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《夏場の車内放置は絶対NG!》モバイルバッテリーやスマートフォンの発火トラブル急増中。「絶対やってはいけない行為」とは?

集英社オンライン / 2023年6月28日 17時1分

モバイルバッテリーをはじめ、今では多くのデジタル機器が「リチウムイオン電池」を採用している。リチウムイオン電池はバッテリーとして非常に優秀な一方で、発火などの事故を防ぐためにユーザーが知っておかなくてはならない注意事項もある。ますます気温が上がる夏場に向けて、「やってはいけない行為」をしっかり把握しておこう。

うっかり落として変形→そのまま使用はキケン!

リチウムイオン電池からの発火を避け、モバイルバッテリーやスマートフォンなどを安全に取り扱ううえで注意したいことは複数ありますが、まず覚えておきたいこととして2つのポイントを解説します。

1つ目のポイントは、「強い衝撃を与えない」ことです。

たとえば、「うっかり手から滑らせたモバイルバッテリーが、コンクリートの地面に落ちて変形してしまった」という場合。まだ機能するからといって、そのまま使い続けるのは非常に危険です。



仮に落下したときに、見た目上の変化はなくても、少し時間が経ってから異常を招く可能性があります。最悪の場合、発火などの事故に至る可能性もあるので、製品の処分などを検討しましょう。

落下して変形したモバイルバッテリーは、問題なく使えたとしても処分を検討しよう

では、なぜこうした現象が起こるのでしょうか。ここで理解しておきたいキーワードは、「ショート(短絡)」です。

そもそも、リチウムイオン電池を内蔵する機器に搭載されているような電気・電子回路では、ドバドバと電気が大量に流れ続けているわけではありません。

こうした電気・電子回路には「抵抗」があるので、電流の量はちょうどよく制限されています。水道でたとえると、水道管のパイプから常にドバドバと水が流れ続けているわけではなく、蛇口を捻ることで、必要な水量が出るように調整しています。

「ショート(短絡)」の大まかなイメージ(図は筆者作成)

「ショート(短絡)」という現象を噛み砕いて説明すると、この抵抗がある場所を飛ばして、プラス極とマイナス極がダイレクトに繋がってしまい、電気が大量に流れる状態を指します。

先の水道の例で言うならば、太いパイプに穴が空き、蛇口の存在を無視して、ドバドバと大量の水が噴き出すようなイメージです。これが電子・電気回路で起こると、感電のリスクを引き起こし、火花が発生することもあるので大変危険です。

リチウムイオン電池の内部にあるセパレータの大まかなイメージ(図は筆者作成)

また、コンパクトなリチウムイオン電池の内部は、プラス極とマイナス極が薄いシートの状態で折り畳まれた構造になっています。そして、これらが直接触れないように、間に電気を通さないシート(セパレータ:絶縁体)が挟まれているので、普段は安全に使えています。

しかし、外部からの衝撃や圧力などによって機器が変形したとき、この電気を通さないシートに穴が開くことがあります。すると、プラス極とマイナス極がダイレクトに繋がってしまいショートが発生。これが「熱暴走」や「発煙/発火」といった現象につながります。

そのため、モバイルバッテリーが落下して変形した場合、異常が見られないからといって使い続けるのは非常に危険なのです。

夏場の車には絶対に放置しない!

2つ目は、「高温になる場所で使用・放置しない」ことです。こちらも最悪の場合、発火を招く可能性があります。

リチウムイオン電池の最高許容周囲温度は、45℃と規定されています。通常の使用環境では、この気温を上回ることはないでしょうが、一部のシーンで気をつける必要があります。

たとえば、真夏の車内では1時間あれば温度が50℃以上に達しますし、70℃以上になることもあります。ほかにも、夏の砂浜などでも表面温度が60~70℃に達することがあります。

こういった場所でリチウムイオン電池を搭載した製品を使用したり、放置したりするのは危険です。ほかにも、直射日光が当たる場所などは、同様に注意を払いましょう。

高温になる真夏の車内には、絶対に放置しないように

また、冬場であっても、ホットカーペットの上や、コタツの中、ストーブの近くなどで、リチウムイオン電池を搭載した機器で充電行為を行ったり、製品を放置したりするのは危険です。さらに言えば、携帯カイロなどと一緒に、カバンの奥に入った状態なども注意しなくてはなりません。しっかりとバッテリーが放熱できる環境を整えましょう。

高温下でのリチウムイオン電池の発火には、さまざまな要因が絡んできます。

たとえば、高温で電解液が異常な反応をするようになったり、内部の部材が溶解したり、使用されている部材が気化したり、と複雑な過程を経て、「熱暴走」や「発煙/発火」を引き起こします。

もちろん、市販製品には通常の使用環境でこうした現象が起きないように、さまざまな安全制御が施されているのですが、想定されていない高温下では、異常が起きるリスクもあるのです。ユーザーとしては、熱くなるところで使用・放置してはいけないことを知っておくのが大切です。

なお、モバイルバッテリーなどの製品を多数開発・販売するアンカー・ジャパンがWebサイトにて公開している情報によれば、モバイルバッテリーの使用温度範囲は0℃~40℃、保管温度範囲はマイナス20℃~45℃ですが、同社としては理想の使用温度として0~25℃、理想の保管温度はマイナス10℃~35℃を推奨しています。

アンカー・ジャパンが公開している「モバイルバッテリーの安全な使い方と取扱いにおける注意点」ページ(https://www.ankerjapan.com/blogs/magazine/anker-safe-use

モバイルバッテリーは、その名称から“どこでも使える製品”という印象が強いものの、夏場はなるべく空調が整った室内環境で使用したほうが、トラブルを招きにくいと認識しておきましょう。

モバイルバッテリーは「PSEマーク付き」を買おう

モバイルバッテリーなどを安全に使ううえで気をつけるべきことは、行政やメーカーなどもまとまった情報を発信しています。本稿では発火トラブルに絞って気をつけたいポイントを紹介しましたが、こうした情報からは、そのほかの注意事項についても確認することができます。

たとえば、消費者庁がWebサイトで公開している「モバイルバッテリーの事故に注意しましょう!」というページでは、以下の8つを意識することが推奨されています。

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(1)リコール対象製品でないか、リコール情報を確認しましょう。
(2)新規に購入する際は、PSEマークを必ず確認しましょう。
(3)製品本体に強い衝撃、圧力を加えない、高温の環境に放置しないようにしましょう。
(4)充電中は周囲に可燃物を置かないようにしましょう。
(5)膨らんでいる、熱くなっている、変な臭いがするなど、いつもと違って異常を感じたら使用を中止しましょう。
(6)充電コネクタの破損や水ぬれに注意しましょう。
(7)公共交通機関での事故を避けるため、持込規則を確認して、それに従いましょう。
(8)使用済みモバイルバッテリーはリサイクルに出しましょう。やむを得ず廃棄する際には他の家庭ごみと区別して出しましょう。

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※消費者庁Webサイト「モバイルバッテリーの事故に注意しましょう!」ページから引用

特に、モバイルバッテリーは電気用品安全法の規制対象となっており、2019年2月以降は、PSEマークを取得しないと国内販売ができなくなっています。

私たち消費者としては、中古製品などの利用を避け、既知のブランドが販売しているPSEマーク付きのメーカー保証対象の製品を購入し、利用することが、安全対策の第一歩となるでしょう。

そのうえで、衝撃・圧力や、高温下での使用などに注意を払うとよいでしょう。


文・写真/井上晃

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