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メガネ型のスマホを待ちわびる人に知ってほしい「スマートグラス」という夢のデバイスが持つ計り知れない威力

集英社オンライン / 2023年6月26日 11時1分

着るだけで空を飛べる「ジェットスーツ」。危険から身を守ってくれる「バリア」。人に代わって働いてくれる「家事/育児ロボット」――。私たちの日常にはまだ浸透していないが、SF小説や映画などで描かれてきたテクノロジーの多くが現実のものになりつつあることをご存じだろうか。元JAXAの工学博士で、宇宙ビジネスコンサルタントでもある齊田興哉さんが最新テクノロジーとビジネスの動向をまとめた『空想が実現する時代のビジネス地図』より、一部抜粋、再構成してお届けする。

ついに「スマホの次」が現れた

「電波も届かない秘境にある旅館が人気」というニュースを耳にした。スマートフォンが強制的に使えなくなるため、メールや電話などの仕事の連絡や情報が飛び込む時間をゼロにできることが人気の理由だという。日本人だけでなく、海外からの旅行者にも大人気だというのだ。



スマートフォンは現代人の生活と切っても切り離せない存在だ。電話以上の性能を持つ超小型PCでもあるからだ。スマートフォンは将来、「スマートグラス」に取って代わられる時代が来るだろう。スマートグラスとは、メガネ型のウェアラブルデバイスのこと。「スカウター」という言い方もある。映画『マイノリティ・リポート』や漫画『ドラゴンボール』などのSF作品でも登場するテクノロジーだ。

スマートグラスの外観、機能は現時点で次のようなものになると考えられる。簡単にいえば、メガネ型のスマートフォン(小型PC)だ。メガネとしてのフレーム、レンズ、カメラ、電子機器(小型PC機能)、BCI(ブレインコンピュータインターフェース)が主に取り付けられるだろう。もちろん、ネット環境にもアクセス可能だ。

レンズは、ディスプレイになる。そのディスプレイ上には、カメラで撮影した風景、レストラン、観光名所、電車、バスなどの画像にさまざまな情報が表示される。例えば、レストランのおすすめメニューや観光名所の詳細な説明、電車、バスの時刻表などだ。ほかにも目的地へ行くためのナビゲーション機能もあるだろう。ARを使って、さまざまな情報を付加してくれるし、多言語翻訳だって可能だろう。人の行動からAIが犯罪予測だってしてくれるかもしれない。

検索もできる。現在のスマートフォンでの検索は、検索エンジンに文字をタイピング、もしくは音声で入力している。スマートグラスでは検索したいことを思い浮かべるだけでいい。BCIが脳波をキャッチし、検索してくれるのだ。検索結果はレンズ上に表示される。レンズ上に表示された情報は、眼球の視点や脳波などでポインターを動かし、選択できる。

ここまで「レンズがディスプレイになり、情報が表示される」と伝えたが、情報はレンズではなく、眼の網膜に直接投影されるかもしれない。また、フレームに搭載された骨伝導スピーカーによって、音声や音楽を聴いたりすることもできる。

すぐそこまで迫っているスマートグラス実現

スマートグラスの実現・普及はそう遠い未来ではない。

例えば、凸版印刷はAR技術を活用して観光資源の復元をするサービスを展開している。位置情報と連動させて、すでに失われてしまっている天守閣などの史跡をスマートフォン越しにAR技術で映し出すことで昔の状況をイメージさせてくれるサービスだ。

世界各地では防犯カメラに映った人の動きによってAIが犯罪予測してくれる技術を導入しているし、メルセデス・ベンツは、BCIを使って自動車の運転を可能にする技術を開発している。

また、日本のQDレーザという企業は、「網膜投影ディスプレイ」をすでに開発・販売している。これらの要素技術は、2023年時点では実現されている。これらの技術を小型超高性能システムに搭載できれば、それほど遠くはない未来にスマートグラスの実現は可能となるだろう。

スマートグラスは熟練の技術の継承も容易にする

スマートグラスは人間の能力に大きな影響を与えるだろう。

スマートグラスを装着すると、さまざまな情報を目から脳に伝達しながら、同時並行での作業ができるようになる。対象物を見たまま作業が可能になるので、視点を大きく動かさずに済む。この利点は卓越した技、熟練の技法などの習得にも役立つだろう。

これまでの技法の継承作業といえば、師匠が弟子に技を見せ、弟子が実際に手を動かしてみて師匠からフィードバックを受けていた。この作業を何年も繰り返して一人前になっていく。しかし、スマートグラスを使えばAIによって機械学習した技を目の前に映しながら、効率よく習得できるようになったりする。人手不足、後継者不足の解消にも一役買うだろう。

そこまで高度な話でなくとも、緻密で他人にしかできなかったことも真似することが容易になるのではないか。例えば料理、絵画、取扱説明書を見ながらの家具の組み立てなども、早く理解でき、効率よくできるようになるのではないだろうか。

この市場は非常に巨大なものになると考えられる。

イギリスのInforma社によると2022年の世界のスマートフォンの市場規模は、おおよそ4000億ドル、日本円にして約56兆円(1ドル140円換算)だ。スマートグラスとスマートフォンの価格帯に大きな差異はないと仮定すれば、スマートフォンはスマートグラスに取って代わられ、ガラケーからスマートフォンに変わっていったような流れで普及が進むのではないだろうか。そして、これに派生する市場も高度になり、巨大なものになるに違いない。

文/齊田興哉 写真/shutterstock



『空想が実現する時代のビジネス地図』

齊田興哉

2023年6月23日

1,760円

239ページ

ISBN:

978-4763140609

“今なら”激変する未来に先回りできる!
SFはフィクション(虚構)からファクト(現実)になった。

テクノロジーは日々進化している。
VRやドローンのように、ここ数年で急激に普及したものもあれば、自動運転車やスマートグラスのように実現までの過程が度々話題になるものもある。

メディアでは話題になることは少ないが、SF(サイエンスフィクション)で描かれてきた「夢のようなテクノロジー」がすでに実現されていることをご存じだろうか。

・人に代わって働いてくれる「家事/育児ロボット」
・着るだけで空を飛べる「ジェットスーツ」
・危険から身を守ってくれる「バリア」
・人よりも優れた判断ができると期待される「AI政治家」
・365日24時間健康状態を管理してくれるデバイス
などのテクノロジーがすでに実現している。

さらには、宇宙まで直通で行くエレベーターや海中都市、表情から相手が考えていることを読み取る技術など、人類の暮らしを激変させるテクノロジーが実現しつつあるのだ。

本書では、元JAXAの宇宙ビジネスコンサルタントである著者が、進化するテクノロジーと変わるビジネスの未来を徹底予測。
新しいビジネスを創出するヒントと、最先端技術の動向を見通す1冊。

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