得も毎日14時間労動だから“エア有給”。“有能アピ”と“変わり者アピ”したいモンスターが若手をダメにする広告業界の闇

集英社オンライン / 2023年6月29日 18時1分

広告業界でデザイナーとして勤務しながら、過酷な労働環境をYouTubeで配信する「社畜系YouTuber」の玄田小鉄氏。自身が現在も体験している過酷なブラック労働の実態を『ブラック企業で生き抜く社畜を見守る本』(ワニブックス)より一部抜粋・再構成してお届けする。

「あくまで僕が勝手に働いていただけ」(棒読み)

みんな無限に働いているので、「この人はいつ休んでいるんだろう?」という疑問をお互い持っています。

特に上司は休むことなく誰よりも働いています。土日も仕事に捧げていて、社長から相当なプレッシャーをかけられていることでしょう。その分給料もかなりの額をもらっていると思いますが、労働時間と業務の大変さに見合った額をもらっているのかは不明です。



命を削る勢いで働いているので、心配でもあります。そういう上の人たちが率先的に有休を取得し、定時上がりも積極的にするようにしてほしいなと思います。上司が有休を取って「来週は1週間休みます」とか一度も聞いたことがないので、その人の下にいる身からするとかなり休みをとりづらいです。

でもこんな休みづらい状況でも上司から「有給休暇を消化しろ!」と強制的に指令がくる時があります。これは大人の事情で、有休を取得して働くことで、少ない人件費で稼いでいるように見せることができるようです。そうして上司は社長に有能であるとアピールしています。

しかし、こんな激務で有休なんて取れるわけありません。形式上有休を取得して、裏で作業する「エア有給」が多発しています。

この前も有給を1週間取得しましたが、毎日14時間労働でした。余裕で労働基準法を破った働き方をしていますが、これはあくまで僕が勝手に働いていただけで、会社に強要されたわけではないので心配しないでください(棒読み)。

モラルの欠落した大人たちが集まる理由

デザイン事務所のような小規模の組織では、モラルの欠落した人が大量に存在します。

そういった人たちとも仕事で関わらなければいけないので、精神がじわじわと蝕まれていきます。

モラルが欠落した人が多いのにはいくつか理由があります。ひとつは規模の小さい組織には対人関係が希薄な人が集まりやすく、そういう人は相手を思いやる気持ちが著しく低いです。

そして、デザイン事務所やベンチャー企業の面接をいくつか受けてきて感じたのが、選考回数の少なさです。一次面接を受けて、通過すると即社長面接となり、そこで内定が出て条件のすり合わせをします。

そこには、大手企業のようなSPI試験や適性検査、複数回の面接も存在しません。

そんなザルのような入社試験を通過して来た人たちは、協調性がなく、他者への思いやりも欠如している人が多い傾向にあります。

ただ、僕もデザイン事務所にいる側の人間なので、自分も人間性に難ありということを自覚しながら、少しでも相手が不快にならないように相手の気持ちを考え、気遣いをしなければと考えてはいます。同じ組織にいるということは自分自身もその人たちと同じレベルなので、自分を映す鏡のように見つめ直すようにしています。

そして、モラルが欠落するのにはもうひとつ理由があります。

行き過ぎた「変わり者アピ」

それは、デザイナーを志す人は自分のことを特別な存在と思っていることが多いこと。

そもそも美術やデザインを学んでいると、「変わっている」を褒め言葉と捉える人が多いです。そして、デザイナー系の人たちはあえて、「自分は変わり者アピール」をしたがります。

このような「変わり者アピ」が行き過ぎた末に相手への思いやりと、自分が対外的にどう見られているのかが理解できない大人へとなっていきます。そういう人は平気で相手に対して罵詈雑言を吐いたりもします。

デザイン事務所や広告制作の少し上の世代の人たちは特にこの風潮を引きずっていて、悪びれることなく「クソ野郎!」「殺すぞ!」「F●CK!」などの汚い言葉を相手にぶつけます。常識人が使わない言葉を使う=独創的な異端者とでも思っているようです。

奇抜な言葉遣いは別にいいのですが、誰かが傷つくようなものの言い方はしてはいけないなと思います。たとえ冗談であっても、冗談かどうかは受け取る側からするとわかりようがありません。

パワハラモンスターが若い芽を摘む

このようなパワハラ発言をする人を、会社の上の人たちが処罰することはほとんどありません。会社は利益を上げている人こそが正義なので、パワハラが横行している状況を見て見ぬふりをします。

そんな文化を知らない新人たちは、パワハラモンスターに心をバラバラに壊されてしまいます。よほどのパワハラ耐性のある人でなければ、広告業界を生き抜いていくことはできません。

モラルの欠落した人を野放しにしてしまっている組織に問題があるのと、稼いでいるからパワハラしてもいいという考えの人がいる限り、広告業界のブラックな体質は無くならないと思います。

僕自身も悩むことも多かったですが、広告業界で働いていく以上多かれ少なかれそういう人はいるので、人間関係は諦めて仕事と向き合うことにしました。

そして仕事をする中で自衛する方法も身につけました。それはパワハラモンスターと関わるときは動物を見るような感覚で接して、彼らの言動を真に受けないことです。

この本を読んでいる方の中にも、パワハラモンスターと戦っている人がいるかと思いますが、病まないように気をつけてほしいです。せっかく好きなことを仕事にしているのにわけのわからないおじさんおばさんたちに、若い芽が摘まれていくのを見るのは耐えられないです。

そして、いろんな大人と関わってきて思うのは、人は歳を取るだけでは大人にはならないということです。最低限の相手への思いやりもできない大人はゴロゴロいます。彼らは小学生レベルの道徳心しか持っていません。

きっと小学生時代は道徳の成績が「1」だったことでしょう。

『ブラック企業で生き抜く社畜を見守る本 』(ワニブックス)

玄田小鉄

2023年5月31日

1430円(税込)

‎単行本(ソフトカバー):192ページ

ISBN:

978-4847073175

手取り16万で週7勤務、当然のように残業代なし、婚活も勝算なし……

動画をアップする度に「早く逃げて!」「ご自愛ください……」
「笑ったらダメと思いつつ笑っちゃう」の声多数!!

「ブラック企業で生き抜く社畜を見守るチャンネル」にて5万人以上に見守られている“社畜系YouTuber”が、動画では黒すぎて言えなかったことをすべて吐き出す漆黒のブラックエンターテイメント(※実話です)。

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