実は30年以上前から、『静かなるドン』は電子版でも好調な売上をキープしていたという。
実業之日本社が『静かなるドン』の電子版配信をはじめたのは、作品が連載中の1999年のことだった。当時は大手出版社も電子書籍への展開にまだ慎重な姿勢だったが、むしろフットワークの軽い中小出版社がガラケーでのコマ配信に積極的に取り組んでいた。
その頃から電子書籍書店や電子書籍取次と関係を築いていたのも今につながっていると森川氏は言う。
「20年以上前から電子配信を続けているので、累計の数字は膨大なものになります。総合UUPVの数字では、日本の総人口に迫るのではないでしょうか。ただ、配信当初から好調とはいえ今ほどの金額が動いているわけではありませんでした」
『静かなるドン』が電子書籍の市場で爆発的に売上を伸ばしたのは、完結から7年ほど経った2020年のことだった。