千葉ロッテマリーンズの佐々木朗希投手が、3年目の今季、めざましい活躍を見せています。
ここまで7試合に先発して4勝0敗、防御率は1.47。特筆すべきは49イニングを投げて78奪三振、その上、与四球はわずか6という安定ぶりです。
4月10日にはプロ野球史上16人目となる完全試合を、史上最年少の20歳5か月で達成しました。ここで僕が1番驚いたのは、9回を投げ切って球数がわずか105球だったことです。
日本新記録となる13者連続三振、日本タイ記録となる1試合19三振を奪っての完全試合だったということを考えると、ほとんど余計な球を使わずに27人の打者を完全に抑えたことになります。まるで野球ゲームですね。
去年までの2年間はチームメイトでもあったので、この大記録達成は僕もすごく嬉しく思っています。105球という球数には本当に驚かされましたが、一方で120~130球使えればいつ完全試合をやっても不思議ではない、とも思っていました。
理由は2つあります。1つは、もちろん投手としての技術、ポテンシャルがすごいということ。もう1つは、千葉ロッテマリーンズというチームが、この日を思い描いて、佐々木投手にこれまでの2年間を過ごさせてきたということです。
北海道日本ハムファイターズに大谷翔平選手が入団した時もそうだったと聞いていますが、1年目のシーズンは、吉井理人投手コーチが、とにかく余計なことを考えさせないために、佐々木投手を1年間1軍に帯同させました。
試合では投げないけれども、1軍の雰囲気に慣れること、自分の投球の形を作っていくという作業に専念させたのです。
そして、自分の形がある程度できてきた2年目は、登板間隔を多めにあけながら実践経験を積むシーズンでした。その上で、3年目の今年から満を持して先発ローテーション入りさせたわけです。
つまりこの結果は決して偶然のものではなく、2年間の計画的な準備に基づいたものなのです。
確かなプランを持って佐々木投手の育成に尽力した千葉ロッテマリーンズの方針は晴らしいのひと言ですが、一方でこのような育成方法は、読売ジャイアンツや阪神タイガースのような、すぐに結果が求められる、注目度の高い球団では不可能だったかもしれません。