1969年7月20日。
アポロ11号が人類初の有人月面着陸を成し遂げた日、僕はこの世に生を受けた。
なんて書くとちょっと大げさすぎるうえ、そもそもこれはちょっと嘘で、実は日本時間での月面着陸は、僕が生まれた翌日、7月21日のことである。
でもアポロ11号はアメリカの宇宙船だからアメリカ時間の7月20日が公式な“月面着陸日”とされ、僕の誕生は人類史に刻まれる記念日(と同じ日)になったのだ。
そんな僕は、次の誕生日で満54歳となる。
今さら誕生日なんて大した価値も意味もなく、53も54も変わり映えしないとは思うのだが、54歳という年齢で一つだけそれなりの感慨を覚えることがある。
ついに磯野波平と同じ年になってしまう、ということだ。
そしてこれは僕だけではなく、現代に生きる日本の男性が54歳になったら、誰しもが持つ感想だろうけど、波平と今の自分が同年齢とはとても思えない