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膝程度の深さでも流れが速いと大人でも流される…固定式のライフジャケット、無理に立たない…川のレジャーを安全に楽しむために知っておきたいこと

集英社オンライン / 2023年7月21日 10時1分

河川や湖でのレジャーを安全に楽しむためにも、川の特性や必要な装備、流された場合の対策を知っておくことが大切だ。河川の調査や河川教育について活動している、公益財団法人河川財団 子どもの水辺サポートセンター 主任研究員の菅原一成さんに解説いただいた。

浅くても流れが速い箇所がある

「ひとくちに川といっても、場所によって深さや流れの様子は一定ではなく、それらが複雑に絡み合っているのです。雨が降れば増水しますし、川はいつも変化していると思っていただきたいです。」と公益財団法人河川財団 子どもの水辺サポートセンター 主任研究員の菅原一成さん。

また、川の中は陸上からは見えにくく、今いる場所が浅くても一歩先には深みがある場合も。さらに水際の護岸や浅瀬の石などのコケ、濡れた石やコンクリートなどはとても滑りやすくなっていて、滑った後に本流に流されたり、深いところまで流されたりすると、溺れることに直結する。



そして何といって川には流れが速い場所があり、膝程度の深さでも流れが速いとバランスを崩して転倒し、大人でも流されてしまうことに。大人より体重の軽い子どもはなおさらだ。

さらに危険な場所もあるという。
「岸から岩などが突き出た場所等では、下流側の反転流(通称『エディー』)とよばれる水理現象があります。エディーそのものは穏やかな流れが周回していますが、本流の流れが速い場合、その本流流れとエディーがぶつかる箇所(通称『エディーライン』)付近では下向きに引っ張られる流れが発生する場合があります」(菅原さん)

そんな川の特性を理解した上で、安全に川遊びをするために必ず装備したいのがライフジャケットだ。

命を守る、ライフジャケットは必ず装備を

川には流れがあるので身体に水平方向の圧力がかかり移動をさせられる。川底の様相や水量等により、鉛直方向に引っ張られる流れが発生している場合もあり、浮いていること自体が困難なフィールドだ。

だが、ライフジャケットを正しく着用することで、常に頭部が水の上に出て呼吸を確保でき、流れのある川でも浮いていられ、命を守ることができる。

ライフジャケットはホームセンターやアウトドアショップ、ネットなどでも購入できるがいくつか注意点がある。

「ライフジャケットには大きく分けて、固定式と膨張式があります。膨張式は落水時に膨らむタイプのため、常時水に入る活動には固定式が向いています。
固定式のライフジャケットは、アウトドアショップやネットでも購入することができます。ただし、中には浮力・構造・強度等の問題から川での活動には向いていないものもあります。
浮力や強度など、川遊び用として推奨できる『安全基準』に関する認証制度の認定を受けた製品を選ぶのも一つの目安となります」(菅原さん)

固定式のライフジャケットの例

またサイズ選びも重要なポイントだ。
サイズが合っていないと、着用していても脱げてしまったり、ライフジャケットの浮力を体に正しく伝達できなかったりするので、体の大きさや年齢に合ったものを購入しよう。

子どもだけでなく、大人ももちろんライフジャケットは必要だ。

「例えば、子どもを川で遊ばせる際、同行者が上流側にいると、流れの速さにより、いざというときに救助が間に合わないことがあります。あわてて飛び込んで救助しようとした人が被害にあう二次災害につながることにも。
子どもには必ずライフジャケットを着用させ、大人もライフジャケットを着用した上で、子どもが流されることも想定し、子どもよりも下流側にいることが大事です」(菅原さん)


また、川の水は思っている以上に冷たく、川に転落した場合は、低体温症にも注意が必要だ。
水の熱伝導率は、空気に比べると20倍以上。人間にとって、熱を奪われ続けることは命に関わる事態を引き起こしてしまうことに。
活動時には水に濡れても乾きやすい服装や、ウェットスーツを着用するなど、体温低下をできるだけ予防することが重要だ。

その他、足を守り脱げにくい運動靴やサンダル、頭部を守るヘルメットなどの装備も重要。指導者の場合は万が一に備えて、漂流する人を陸上等から救助するためのスローロープ(水に浮くロープ)なども装備しよう。

装備の例

川で流されたら、無理に立とうとしない

もしライフジャケットを着ていて流されてしまったらどうしたらいいのだろうか?

「浅い場所であっても無理に立とうしないことです。
流れが速い場合、もし川底の石の間などに足がはさまれたりすると、たとえライフジャケットを着用していても、動水圧で水中に体が押し込まれ、水面上に顔を出したり、脱出したりすることが非常に難しくなります。このような事故は、流れが速く、足がつきそうな浅い場所で発生します。

そのため、浅くて足がつきそうでも流れのある場所では、決して立とうとしないことです。
流れのある場所では、ライフジャケットを着用した状態で足を下流に向け、足先を水面まで持ち上げた姿勢をとることが重要です」(菅原さん)

元いた場所に戻ろうとするのも危険だ。
戻ろうとすると、流れに逆らって泳ぐことになりリスクが高くなるため、流れの穏やかな場所に向かって移動するようにしたい。

ライフジャケットを着用していれば、流れの進行方向を目視できるので、つま先を水面から出して浮き、両腕でバランスを取りながら、流れが穏やかな場所に避難することができる。
「泳ぐ場合は流れに対して直角に泳ぐと流されてしまうので、流れに対し上流側に斜め45度程度の角度をとることによって、自分の推進力と流れの力が合力となり、川の流れの力を利用して泳ぐことができます」(菅原さん)

川の流れを利用して泳ぐ

救助する際は、救助者が川の中に入るとどうしても二次災害のリスクが高くなる。

「川で流されたら、流れの強さにより、あっという間に遠くまで運ばれてしまいます。
流された人を助けようとクーラーボックスやペットボトルなどの浮くものを探している間に、漂流者は遠くまで流れてしまいます。
また、それら浮くものを遠くまで飛ばし、流れの中で漂流者にピンポイントで届けることは至難の業です。そうならないように、万が一のときに備えスローロープを携行し、ロープを扱うことのリスクも理解した上で、瞬時に投げられるようにしましょう」(菅原さん)


ライフジャケットなどの必要な装備、気象情報、活動する場所の情報収集、この3つを必ずチェックして、常に「もしものとき」に備えながら、川のレジャーを楽しもう。


※記事内のイラスト、写真は河川財団「No more水難事故2023」より一部抜粋・転載

取材・文/百田なつき

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