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女医が断言。「60代が人生で“最高の夜”を味わえる」熟年離婚、卒婚で恋愛市場に参戦する中高年が増加中。熟年が青年に勝る“愛のスキル”とは?

集英社オンライン / 2023年7月15日 16時1分

中高年の性生活に特化したYouTubeチャンネルが大人気の女医・富永喜代が語る“熟年ならではの性との向き合い方”をまとめた『女医が導く 60歳からのセックス』(扶桑社)から、最高の夜が訪れる年齢について一部抜粋・再構成してお届けする。

最高のセックス年齢は60代だった!?

あなたは、これまでの人生で「最高のセックス」を体験したことはありますか? そしてそれは、何歳のときですか? 性欲旺盛だった20代の頃でしょうか? それとも30代のとき?

実はこの質問、私が主宰するオンラインコミュニティ「富永喜代の秘密の部屋(以下、秘密の部屋)」のメンバー30〜80代を対象に行ったアンケートの一部です。この調査結果は、後に「日本性機能学会第32回学術総会」という学会でも発表されました。



そして、冒頭の質問の結果は、下のグラフのようになりました。「20代で最高のセックスを経験した」と回答した人が13人、30代が14人、40代が22人、50代が30人、60代が36人、70代が8人。つまり「60代で最高のセックスを経験した」という人が最多となったのです。

『女医が導く 60歳からのセックス』より

この結果を見たとき、質問者の私自身、とても驚きました。なぜなら、かつて中高年が性やセックスについて語る際は、

「もう最近は、思うように勃起しなくなって……」
「精液の量が減ってしまった」
「妻とは完全に没交渉で」
「昔はムスコがヘソにつくぐらい元気だったんだけど……」

といった愚痴やぼやきが中心で、その文脈はなにかと弱気でネガティブなものばかりでした。なかには「もう歳だから、セックスも〝定年〟だ」と、自分に言い聞かせるように諦めていた人も大勢いました。加齢に伴い体や筋肉が衰え、若い頃のようなセックスができなくなるのは、残念ながら当然のことです。若い頃にできていた徹夜が年齢を重ねるとしんどくなるのと同じように、セックスも思うようにできなくなってくる。これが現実です。

平均寿命や健康寿命の延びとともに、「セックス寿命」も延びている

また、セックスやマスターベーションから遠ざかって過ごしていると、「いざ」というときに思うように機能しなくなります。「使わなければ性器は劣化する」わけです。

振り返れば、1947年当時の日本の平均寿命は、およそ50歳。そんな時代に、50~60代でセックスを楽しむことは、あまり考えられなかったのも頷けます。しかし、人類未踏の高齢化社会を迎え、男性は約81歳、女性は約88歳にまで平均寿命は延び続けています。平均寿命が90歳、100歳……といった時代も、遠からず訪れるかもしれません。

また、健康寿命(日常生活を制限なく送れる期間)も延び、今や男女ともに70歳を過ぎても、健康的に生活できているわけです。ですから、平均寿命や健康寿命の延びとともに、セックスができる期間、つまり「セックス寿命」も延びていると考えるのは、とても自然なことです。

とはいえ、ただ単に平均寿命とともにセックス寿命が延びたことで、60歳以降に誰もが「人生最高のセックス」を味わえるとは限りません。私のこれまでの医師としての知識と経験、中高年の性に対する調査結果から、60歳以降でもセックスを楽しむには何が必要か、お話ししていきたいと思います。

60代が、なぜ「最高」なのか?

なぜ50~60代で「人生最高のセックス」が訪れるのか? さまざまな背景から考えていきましょう。

まずは時間的・経済的背景です。50~60代といえば、仕事では現場を離れて管理職になり、家庭では子育てが一段落して時間的、経済的な余裕が生まれる年代です。最近では、年齢差のある相手ともっとも頻繁にセックスをしているのは、60代男性であるという研究報告もあるようです。

片や30~40代は、50~60代に比べて体力はありますが、仕事や家事、育児に手いっぱいで、ストレスも多い年代です。子どももまだ小さく、思うように夫婦生活を営めないという現実的なハードルもあります。

ときに「刺激的な一夜を過ごしたい」と下半身がうずいても、仕事の疲れとストレスでそれどころではない……という人も多いでしょう。家のローンや子どもの教育資金など、なにかと物入りなのもこの年代です。ロマンチックな夜に投資する余裕も、なかなか生まれません。

それが、ようやく50~60代になると子どもも手を離れ、夫婦やパートナーと向き合う余裕ができてくる。セックスはマスターベーションと異なるコミュニケーションですから、相手にじっくりと向き合えたほうが、お互いの満足度が上がるのは自明の理です。

写真はイメージです

時間的、経済的余裕、性や恋愛への関心の高まりが奇跡的に揃う50〜60代

次に中高年の恋愛や出会い、性に対する意識の変化を考えてみます。

近年、中高年の熟年離婚が増加傾向にあります。厚生労働省の「令和4年度離婚に関する統計の概況」によれば、2020年における同居20年以上の「熟年離婚」は、過去最高の21.5%を記録しています。

さらに離婚までいかなくとも、戸籍上の婚姻関係は残してあるものの夫婦が互いにプライベートに干渉せずに生活をする「卒婚」という言葉も、最近はよく聞かれます。

離婚や卒婚で何十年かぶりにシングルになり、再び恋愛市場に参戦する中高年が増えてきています。さらに、SNSやマッチングアプリなどの普及により、中高年の出会いの場が増加・多様化していることも、恋愛や性への意識の変化を促し、積極的に出会いを求める人も増えています。

時間的、経済的余裕、さらに性や恋愛への関心の高まり、この3つの要素が揃うのが、ちょうど50~60代に差しかかった頃なのです。

40歳を過ぎたら「生き様が顔に出る」

熟年の恋愛やセックスが、若い頃に比べて「最高」な理由。そのもうひとつに、男女ともに人格が成熟してくることが挙げられます。

かつて第16代アメリカ大統領のリンカーンは「40歳になったら、人は自分の顔に責任を持たねばならない」と語りました。ノンフィクションの大家である大宅壮一は、「男の顔はその人の人生の履歴書である」との言葉を残しています。

つまり、熟年を迎えるとその人の人格が容姿やまとう空気ににじみ出るので、若い頃のように「イケメンだから」「美人だから」と勢いで恋愛することが少なくなります。むしろ、本当に尊敬し、愛すべき相手を選び、じっくりと向き合うようになる。それがパートナーの場合、「もう一度妻に恋をする」「もう一度夫に恋をする」という形になります。

いずれにせよ人生経験を積んで成熟した男女が、勢いやノリに頼らず、時間をかけて慕い合うのが熟年の恋愛でありセックスです。

若い頃のように、誰も彼もと付き合うわけにはいきません。男女ともに人格が顔に出るので、自分に合う魅力的な異性はそうそう見つかりません。妻一筋、夫一筋という人も、もちろん大勢います。それくらい、熟年になると愛し合えるパートナーは得がたくなります。

こうした状況下では自然と、愛した異性と長く、深く関係性を築いていくことになります。夫婦はもちろん、恋人もそうです。ときには知り合ってから5年、10年と経ち、お互いの人柄を熟知して、「やっぱり自分にはこの人が合う」と友人・知人から恋愛に発展することも珍しくありません。

熟年の恋愛やセックスは、互いを深く知って人柄に惹かれあった二人、人生の多くの時間をともに歩んできた二人の間で営まれるケースが多く、それゆえ若い頃には経験できなかった感動が生まれるのです。

熟年が青年に勝る「セックススキル」とは?

もちろん、こうした条件だけが揃っても、誰の身にも「人生最高のセックス」が訪れるとは限りません。ここで欠かせないのが、「セックススキル」と呼ばれるものです。スキルという言葉に、百戦錬磨のAV男優が繰り出す手技やアクロバティックな体位をイメージする人もいるかもしれません。

しかし、ここでいうスキルとは、「相手のしてほしいことを叶えるため手元に選択肢をたくさん持っている」こと、そして、「状況に合わせて選択肢を相手に提示できる」こと

―いわば「大人の余裕」といわれるものです。

自身の経験を振り返り、「20代の頃は、相手がどう思っているかなど考えるヒマもなく、力任せで独りよがりなセックスをしていた」「あのとき、もしかしたら相手を傷つけてしまったかもしれない……」など、苦い思い出がよぎる人もいるのではないでしょうか。肌と肌を重ねるという、ある意味、とてもリスキーなコミュニケーションであるセックスは、いつもうまくいくとは限りません。経験の浅い若い頃はなおさらで、誰しもそんな後悔を抱えているものです。

しかし、50~60代になると、これまでの経験を生かし、相手の反応を見ながら対応する余裕も生まれてきます。若い頃の後悔や反省が糧となるのです。

「この女性は、騎乗位が感じるみたいだから、今日は騎乗位を多めに取り入れよう」「この子は後背位だと少しつらそうだから、代わりに正常位をいっぱいしよう」といった具合です。自分で手いっぱいになりがちな若い頃と比べ、一歩引いて、相手とのコミュニケーションを楽しめるようになります。

相手が喜ぶことを想像しながら、自分の希望や欲望よりも二人の関係性を優先し、合わせていく。このとき、主語は常に「相手」にあります。

もちろん、こうした大人の余裕は、単に年齢を重ねただけで身につくものではありません。相手を思いやる優しさや深い洞察力、豊かな想像力が必要になります。

事実、中高年になっても、「オレは、正常位でガンガン腰を振ってイクのが好きなんや!」「フェラチオは喉奥深くまで咥えてもらわんとな!」など、相手が感じているかどうかは二の次で、ただひたすら自分の欲求を発散するだけ……という残念な人もいます。このような状態は、到底「最高のセックス」といえるものではありません。

独りよがりなコミュニケーションを繰り返すパートナーに愛想を尽かした末、子どもが成人したことを機に熟年離婚をした……という夫婦も珍しくありません。そこまでいかずとも、パートナーの独りよがりなセックスにノーとはいえず、セックスが義務化し、苦痛を伴う「お務め」になってしまっている人も多くいます。富永ペインクリニックの性交痛外来には、セックス時の痛みに我慢に我慢を重ねた末、どうにもならず門を叩いてくる女性が大勢います。

総合的な満足度を高められるのは熟年

話をセックススキルに戻しましょう。

中高年の体力に見合ったスキルを身につけることで、セックスの満足感も格段に向上します。また、相手への愛情や思いやりを効果的に伝えることもできます。

若い頃の血気盛んなセックスを振り返り、「何の苦労もせずに勃起して、一日何回も恋人と体を重ねていたな」「もうあんなセックスはできないのだな……」と、懐かしさと同時にやりきれなさを抱えている人もいるでしょう。

しかし、女性にとって激しすぎるセックスは、ときに「脅威」ともなります。女性のクリトリスや腟は快感を得る部位であると同時に、他者が触れることのできる「臓器」でもあります。欲望のままに腰を振るピストン、アダルトビデオを鵜吞みにしてゴシゴシと腟を指で擦ったり、激しすぎる胸への愛撫……こうした未熟なセックスを前に、「自分の体を傷つけられるのではないか?」と身構える女性も少なくありません。

もし相手が経験を積んだ女性なら、はっきりとノーを突きつけられるでしょう。一方、相手を思いやるセックススキルの備わった50~60代には、相手も安心して身を委ねられます。

たしかに筋力が衰え、体力や勃起力が低下する中高年は、若い頃のようなアグレッシブなセックスはできなくなりますが、今は必要に応じてサプリメントやED治療薬、陰圧式の勃起補助具などを効果的に用いて、衰えをケアすることができます。ですから、体力はあってもスキルが不足しがちな青年に比べ、スキルがある50~60代=熟年のほうが、総合的にセックスの満足度を高められるのです。


『女医が導く 60歳からのセックス』 (扶桑社新書)

富永喜代

2023年7月1日

1,056円

200ページ

ISBN:

978-4594094850

「性」は「精」であり、「生」に通じる――
人生最高の夜は、60歳から


中高年の性生活に特化したYouTubeチャンネル『女医 富永喜代の人には言えない痛み相談室』が大人気の著者が導く、熟年ならではの性との向き合い方。

健康寿命が70歳を超えた人生100年時代。
中高年だからといってセックスを諦めるのは、もったいない!
熟年期の不安は「肌のぬくもり」が解消する。
これまで誰も教えてくれなかった中高年の【愛の作法】

人生最高の夜を迎えるための「熟年の【愛の作法】」とは――

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