TBSに在籍した27年間では、ナレーションなどのアナウンス業だけでなく管理職や新人採用にも携わってきた堀井さん。アナウンサー時代は情報を一方的に伝えるだけでなくMCやゲストの話を聴く仕事を多くこなし、管理職時代はその培ってきた「聴く力」がよりどころとなったという。そんな堀井さんのルーツは秋田県で「大家族に囲まれた幼少期」を過ごした。思い返せばその頃から“聴き役”だったとか。
「田舎の昔懐かしい大家族というか、親戚同士の集まりは広いお座敷の上座の方におじさんとかが座って、お母さんや女性たちはお給仕して後ろの方で集まって食べるという感じの環境で育ちました。今考えるとおかしな話ではありますが、母の教えや周りの空気もあって“女子が中央に立って喋ってはいけない”という雰囲気があって、どちらかというと幼い頃から聴き役というかキャッチャー側でした。
だから人前で喋ることは得意ではなかったですね。だけど母は声に出して本を読むことの大事さを教えてくれました。毎朝、母からの言いつけで国語の教科書の音読はしていたので、その経験から間の取り方や息継ぎは自然と学んでいたように思います」