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「彼女おるんか?」って聞いたら「いません」と即答…ロードバイクが大好きで… バイト先店長が語るAの変わった一面、里親は記者の問いかけに…〈岐阜・ 銃乱射の自衛官候補生A(18)〉

集英社オンライン / 2023年6月20日 17時34分

自衛官候補生のA容疑者(18)が岐阜市の日野基本射撃場で隊員にむけ小銃を乱射し3人が死傷した事件で、当初調べに応じていたA容疑者は現在は口を閉ざしているという。動機も含め謎が多いこの事件。様々な証言からA容疑者の人物像に迫ったー。

名前も認識していない相手を撃った

「動くな!」
A容疑者はそう叫び、八代航佑3等陸曹(25)に対し、最初の銃撃を行った。実弾射撃訓練が始まった直後、A容疑者が本来は、射撃位置に着いてから行う弾倉の装填を、待機場所でしていたことに気付いた八代航佑3等陸曹(25)が制止しようとしたため発砲したのだ。

八代航佑3等陸曹(25)を銃撃後、A容疑者は右後方の弾薬置き場を振り返るとまっすぐ向かっていった。実弾の受け渡しを行う「弾薬係」の菊松安親1等陸曹(52)にむけて2発目を発砲し、続けて原悠介3曹(25)に3発目を発砲した。さらに4発目を発砲し、その弾は菊松安親1等陸曹(52)の胸を直撃した。逮捕当初A容疑者は「恨みはなかった」と供述していたという。



社会部記者が語る。

事件当日の日野基本射撃場(写真/共同通信社)

「A容疑者は特定の隊員に恨みや不満などがあったという趣旨の供述はしておらず、菊松さんと原さんについては『弾薬置き場にいた人』と名前も認識していないようです。犯行状況から実弾を奪おうとしたのではないかと見られています。またA容疑者は逮捕当初『止められそうになったから撃った。足を撃つつもりだった』と殺意について否認するなど調べにも応じていましたが、弁護士と接見したのち、まともに調べに応じなくなっているようです」


6月19日には陸上自衛隊の警務隊員およそ10人が岐阜県内のA容疑者の実家に家宅捜索に入り、事件に繋がる可能性のある物を押収した。動機を含めいまだ多くが謎に包まれているこの事件だが、知人や同級生をはじめA容疑者は「カッとなりやすい」という証言が複数出ている。

「トラックの運転手である父と、アルバイトをしていた母の元で育ったA容疑者ですが家があまりにも散らかっていたことから近所から不満の声があがっていた。6人きょうだいの真ん中がA容疑者で、他のきょうだいと一緒に幼少期には何度か児童養護施設に入っていた時期があったようです。また、小学校の途中から一度は実家に戻ったもの、高校時代の大半も里親の元に預けられていました。家庭環境の影響からか小中学生の頃は大人に対し反抗的な態度を繰り返していたが、自衛隊に入隊する直前は再び実家で暮らしていた」(社会部記者)

A容疑者の実家


A容疑者が高校時代を過ごした里親の元を訪ねると、年配の男性がドアを開け記者を招き入れてくれた。しかし、男性にA容疑者の名を告げると顔色がさっと変わり、「せっかく来てもらって悪いが守秘義務があるので答えられない」と繰り返した。

「高校卒業したら自衛隊に行きたいです」

A容疑者が多感な時期に過ごした里親の家は、A容疑者の実家と同じ町にあり距離もさほど離れていない。当時のA容疑者は何を思って過ごしていたのか。高校時代バイトしていたという飲食店の店長が語る。

「自分自身の境遇について特別恨んでいるようなふしはなかったように思いますよ。実の親の話はあまりしていた印象はありませんが、里親については『いい人』と言っていました。ウチでバイトしていたのは半年くらいですが、週に2~3回ほどのシフトで遅刻もないし、無断欠勤も一度もありませんでした。

皿洗いや料理の盛り付けや掃除などをしていました。間違ったやり方をしていれば当然注意もしましたよ。僕が『それ違うよ』って言うと『店長すいません』っていつも素直でした」

A容疑者(知人提供)

バイト先ではおとなしく真面目だったというA容疑者。そんなA容疑者を気にかけ店長もよく声をかけたという。

「ウチには養護児童施設から紹介を受けて働きにくる子はけっこう多かったんです。その中でもAは著しくではないですが変わっている印象はありました、口では説明しずらいんですが……。『彼女おるんか?』って冗談で聞いても『いません』って即答したり……。ロードバイクが趣味で、出勤もごつい自転車で来てましたが、それとは別に本格的なロードバイクも持っていて、ひとりで『揖斐高原』のほうに行ったりよくしていました。

目標を決めてそこまで自転車で行って帰ってくるそうです。友達と遊ぶよりひとりでサイクリングに行くのを優先していて、そのあたりも変わっているように感じました。バイト代は4万円~5万円でしたが、自転車にけっこうお金をかけていたんだと思います」

学生時代の同級生に対しA容疑者は「自衛隊に入隊したい」という夢を語っていたがバイト先でも同様に語っていたようだ。

「バイトの業務はしっかりできるんですが、どこか頼りない部分がありました。なので『高校卒業したら自衛隊に行きたいです』『自衛隊に行くために勉強頑張ります』とよく言っていたけど、Aが自衛隊なんて厳しい規律の世界でやっていけるのかなって心配していたんです。でもまさか、こんな事件を起こすなんて…」

防衛省(集英社オンライン)



周囲に自衛隊に入隊する夢を語り続けたA容疑者を凶行に駆り立てたのは一体何だったのか。事件の全容解明が待たれる。

※「集英社オンライン」では、今回の事件について取材をしており、情報を募集しています。下記のメールアドレスかTwitterまで情報をお寄せ下さい。

メールアドレス:
shueisha.online.news@gmail.com

Twitter
@shuon_news

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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