「昔はよかった」というのは、いつの時代にも存在する、旬を過ぎたおっさんおばさんの使う常套句で、若い世代から“老害”と揶揄されるような、回顧的感傷にすぎないことはわかっている。
「昔はなんでもありだった」というのも、その類の言い草だ。
“自分は今より刺激的な時代に青春を過ごしたんだぜ”という、それこそ若者にとっては毒にも薬にもならない、つまらない自慢にすぎないのだろう。
それでも敢えて言いたい!
僕が中高生だった1980年代の音楽界のアンダーグラウンドシーンは、なんとまあメチャクチャで面白かったことかと。
僕がこれから書くその頃の出来事を読んでも、今の若い人は「は? これのどこが面白いの? キモっ」と思うだけかもしれない。
また僕と同世代でも、大多数の人は読むだけで気分を悪くするような話ばかりかもしれない。
でも僕は、当時のメディアでこうしたことを見聞きするたび、確かに心ときめかせていたし、ヤバければヤバいほどワクワクしたあの感覚を、今も懐かしく思い出したりするのだ。
そういうわけで、80年代のアンダーグラウンド音楽シーンの奔放っぷりを、少しだけ振り返ってみよう。